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客席のそば nc+
2026/06/04 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
深夜、ベッドに横になっていると、必ず同じ音で目が覚めた。 ずり……ずり……と、床を引きずるような音。 最初は気のせいだと思った。古いアパートだし、配管の音か、隣の生活音が反響しているだけだと自分に言い ...
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アルバムから消えた女 nw+827
2026/06/04 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
大学二年の春、駅のホームで電車を待っていると、見知らぬ女性に声をかけられた。 「久しぶり。覚えてる?」 名前を聞くと、高校の同級生だという。確かに聞き覚えはあった。同じクラスだったらしい。だが顔が思い ...
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根を下ろす女 nw+664
2026/06/03 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
離島に嫁いだ知人の話だ。 島は山の稜線を境にふたつの集落に分かれている。北は畑を耕す者たち、南は海に出る者たち。南の者たちは、凪が続いても、嵐が来ても、必ず同じ言葉を口にするという。 「神が決めたこと ...
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十一階のまま nw+674
2026/06/03 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学一年の春、自分は朝刊の配達をしていた。 小遣いが欲しかっただけだ。任されたのは、地域でも一番高い団地だった。十数階建ての棟が一本、周囲の建物を見下ろしている。朝の霧のなかでは、建物の上半分だけが浮 ...
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お天道様は見ている rw+4,014
2026/06/01 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, カルト宗教
《神格》という名の階段~とある異邦人が語った話 「君の神格は、きっと高いね」 そう言ってきたのは、少し風変わりな外国人だった。英語混じりの日本語を話す男で、肩書きは自称「文化宗教学者」。だが話を聞いて ...
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空き地の記憶 rw+2,438
2026/06/01 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
居酒屋が消えたのは、まだ偶然で片づけられた。 駅前の角を曲がった先にあるはずの店がなくなり、仮囲いに覆われた空き地になっていた。近くにいた会社員は「あそこはずっと更地だった」と言い、飯田がいくら店内の ...
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朝練に出るチョンマゲ rw+1,937
2026/06/01 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
まだバスケットボールという球技が、黒板消し投げの次に人気だった時代。 小学生の朝は異様に早く、そして妙に熱心だった。自分は誰よりも早く体育館の鍵を開け、誰もいない板張りの床にボールを弾ませていた。澄ん ...
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人狼の電話 nw+604
2026/05/31 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学時代の同級生が、ある夜、酒の席で妙な話をした。 祖父は昔、朝鮮半島で交易をしていたという。ロシア人やタタール人とつながりがあり、その中に、ひとりだけ特別に親しかったロシア人商人がいた。 その商人が ...
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母が拭いたもの nc+
2026/05/30 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
いつもと変わらずに布団に入った。 その日は少し疲れていた気がするが、特別な出来事は何もなかった。部屋の電気を消し、仰向けになり、天井の暗さをぼんやり眺めながら目を閉じた。耳の奥で血の流れる音がして、意 ...
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落ちる直前 nw+870
2026/05/30 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
横断歩道の白線の手前で、足が止まった。 右から車が来ていた。信号は青。渡ってもおかしくはないが、待てばやり過ごせる距離だった。だから立ち止まった。それだけのはずだった。 それでも、背中に圧がかかった。 ...
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二週間だけの家族 nc+
2026/05/29 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
隣の部屋に夫婦が引っ越してきたのは、去年の夏だった。 自分は写真の専門学校に通っていて、学校の近くの木造アパートで一人暮らしをしている。風呂なしトイレ共同、四畳半一間。畳はところどころ黒ずみ、壁は板切 ...
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パイプラインの内部点検 ncrw+774
2026/05/29 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
閉所恐怖症というものは、診断名を与えられるより前に、体のほうが先に理解してしまう。 たとえば、内径六十センチの鉄の管に這いつくばり、前にも後ろにも引き返せない距離を進まされれば、その理解は理屈を介さず ...
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ふすまの前 nw+613(110)
2026/05/28 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
学生時代、週末になると決まって友人Aの家に集まり、夜通しゲームや無駄話をしていた。 Aの家は二階建ての一軒家で、二階にもトイレがある。集まるのは決まって、わたしとAと、もう一人の友人Bの三人だった。深 ...
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いなくなったと言い切れない ncrw+678
2026/05/27 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
一人暮らしというのは、自由と引き換えに孤独と責任を手に入れることだと、どこかで聞いた。 だが、自分がかつて経験した一人暮らしは、そのどちらとも違っていた。そこには、最初から最後まで、説明のつかない「同 ...
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戻りますか rw+5,135
2026/05/27 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
これは、三年前、私が心身ともに限界に近い状態だった頃の出来事だ。 当時、自営業を畳み、外出も最低限に抑え、自宅で時間を潰す日々を送っていた。昼夜の区別が曖昧になり、意味もなく画面を眺め続けることが増え ...
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通夜までの四日間 nrw+793
2026/05/26 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
夏という季節には、どうしても説明のつかない空気が混じる。 湿度や気温のせいだと言われればそれまでだが、それだけでは済まない何かが、確かに漂っている。 祖母が亡くなったのも、そんな夏だった。お盆を数日後 ...
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空室の生活音 nrw+745
2026/05/25 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
俺が今のアパートに引っ越してきたのは、ちょうど半年前だった。築三十年。 外壁の色はところどころ剥げていて、共用階段を上ると湿った埃の匂いが鼻につく。でも家賃が安かった。それだけで決めた。 最初の数ヶ月 ...
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夢の話は外に出る nc+
2026/05/23 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
年長さんの頃の話だ。 その日は婆ちゃんの家に泊まっていて、夜中にひどく怖い夢を見た。内容はもう覚えていない。ただ、目を開けた瞬間に胸の奥がぎゅっと縮んで、このまま一人でいたら何かが起きると確信するよう ...
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人数の欄は空白 nc+
2026/05/21 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
夏山開きの直前になると、必ず一通の案内状が届く。 山奥のその小屋は、年に四ヶ月ほどしか営業せず、残りの八ヶ月は完全な無人になる。 夏でもスキーができるほどの場所で、以前は小屋の周囲から雪が消えることは ...
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階段の裏側 nc+
2026/05/20 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
小学校を卒業するくらいまで、俺は市の外れにある古い団地の四階に住んでいた。 築年数は分からないが、外壁はところどころ剥がれ、階段の鉄柵は赤茶け、夜になると蛍光灯が半分ほどしか点かないような場所だった。 ...
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祓われなかった順番 nc+
2026/05/19 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
二年ほど前の話になる。 その年の夏、俺は立て続けに不運に見舞われていた。仕事では考えられないような初歩的なミスを何度も繰り返し、追突事故を起こし、隣県に遊びに行った際には駐車中の車に悪戯までされた。原 ...
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祝詞を上げた者 nc+
2026/05/18 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
先日、以前勤めていた職場の同僚と再会した。 私の前職場は地方の神社で、同僚は今も神主を続けている。酒席での他愛ない昔話が一段落した頃、彼がふと思い出したように、ある神主の名前を出した。 その人物は、県 ...
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来ないで下さい nc+
2026/05/16 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
高校に入ってしばらくした頃から、なんの前触れもなく女の幽霊を見るようになった。 心霊スポットに行った覚えもなければ、罰当たりなことをした記憶もない。事故や病気に遭ったわけでもない。きっかけらしいきっか ...
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見られているだけの部屋 nc+
2026/05/15 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
今から八年前の今頃の出来事だ。 当時の私は、学校のコネで入った会社でパートの古株から露骨な新人いびりを受け、気付いた時には拒食症になっていた。親から「鶏ガラ」とあだ名を付けられるほど痩せ細り、心身とも ...
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入れなかった女 nc+
2026/05/14 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
4年前くらいの話になる。 当時住んでいた部屋は、なぜかやたらと人が集まる部屋だった。 誰かが「落ち着く」と言い出してからは、ほぼ毎日のように友達が遊びに来て、そのまま泊まっていくことも珍しくなかった。 ...
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ペダルの感触が消えた夜 nc+
2026/05/13 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
秋田県高校生の頃の話だ。 部活が終わって、だいたいいつも二十一時前後に家へ帰っていた。場所は秋田のかなり田舎で、街灯はあるにはあるが、等間隔というには心許なく、田んぼと用水路と空き家が交互に続くような道だ。 ...
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栓は触っていない nc+
2026/05/12 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
高校生の頃、私はファストフード店でアルバイトをしていた。 そこで一つ年上の彼氏ができた。 同じ店に、彼の元カノも働いていた。 付き合う前に一度だけ顔を合わせたことはあるが、会話を交わした覚えはない。私 ...
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手を離さない nc+
2026/05/11 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
今はもう辞めてしまったが、少し前まで、とある公共施設の管理人兼受付の仕事をしていた。 入場無料で、冷暖房完備、特に利用制限も厳しくない施設だったから、昼夜を問わずいろいろな人間が出入りしていた。近所の ...
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口だけが笑っていた nc+
2026/05/10 -中編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
小学生の頃、同じクラスに好きな子がいた。 美人ってタイプじゃなかったが、笑うと口元がぱっと明るくなる子で、狭い顎に大きな前歯が窮屈そうに収まっていた。行き場をなくした八重歯が一本、笑うたびに顔を出す。 ...
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地下に着かない夜 nc+
2026/05/09 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
もう三十年ほど前の話だ。 当時の自分は中学生で、父が入院していたため、夜に母と連れ立って病院へ見舞いに行った。外来はすでに終わり、面会時間もぎりぎりだった。病室を出て一階へ戻る頃には、院内の照明は落と ...
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水を吸わない石 nw+461
2026/05/09 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学一年の夏、家族で実家の墓参りに行った。 祖父母の墓石の隣に、小さな無縁仏がある。背丈は膝ほどで、角が丸く削れ、文字も読めない。ただ、その上にだけ、白い塩が山のように盛られていた。 盛り塩というより ...
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開けなければよかった rw+1,875-0507
2026/05/07 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
十年以上も前のことになる。 伯父と叔母が、観光でエルサレムへ行った。ふたりとも信仰心が厚いわけではなく、歴史のある土地を一度見てみたい、という程度の気持ちだったらしい。旧市街から少し離れた丘の近くに、 ...
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電話口にはいた rw+2,358-0506
2026/05/06 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
今年になって、ずっと胸の底に沈めていた記憶が、急に形を持って浮かんできた。 きっかけは、一本のビデオだった。 小学三年の春、うちのクラスに転校生が来た。無口で、顔立ちの整った男子だった。この町は転校生 ...
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正面は違う nc+
2026/05/06 -中編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
時間外の救急外来で夜勤をしていた頃の話だ。 俺の仕事は救急で来た患者のカルテを作ったり、来院歴のある患者のカルテを探して医師に渡したりすることだった。紙のカルテがまだ現役で、保管期限を過ぎたものは廃棄 ...
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通り道に立っていた人 nc+
2026/05/04 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
俺が小学生の頃の話だ。 いつから見ていたのかは、もうはっきりしない。気がついたときには、そこにいた。薄い水色のワンピースを着た女だった。前に小さなボタンが並んでいる、どこか古風な形の服だ。最初に「これ ...
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十度傾いた柱 rw+3,984-0502
2026/05/02 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
伊勢の内宮へ向かう参道を歩いていた。 まだ若かった。何かを願いに行くというより、連れに誘われたからついて行っただけの参拝だった。砂利を踏む音が足もとから細かく返ってきて、木々の梢から漏れる光が、白く乾 ...
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連れてきたもの rw+3,780-0502
2026/05/02 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
助けてくれたあの人の話を、ここで書いておこうと思う。 あの人、というのは祖母のことだ。 私は幼いころ、一度だけ川で溺れたことがある。夏の終わりだった。親戚の家に集まっていて、大人たちは座敷で酒を飲み、 ...
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まだ作業中です nc+
2026/05/01 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
電力会社に入社した年の新人研修で、今でも忘れられない出来事がある。 研修内容の一つに、その会社が最初に手がけた水力発電所を見学するという行程が組まれていた。創業史の象徴のような施設で、社史やパンフレッ ...
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禁じられた五音 rw+4,532-0430
2026/04/30 -中編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
俳句をやっていると話すと、決まって少し意外そうな顔をされる。 中学校の国語教師が、休日に公民館で老人たちと俳句を作っている。それを想像すると、妙に地味で、少し滑稽に見えるのかもしれない。 けれど私には ...
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何度降りても四階に着く会社のエレベーター rw+2,700-0429
2026/04/29 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
怖い話というより、今でもエレベーターに乗る前に、階数表示を見てしまうようになった話だ。 某県のS市で働いていた頃、俺の勤めていた会社は、駅から少し外れた古い雑居ビルの四階に入っていた。壁は煤け、雨の日 ...
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四階が存在しなかった夜 nc+
2026/04/27 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
先月、仕事の都合で北海道へ出張した。 場所は札幌から少し離れた地方都市で、駅前の賑わいを抜けると、急に夜が濃くなるような土地だった。 その日は移動が長引き、ホテルに着いたのは夜九時を回っていた。 外気 ...
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旧姓で呼ぶ声 nw+393
2026/04/27 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学の同級生のことを、私は一度も思い出したことがなかった。 名前も、顔も、声も、何一つ残っていない。卒業してから十三年経っていたし、そんなものだと思っていた。 梅田の地下街で声をかけられるまでは。 「 ...
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終わらない配達 nc+
2026/04/26 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
夜明け前の街は、昼間とは別の顔をしている。 新聞配達を始めて半年ほど経った頃、俺はようやくその静けさに慣れ始めていた。エンジンを切った原付の横で新聞束を抱え、まだ眠っている住宅街を歩く。家々の窓は暗く ...
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残り時間は戻ったが nc+
2026/04/25 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
中学一年の最初の定期テストだった。 教室の空気は独特だった。鉛筆の芯が紙を擦る音と、鼻をすする音と、窓の外から聞こえる体育の笛の音が、奇妙に混ざり合っていた。緊張しているはずなのに、どこか現実感が薄い ...
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向きを失わないもの nc+
2026/04/24 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
高校生の頃、夜中に街を歩き回るのが趣味だった。 理由は特にない。昼間の街は人の意図や都合で満ちているが、深夜二時を過ぎると、街は急に本音だけを残す。信号は誰のためでもなく点滅し、住宅街は呼吸のような間 ...
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額の影 nc+
2026/04/23 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
小さい頃、父方の叔母の額に角が見えた。 ――そう言うと、決まって笑われるか、気味悪がられるか、どちらかだと思う。だから私はずっと誰にも言わなかった。ただ一度だけ、母に口にしてしまったことがある。 祖母 ...
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見つかっている nw+333-0422
2026/04/22 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
窓の外に差し込む夕焼けを見ると、今でも胸の奥がざわつく。 あれは夢ではなかったと思う。そう言い切りたいのに、思い返すたび、現実のほうが少しずつ剥がれていくような感じがする。 うちの家系には、昔から妙な ...
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鍵の行き先 nc+
2026/04/22 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
高校の頃、暇な夜になると、行旅死亡人(こうりょしぼうにん)の告知サイトを眺めていた。 理由は特にない。怖い話を探していたわけでも、社会問題に関心があったわけでもない。ただ、眠れない深夜に、画面の向こう ...
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次はお母さんと rw+2,399-0422
2026/04/22 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
これは、同級生から聞いた話だ。 小さい頃の彼は、商店街の端にある花屋の前を通るたびに、決まって「パフェが食べたい」と泣いたらしい。 母親はそのたび困ったそうだ。店はどう見ても花屋だった。入口には切り花 ...
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先に着いていた後ろ姿 rw+3,125-0422
2026/04/22 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
三重県出張の帰りだったそうだ。 Aさんが三重に住んでいた頃、大阪での用事を終えて、昼過ぎの電車で戻ってきた。途中の駅で一度乗り換えがあり、そこで降りたとき、妙な感じがしたという。 駅が妙に暗かった。夕方には ...