「 kowainetの記事 」 一覧

写らない背後 nc+

京都のそのアパートに住んだのは、学生の頃のわずかな期間だった。 家賃を切り詰めながらも、どうしても風呂とトイレが部屋についている物件に住みたかった。理由は単純で、友人から「共同は色々と面倒やぞ」と脅さ ...

魔界遊びの手順書 nw+617

小学生の頃、ふざけてやったことが大事になった経験が一度だけある。 十二歳。ランドセルの重さよりも、自分の影の長さが気になり始める年頃だった。 あの頃の男子は、なぜか「向こう側」に触れたがる。心霊写真、 ...

蛹化の神秘を解明したウィリアムズ博士の戦慄のサナギ実験 #78,487-0405

2026/10/11   -中編, r+
 

【閲覧注意!】変態(蛹化)の神秘を解明したウィリアムズ博士の戦慄のサナギ実験 ウィリアムズ博士のサナギ実験について、実験の条件と結果を図とともに紹介します。「死への羽ばたき」を探している方は、後半の「 ...

匂いを嗅ぐ女 rc+11,947

2026/10/11   -短編, r+, 怪談
 

これは、実際に自分が体験したことだ。 今でも鮮明に思い出せるが、同時に思い出したくない夜でもある。 鶯谷という街をご存じだろうか。山手線の駅のひとつだが、観光客で賑わうわけでもなく、ビジネスマンで混雑 ...

煙の向こうにいた人 rw+5,068

義弟の実家の古いアルバムから、三歳の妹が写った写真が出てきた。 見つけたのは妹自身だった。結婚して間もないころ、すでに亡くなっていた義弟の両親の遺品を整理していて、その写真に気づいたという。幼い義弟の ...

帰っていいですよ rw+3,301

小学校一年の頃、モスクワの日本語学校でIQテストを受けた。 父の仕事の都合で一家ごとモスクワに住んでいて、週末だけ補習のような形でその学校へ通っていた。校舎は古く、窓から入る光は夏でも灰色だった。薄い ...

存在そのものが癇に障る rw+2,995

生まれてからずっと、ひとつだけ説明のつかない体質を背負っている。 自分では何もしていないのに、なぜか人を激怒させてしまう。 最初に異常に気づいたのは幼い頃だ。親戚が集まる席で、ただ黙って座っていただけ ...

戻ってきた側 rw+2,146

昨日のことだ。 冬の夕暮れ、久しぶりに実家へ立ち寄った。玄関の引き戸を開けた瞬間、埃と灯油の匂いが混じった懐かしい空気がまとわりつく。両親は不在で、家の中は異様に静かだった。冷蔵庫の低いうなりと、壁掛 ...

渡らなかった側 nc+

山道を走る車のエンジン音だけが、やけに大きく聞こえていた。 大学二年の夏だった。 バイト先の仲間で、どこかに行こうという話になった。目的地は、中国地方の山奥にある吊り橋。観光用に残されているだけで、そ ...

声は内側から来る nw+665

2026/10/10   -短編, 事故・事件, n+2025

あの日のことを思い出すと、今でも胸の奥が詰まる。 息を吸おうとしても、途中で止められるような感覚になる。 二〇一五年の十月末、同じフリースクールに通っていた少年が死んだ。 新聞では「自殺の可能性」と簡 ...

オレンジ色の悲鳴 rw+2,472

小学五年のとき、一度だけ、花の悲鳴を聞いたことがある。 そんなことを、つい最近まで忘れていた。 思い出したきっかけは、Amazonプライムで昔の『探偵!ナイトスクープ』を観たことだった。四つ葉のクロー ...

声になる前 nc+

前に住んでいた町の小学校での話だ。 小六のとき、国語の授業中に起きた出来事を、今でもはっきり覚えている。 その日は朗読だった。教科書を順番に読んでいく、ごくありふれた時間だ。教室は静かで、窓の外からは ...

肩越し nw+503

中学の同級生に会ったのは、二十年ほど前の同窓会だった。 久しぶりに見る彼は、ひどく痩せていた。背広の肩が余り、頬は落ち、顔色も悪かった。 酒もほとんど飲まなかった。 帰り際、店を出たところで呼び止めら ...

写り込んだ未来の屍体 rc+4,470

宮城県の八木山橋って知ってるだろ。 自殺の名所としては割と有名で、地元じゃ洒落にならないくらいの数が飛び降りてるって噂がある。 ただ、俺にとってはあの橋の下に広がる竜ノ口渓谷の方がずっと魅力的だったん ...

リゾートバイト【完全版】#5,533

約40,000文字リゾートバイト【完全版】 ネット史上最高レベルの怖い話 【作業用・睡眠導入】【ゆっくり怪談】 これは俺が大学三年の時の話。 夏休みも間近にせまり、大学の仲間五人で海に旅行に行こうって ...

右手だけが冷たい rw+2,211

あれは、もう何年も前のことだ。 今でも五月になると、私は郷里の小さな神社へ行く。 願い事があるわけではない。 ただ、確かめたいことがある。 当時、私は小さな金属加工工場を経営していた。 機械油と鉄粉の ...

夢で聞いた番号 nw+386

知らない番号から電話が来ると、今でも出る前に息を止めてしまう。 最初の電話は、俺の携帯にかかってきたものですらなかった。 十九のころ、俺はまだ携帯を持っていなかった。金が惜しかったわけではない。ただ、 ...

処理された帰還者 nc+

十四年前のことだ。 正確な日付は覚えていないが、季節は初春だったと思う。親戚の葬式があり、多摩川沿いの親戚宅に集まっていた。年の近い親族もおらず、式が終わってからも特にやることがなかったので、ひとりで ...

叔父さんシリーズ【全話コンプリート】#5,738

約18,000文字叔父さんシリーズ【全話コンプリート】 第一話:邪視 これは俺が14歳の時の話だ。冬休みに、N県にある叔父(と言ってもまだ当時30代)の別荘に遊びに行く事になった。 本当は彼女と行きた ...

増えちゃいましたね rw+3,319

2026/10/08   -短編, r+, ほんのり怖い話

あの出来事を、ずっと誰にも話せなかった。 話せば軽くなると思っていたのに、逆に重くなる気がして、口を閉ざしてきた。けれど最近、どうしても一つだけ確かめたいことがある。だから書く。 あのコンビニは、今年 ...

送り番の夜 rw+2,718

子どもの頃、ひい爺さんからよく昔話を聞かされた。 山奥の村で育った人だった。焚き火の明かりに照らされると、壁に映る影が妙に大きくなった。声よりも、その影の動きのほうが記憶に残っている。 ある夜、爺さん ...

またかく nc+

俺を含め、金のない山好きにとって、登山道具の値段はときどき正気を疑う。 性能だの新素材だの軽量化だのと能書きばかりが増え、そのぶん値札も膨らむ。冷静に考えれば、あれはもう半分くらい詐欺に片足を突っ込ん ...

助ける側 rw+8,723

これは、俺が大学生だった頃の話だ。 人には、理由を説明できないまま「行きたくない」と感じてしまう場所がある。危険だと学習したわけでもなく、嫌な記憶があるわけでもない。ただ、そこへ足を向けた瞬間、身体の ...

開けてはいけないドア rcw+5,435

自分が育ったのは、四国の瀬戸内海沿いにある小さな村だった。 港には古い木造船が並び、昼間でも潮と油の匂いが重く漂っていた。夜になると外灯は途切れ途切れになり、闇が地面からせり上がってくる。虫の声だけが ...

見てはいけない花 rw+5,022

四、五年前のことだ。 取引先の藤木さんから、酒の席で聞かされた話がある。 酔って笑い話にするには、どうにも生々しすぎた。聞いている途中から、場の空気だけが妙に冷えていくのを感じていた。私は相槌を打ちな ...

俺だけが知らない rw+2,824

小学校三年の夏、海で溺れた。それより前の自分について、俺が覚えていることはほとんどない。 祖母の家は港町にあった。海が目の前にあり、町じゅうに潮と魚の匂いが染みついていた。祖父は漁師で、無口な人だった ...

電話に出る者 nw+387

実家の固定電話には、昔から妙なことがある。 家に誰もいないときに限って電話をかけると、必ず誰かが出るのだ。 呼び出し音が二回ほど鳴ると、若い男の声で「はい、○○です」と、まるで家の住人のように名乗る。 ...

🚨声のない水位 nc+

録音の仕事を請けたのは、まったくの偶然だった。 古い市民ホールの閉館に合わせて、最後の音響テストを記録してほしいという依頼だった。舞台は解体が決まっていて、すでに客席の大半は撤去され、壁の吸音材も剥が ...

『杉田かおる』のカルト新興宗教教団体験記 #4,117

2026/10/06   -短編, r+, カルト宗教

杉田かおるのカルト新興宗教教団体験記【ゆっくり朗読】 『杉田』 杉田かおる(著)(小学館刊) 杉田【電子書籍】[ 杉田かおる ] posted with カエレバ 楽天市場 Amazon この本は杉田 ...

位牌を持ってきた女 nw+330

あれは、まだ義母と同居していた頃のことだった。 私の妊娠が分かった日から、家の空気は目に見えない刃物のようになった。義母は毎日のように腹に向かって言った。「私は跡取りをこの手に抱きたいのよ」。その声は ...

中にあったもの nc+

姉は、昔から人に好かれるタイプだった。 目立つほど派手な顔立ちではないが、どこにいても自然に人が寄ってくる。高校に入ってからは彼氏が途切れたことがなく、相手も決まって周囲がざわつくような人間だった。有 ...

息ができる水の中 nc+

ある日、俺はいつも通り、家の裏にある神社で読経をしていた。 不破の祭りで唱える決まりの経だ。分家も本家も途絶えてしまって、せめて自分の代だけは、と思って続けている。 一回目の読み始めで、喉の外側だけが ...

またお願いします rw+9,074

※猫好きの方は、読まない方がいいかもしれません。 特殊清掃の会社に勤めていた。 人が想像するような生々しい遺体処理は、実際には仕事の一部でしかない。主な業務はそのあとだ。人がいなくなった部屋、生活が途 ...

一口だけ rw+3,351

子供の頃、神社で遊んでいた。 家から歩いて七分、裏はすぐ山だった。鳥居をくぐると、昼でも薄暗い。社殿は小さく、参拝客もほとんどいない。名前はもう思い出せない。ただ、裏手の造りだけは、今でもはっきり覚え ...

西武新宿線の、その先 rw+3,553

一年間行方不明になった日のことを、私は西武新宿線の吊革までしか覚えていない。 その日は風邪をひいていた。身体の芯が冷えたままで、骨の奥に入った氷がいつまでも溶けないような感覚があった。耐えきれず、大久 ...

聞いてしまった者 rw+3,029

地方新聞の支局で記者をしていた頃の話だ。 あの事務所は、昼でも湿った匂いが抜けなかった。紙とインクと、古びた机に染み込んだ何年分もの埃。静かな日は、時計の秒針がやけに大きく響いた。 奇妙な来訪者は珍し ...

眠っているはずの目 rw+3,174

あの絵は、目を閉じていたらしい。 僕がそれを知ったのは、なくなった翌日のことだった。 中学二年の秋、僕は美術室の掃除当番だった。午後の授業が終わり、ほとんどの生徒は部活か下校で教室を出ていた。美術室に ...

赤いひも nw+367

引っ越したのは、大学を卒業してすぐの春だった。 駅から近い、小さな二階建てのマンション。築年数は古かったが、社会人一年目の私には身の丈に合っていた。契約も問題なく済み、荷物を運び入れた夜は、ようやく自 ...

🚨影だけが残る村 nc+

この村には、年に一度だけ時間が止まる日がある。 誰も畑に出ず、誰も鍋をかき回さず、子どもでさえ走らない日だ。その日は「影を返す日」と呼ばれている。太陽がもっとも高く昇る季節、正午のひとときに、村全体が ...

山は返してくる rw+5,685

あれは何年も前のことだ。 山に入るたび、湿った土の匂いに混じって、甘く腐りかけた草の匂いが立つ。その奥に、かすかな鉄の匂いがある。血の匂いだ。あの日、私が山から持ち帰ったものの匂いだ。 岩陰で震えてい ...

生活していた女 rw+3,137

二十歳の春の朝だった。 前の晩は友人と遅くまで電話をしていて、頭がまだぼんやりしていた。庭に出ると、陽射しは柔らかく、風だけが冷たかった。ホースを握り、しゃらしゃらと水を撒いた瞬間、足元に何かが絡みつ ...

数えなかった現金 rcw+3,899

あれは、酒場の片隅で友人に聞いた話だった。 店は平日の遅い時間で、客もまばらだった。壁際の席で、氷の溶けかけた焼酎を前に、友人は唐突に名前を口にした。 N。 それだけで、なぜか胸の奥が冷えた。理由は分 ...

封じられた夜 nrw+440

俺の母は、小学校の教師をしていた。 ごく普通の公立校で、特別学級でも進学校でもない。ただ、母自身は「普通の教師」ではなかった。 母は、見える人間だった。 霊感と呼ぶのが一番近いが、本人はその言い方を嫌 ...

🚨逆さの器 nc+

この村では、家に死者が出ると七日間、すべての食器を逆さにして食事をする。 皿も椀も杯も、口を下に向けたまま使う。魂が器の内側に溜まらないようにするためだと伝えられている。誰が言い出したのかは分からない ...

帰ってきたと言われた日 rw+7,908-406

先日、祖母が亡くなった。 眠るように、あっけなく。 長く患っていた痴呆が、最後の数か月で急に深まり、そのまま何かが切れるように終わった。悲しみが来るより先に、胸の奥に空洞ができた感覚だけが残った。 こ ...

二回、鳴った rw+4,862

あの日のことを、私は思い出そうとして思い出しているわけではない。 朝、歯を磨くとき。 夜、布団に入って電気を消すとき。 生活の隙間から、勝手に浮かび上がってくる。 机の上に置いたICレコーダー。 赤く ...

帰したはずの島 rw+2,634-160

大学生の頃、ひょんな縁で南方の島へ渡ることになった。 戦中にそこで亡くなった日本兵の遺骨を収集し、本国へ帰すための作業要員だ。志願といえば聞こえはいいが、実際は暇を持て余していた時期で、霊だの祟りだの ...

あれは月ではない rw+2,747

囲炉裏の火が落ち着くころになると、じいさんは決まって火箸をいじりながら、ぽつりぽつりと山の話をした。 その中でも、あの夜のことだけは、最後まで語りきらなかった。 話がそこに差しかかると、火を見つめたま ...

非常灯のとき、眼鏡がなかった rw+2,213

友人の部屋に行くのは、これで三度目だった。 あいつが住んでいるのは築十五年ほどのマンションで、外観は古びているが内装はやけに清潔だ。玄関脇のエレベーターは、奥の壁一面が天井から床まで鏡張りになっている ...

虹色の飴玉 n+340

もう十年も経ったし、そろそろいいだろうと思って書く。 自分の記憶の中でいちばん不可解で、いまだに何だったのか説明できない出来事だ。 小学校六年の秋だった。授業を終えて、ランドセルを背負ったまま帰り道を ...

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