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帳簿の合わない部屋 rw+2,947
2026/08/29 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
帰ったはずの男の声が、まだ部屋に残っている気がする。 「それは見えているんじゃない。帳簿が合っていないだけです」 あの一言を最後に、彼は二度と来なくなった。 それまでは、天井の角にいた。 押し入れの上 ...
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呼んだのはどちらか nw+374
2026/08/28 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
平成が始まった翌日、塾へ向かう夕暮れの新宿で、私は一人の幼子を見た。 二歳ほどの男の子だった。母親に手を引かれ、こちらを見上げていた。 その黒い瞳だけが妙に澄んでいた。 私は胸の奥が熱くなり、勝手に名 ...
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天井にいたもの nc+
2026/08/28 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
私には十も歳下の弟がいる。 弟は、ときどきおかしなものを見ていた。 中学二年の頃の話だ。その頃、弟は双子の妹と一緒に保育園に通っていた。妹はよくいる少しませた女の子で、口も達者で要領もよかった。一方、 ...
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役に立たない存在 rw+5.042
2026/08/28 -中編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
私は数年前まで、ある一家に飼われていた。 今でもこの言い回し以外に、あの期間を説明できる言葉が見つからない。監禁でも誘拐でもない。洗脳とも少し違う。あれは生活だった。私が私である必要のない、完成された ...
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□□は最初から一人だった nw+417
2026/08/27 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
大学二年の春、ひとり暮らしを始めた。 街の中心から少し外れた、古びた鉄筋コンクリートのマンション。共用廊下には雨水の黒い筋が残り、夜になると蛍光灯は半分しか点かない。窓からは線路が見える。終電後もしば ...
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八つ坂トンネル nc+
2026/08/27 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
『自殺者を引き寄せる』と噂されるトンネルがある。 八つ坂トンネル。県境の山奥、いくつもの坂を越えた先に掘られた旧道のトンネルで、今は新道が通り、ほとんど使われていない。 崖があるわけでも、首を吊るのに ...
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視線の往復 rw+2,462
2026/08/27 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
放課後の公園に、スーツ姿の男が立っていた。 小学校六年の春先。桜は半分散り、砂場の縁に花びらが溜まっていた。ドッジボールをしていた俺たちは、誰かの「お前に似てる」という声でいっせいに振り向いた。 入口 ...
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分類できないもの rw+2,061
2026/08/27 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
泊まったホテルの名前は、もう思い出せない。 いや、思い出せないのではなく、意識的に引き出さないようにしている。 場所は東北だったはずだ。学会での発表があり、大学から派遣され、前泊が必要になった。地方都 ...
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分からない部屋 nc+
2026/08/26 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
⇒関連話:二人分の影 二十歳の夏、八つ坂トンネルで「見える人」と名乗る女性に出会った。 それから数週間後、あの出来事とは直接関係ないはずの飲み会が、なぜか自分の部屋で開かれることになった。 大学近くの ...
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裂け目の夜道 nc+913
2026/08/26 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あの日のことは、どうしても頭の隅から離れてくれない。 五年前の十二月、残業が珍しく長引いて、終電でようやく帰ることになった夜のことだ。 当時の住まいは、最寄り駅から徒歩二十五分もかかる古びたアパート。 ...
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心臓部は誰のものか rw+3,144
2026/08/26 -中編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
ああ、五十年も前の話だ。 小学生だった俺は、川崎の工場地帯のど真ん中に住んでいた。金属と油の臭いが空気に溶け、運河は濁った緑色に沈んでいた。目の奥がひりつくのが当たり前の時代だった。 放課後は駄菓子屋 ...
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指しているのは誰か nw+494
2026/08/25 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
正月になると、九州の奥の集落に一族が集まる。 山と藪に囲まれた古い家だ。舗装の剥げた坂を上がり、竹を押し分けるようにして辿り着く。縁側から差す年始の陽射しはやわらかいが、外気は骨に染みるほど冷たい。座 ...
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二人分の影 nc+
2026/08/25 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
⇒八つ坂トンネルの続き 八つ坂トンネルという心霊スポットがある。 地元では有名で、夜に近づくと戻れなくなるとか、人数が合わなくなるとか、そういう類の噂がいくつもある。 そこへ行った数日後、昼前に携帯が ...
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天安河原で見た二人 rw+3,132
2026/08/25 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
宮崎に行ったのは、十年前の十一月だった。 大学の仲間五人で、夏休みをずらしての旅行だった。車を借り、ルートを決めたのは先輩の女だ。霊感だの波動だのを半分本気で語る人間だったが、面倒見はよく、誰も逆らわ ...
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沖縄で拾った軍袋の話 rw+3,242
2026/08/25 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
ヒッピーに憧れていた。 きっかけはビート・ジェネレーションの詩集と、場末の中古レコード店で見つけたジャニス・ジョプリンだった。あの時代の連中が見ていたという幻覚や、居場所のない魂の震えに、自分の輪郭を ...
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一匹分の隙間 rw+1,956
2026/08/25 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
午前三時。 目が覚めた理由がわからなかった。物音も、風も、雨もない。ただ、頭の奥がざわついていた。 縁側を見ると、五匹が並んでいた。 横一列。背筋を伸ばし、尾も揺らさず、カーテンの向こうを見ている。 ...
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一番小さい電車 nw+541
2026/08/24 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
大学一年の春になると、決まって思い出す出来事がある。 思い出す、というより、向こうから浮かび上がってくる感覚に近い。 あれを錯覚だと断定できれば、今も両親と同じ布団で眠ることに、ここまで神経を使わずに ...
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白髪の門番 rw+2,247
2026/08/24 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
広い家だった。 田舎の地主の家らしく、門が五つあり、敷地は竹林と畑と古い家屋の残骸で曖昧に広がっている。初めて来た人間は、どこからがうちの土地なのか分からない。 だから昔から、知らない人間が庭を歩いて ...
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母にいない妹 nw+532
2026/08/23 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
『そういえば叔母さんは元気?』 その一言を口にするたび、家の空気が変わる。 きっかけは、三歳か四歳の頃の記憶だ。夏の夜、母方の祖父母の家。縁側の奥で、母の妹と、その婚約者が並んでいた。蚊取り線香の煙が ...
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接続済みの人生 rw+2,528
2026/08/23 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
正直、最初は母親に無理やり連れて行かれたと言ったほうが近い。 自己啓発の集まりだと聞いた時点で帰りたかったが、親戚が最近通い始めたらしく、「若い人も来たほうがいい」と半ば強引に予定を押さえられた。場所 ...
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救われたのはどちらか nw+454
2026/08/22 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あれは、先月の、まだ寒さが地面に残っている頃だった。 曇天の下、次男を連れて河原へ蕗の薹を探しに行った。春の匂いを拾うつもりが、足もとには枯れ草と小石ばかりが続く。袋は軽いまま、私たちは下流へ流される ...
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出前の青年 rw+2,831
2026/08/22 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
俺が二十歳を少し過ぎたころの話だ。 近所の小さな和食屋で、毎晩のように出前をしている青年がいた。俺より三つほど下で、高校へは行かず、十五か十六の頃から住み込みで働いていた。人当たりがよく、配達先でも評 ...
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三つ目の『ツ』 rw+2,275
2026/08/22 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
三年前の夏だった。腕が日に焼けてひりつく感覚だけが、やけに鮮明に残っている。 就職したばかりで、毎日が薄い膜を一枚ずつ剥がされていくようだった。朝起きて電車に乗り、席に座り、定時までそこにいる。それだ ...
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内鍵 ncrw+475
2026/08/21 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
今年の黄金週間、家族は二泊三日の旅行に出た。俺ひとりを家に残して。 二階建ての家は、古びているくせに無駄に広い。もとは他人の家だったものを親父が安く買い取り、最低限の補修だけで住み始めた。柱や壁には、 ...
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校庭の裏はそんなに広くなかった nc+
2026/08/21 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
小五の頃、校庭の裏の草むらで変なものを見た。 校舎の死角になっていて、普段は誰も近づかない場所だ。草が伸び放題で、ボールが飛び込んだときくらいしか入らない。そこに、小枝を編んだ輪があった。円というより ...
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雨の日の空席 rw+2,854
2026/08/21 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
雨の日だけ、俺は思い出から抜け落ちている。 自分が通っていた保育園で、昔の友達が働き始めた。久しぶりに会って酒を飲み、「あの頃の担任、まだいるよ」と聞かされた。軽い気持ちで飲み会を開いた。担任も来て、 ...
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スピリチュアル系 #2,180
2026/08/21 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
スピリチュアル系【ゆっくり朗読】 現在進行形で起こっている『呪い』に関するネタ投下 473 :パワーストーンやヒーリングバカに付ける薬なんかないよ1:2011/08/24(水) 19:48:55.33 ...
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霧の向こうの客 nw+514
2026/08/20 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あれは、もう何年も前のことだ。 馴染みの客に引っ張られて、場末のスナックに入った。白すぎる蛍光灯の光が、酒で濁った空気をむき出しにしていて、氷が溶ける音だけが妙に大きく響く夜だった。 カウンターに立っ ...
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泣かない子 rw+7,212
2026/08/20 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
★人気ベスト300西東京のアパートに越したのは、三月の終わりだった。 軽鉄骨二階建て、二階左端の2DK。築二年。可もなく不可もない、ごく普通の物件だった。 私は三十を過ぎた独身で、在宅中心のフリーの仕事をしている。大家 ...
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いなくなったあと rw+2,185
2026/08/20 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
もう異動してしまったが、あれは去年の冬のことだった。 社会人になって六年目になる。誰に話しても信じてもらえないと思う。だが、あれを体験して以来、俺は毎朝、職場に入る前に必ず手を合わせるようになった。 ...
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戻されていないもの nw+454
2026/08/19 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
夜があれほど重く沈むとは、あのときまで知らなかった。 中学二年の冬、京都への修学旅行。古い木造旅館に泊まり、軋む廊下の音にいちいち騒いでいた。二日目の夜、夕食と風呂を終えたあとの自由時間、隣室の連中と ...
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落とし物 nc+
2026/08/19 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
伯母は、DVの夫から逃げて子どもを連れ、ようやく見つけた仕事が病院の清掃だった。 病棟、外来、廊下、待合室。手術室だけは専門業者が入るが、それ以外はすべて清掃班の担当だった。 容態が急変した患者を最初 ...
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泊まらなかった理由 rw+4,944
2026/08/19 -中編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
転職して半年。部署は違うが、喫煙室でよく顔を合わせる五つ上の先輩と親しくなった。 最初は会釈を交わす程度だった。だが、似たような苦手上司の話をぼやいたのをきっかけに、自然と同じ時間に煙草を吸うようにな ...
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《知っていた人》nw+512
2026/08/18 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
義両親に呼び出された日のことを、私は忘れられない。 春だった。花粉で目がかゆいはずなのに、それよりも先に、玄関の空気が喉を締めつけた。 応接間のテーブルに封筒が三つ並んでいた。 ひとつは、私のメールの ...
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家出した家 nc+
2026/08/18 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
小学校二年生の夏休みのことだった。 ラジオ体操から帰ってきて、もう一度布団に潜り込み、目が覚めたら昼近かった。家の中に誰もいなくて、妙だなと思いながら庭に出ると、母と兄が花壇の奥にしゃがみ込んでいた。 ...
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判断しただけ rw+2,815
2026/08/18 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あれから六年が経った。 岡山の夜のことは、記憶の底で湿った石のように沈んだまま、動かずに残っている。忘れたつもりでいても、何かの拍子に指先が触れると、冷えだけが伝わってくる。 今年、Nと再会したことで ...
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先に呼んだのは誰か nw+465
2026/08/17 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あれは、湿り気を帯びた夜だった。 雨は降っていないのに、空気だけが濡れていた。息を吸うたび、肺の奥で水が鳴るような錯覚があった。 友人の田代と、部屋で飲み直そうという話になり、コンビニ袋をぶら下げてマ ...
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先に走っていた nc+
2026/08/17 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
夫は「駐車場で見つけやすいから」という理由で、歴代の車のナンバーをすべて同じ番号にしている。 自営業で、車を使うことも多いし、話のネタにもなるからというのも理由のひとつらしい。 私の今の車は夫のお下が ...
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塩は乾かなかった rw+4,532
2026/08/17 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あれは数年前のことだ。 社員十人にも満たない、小さな会社で働いていた。外から見れば威勢がよく、勢いだけで走っているような会社だった。だが内側は違った。社長は派手好きで、金の動きは荒かった。数字の話にな ...
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残ったほう rw+2,301-3,066
2026/08/17 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
五年前の秋口のことだ。 大学を辞めて地元に戻ったばかりの頃、短期で入った老人ホームの夜勤で、年上の職員から奇妙な話を聞いた。 深夜の仮眠室。白い蛍光灯が低く唸り、紙コップのコーヒーがやけに苦かった。 ...
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西はこちら側 nc+465
2026/08/16 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
危険人物扱いされるのが怖くて、誰にも言えずにいた。でも、そろそろ限界かもしれない。 五年前から始まったんだ。きっかけは、テレビで野球を見ていた夜。気がついたら目の前のテーブルに、一枚の紙切れがあった。 ...
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敷地外の部屋 rw+3,600
2026/08/16 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
もう四十年も前の話だ。 埋立地にできたばかりの団地に住んでいた。空き地ばかりで、風が吹けば砂が舞い、自転車で同じ道を何周もしているだけで日が暮れた。昼間でも静かで、人の気配より潮の匂いのほうが濃かった ...
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死角の扉 rw+2,770
2026/08/16 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
ミルクと砂糖をたっぷり入れたコーヒーを口に含んだ瞬間、喉の奥にいやな感覚が残る。甘いはずなのに、どこか粉っぽい。 あれから一年が過ぎた。 七月の終わりだった。暑さが飽和して、夜の空気まで重く沈んでいた ...
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空白はいつも隣にいる nw+493
2026/08/15 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あの男から話を聞いたのは、深夜の喫茶店だった。 照明は弱く、空調の効きが悪いのか、店内には湿った空気が溜まっていた。 彼はグラスの縁を指でなぞりながら、思い出すように、途切れ途切れに語り始めた。顔色は ...
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半分だけ残るもの nc+
2026/08/15 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
祖母は生前、自分の家には神さまがいると言っていた。 それを冗談として受け取らなかったのは、祖母の言い方があまりにも生活に溶け込んでいたからだと思う。 仏壇と神棚が並んでいるのは、田舎では珍しくない。祖 ...
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黒い三角の飛行機 #2,258
2026/08/15 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
愛知県黒い三角の飛行機【ゆっくり朗読】 UFOの話もあったので、自分の体験をひとつ 301 :本当にあった怖い名無し:2011/01/31(月) 08:27:47 ID:OsJCGR1o0 自分が中学生のと ...
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ビデオの中の友人(6)#2,159
2026/08/15 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
ビデオの中の友人(6)あとがき【ゆっくり朗読】 B著です。ホラーテラー『ビデオの中の友人』の後書きです。 投稿者「B ◆06fMZ3gA」 2014/07/12 まぁ、後書きというより、その後。 Tが ...
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橋の下に埋めた名前 nw+415
2026/08/14 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
両親が営んでいたのは、町で三代続く文具店だった。 ノートや鉛筆のほか、小中学校への納品も請け負っていたから、うちは自然と町の内側にいた。役場の職員、地元議員、消防団、葬式帰りの親戚連中。レジ越しに交わ ...
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弟と行くから nw+505
2026/08/14 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
その日の朝も、夏の湿気が肌にまとわりついていた。 中学二年だった俺は、陸上部の朝練のため、夜明け前に家を出るのが日課だった。階下を通ると、弟の布団は空だった。珍しいことではない。弟は昔から、机の下やタ ...
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池へ渡すもの nc+
2026/08/14 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
Wの実家のある地区には、毎年八月の終わりに「役」を果たす家が一軒だけ決まる。 役目ではなく、役を果たす。そう言うのだと、Wは笑いながら話していた。 東と北と西を山に囲まれた小さな集落で、各家の代表が公 ...