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短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

ぱふぇ【ゆっくり朗読】

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俺の子供時代、そうだな幼稚園ぐらいの頃だろうか。

341 :ぱふぇ:2012/05/31(木) 17:56:18.42 ID:PhS5Igsq0

住んでたのはけっこう街中だけど、近所には当然ながら現在のような大型店舗も飲食店も殆んど無く、
少し離れた商店街が唯一の買い物の場所。
そんな時代を思い描いてくれ。

母に連れられて行く、週末のたまの買い物は子供にとってはすごいイベントだった。
テンション上がりまくりで、もちろん何か買ってもらうのが目当てではあるんだが、
その商店街の外れにある『花屋さん』の前を通る時に、
俺は必ず「ぱふぇー ぱふぇー食べる~~~ぅ」っとダダをこねていたらしい。
……らしい、というのも俺自身もその頃の記憶は曖昧だからだ。
大人になってから何とはなしにそんな話を親から聞いて思い出したぐらい。
そんな親の話と、おぼろげな子供時代の記憶をたぐると……

さて、時を遡って当時のあの時に戻る。
あまりに俺がうるさいので、母はその『花屋さん』に連れて入ったのだそうだ。
当然ながら花屋さんに喫茶店のようなサンプルウィンドウは無いし、ましてパフェなど売っていない。
ところが俺は執拗に母の手を引いて二階へ行きたがってたそうだ。
そこはビル全体が園芸店のようで、一階で生花、二階で鉢植えなどを置いていた。
つまりは二階に上がっても観葉植物が並んでいるだけだったが・・・。
俺は納得できずに「ぱふぇ~~ 食べる~~」とダダをこねてたらしい。
それ以降も何度か連れていっては「花屋さんでしょ?」と諭しても、俺は頑として「喫茶店だー、パフェ~」と納得しなかった。

やがて時代の波に商店街はさびれ、付近に出来た大型店舗やコンビニにとって変わる。
買い物でも遊びでも商店街方面へ行く事はなくなった。
俺も社会人になってから一人暮らしを始めたので、実家周辺そのものに疎遠になっていったんだ。
再び商店街へ足を向けたのは二十数年後の事。

ある年の夏、盆もかねて実家へ帰った折に付近を散策していた。
広場は無くなりマンションに変わり、商店街のアーケードも無くなって景観はすっかり違うが・・、
「あっ、あの花屋はまだあったんだ」
ビルの外装は変わっていたけれど、一階には普通に生花店があった。
当時の記憶が一気に蘇ってくる。
懐かしくなって足を進めた。

当時は無かった大きいガラスの自動ドアをくぐると、二階まで明るい吹き抜けになっていた。
右手におしゃれな階段が作られており、その先に・・・喫茶店!!
二階には子供の頃想像した通りの喫茶スペースができていたんだ。
もちろん迷わずチョコパフェをいただいて来た次第。
男一人でパフェはきついものがあったが、それ以上に不思議な満足感を味わう。
やっと追いついたんだなぁと、ノスタルジーな気持ちに浸ったひと時。

アレ以来、そこには行ってない。
今はどうなったかもわからない。
また、俺自身も影響無く平凡な人生を送っている。

子供の頃の思い込みって根拠無い自信に満ち溢れてるよね。
そんな偶然か必然か分からない記憶に刺さったトゲのような出来事。
誰にも話した事がなくてモヤモヤしてたから、これですっきりしたよ、読んでくれてありがとうですた。

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