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記憶を引き継ぐ者 r+2,447
2025/10/16 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
数年に一度、決まって現れる人たちがいる。 爺さんだったり、婆さんだったり、おっさんやおばさんだったり。全部、違う人間だ。けれど共通しているのは、誰もが俺に向かって妙な言葉をかけてくることだった。 「久 ...
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天窓を揺らす手 r+2,027
2025/10/16 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小学生の頃、近所の英語塾に通っていた。 田舎町の中ではちょっと変わった存在で、日英ハーフの綺麗な先生が自宅を改装してやっていた塾だった。先生は町内では珍しいほど垢抜けていて、髪の色も目の色も、他の大人 ...
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いとこの子 n+
2025/10/15 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あれは、真夏の午後だった。 陽炎が立つような暑さのなか、畳の匂いと蝉の声に包まれた縁側で、俺はぼんやりと座っていた。足元には、幼い子どもが一人。いとこの子――まだ二歳かそこらの、小さな男の子だった。 ...
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ドッペルゲンガーの食卓 r+2,458
2025/10/15 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
高校生の頃に体験した話をする。 今でもあれが何だったのか、うまく説明できない。 その日の放課後も、部活に入っていなかった俺はいつものように六時半ごろに家へ帰り着いた。門を開け、玄関を開けると、台所から ...
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止まった時計の部屋 n+
2025/10/14 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
この話を思い出すと、耳の奥で時を刻むような音が鳴る。 乾いたカチリという響きが、心臓の鼓動と重なってはずれる。その違和感に、いまだに身体が震えるのだ。 あれは放課後の帰り道だった。薄曇りの空に電線が網 ...
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石の部屋 r+1,310
2025/10/14 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
大学生の頃のことだ。 あの頃、俺は駅前のファーストフード店でアルバイトをしていた。深夜まで続くシフトは眠気と油の匂いにまみれ、時間の感覚を曖昧にしていったけれど、それでも人間関係は意外に悪くなかった。 ...
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赤い頭のスーツ男 n+
2025/10/13 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
友人の川崎が、煙草の火を三本目に移す頃、ぽつりとこんなことを言った。 「トマト、好きか?」 俺が答えるより早く、彼は続けた。「……火を通せば、まあ、大丈夫なんだ。でもな、生で食うのは、もう無理だ」 そ ...
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十年越しの遅刻 r+3,459
2025/10/13 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
十二年ほど前から工事屋をやっている。 独立したての頃は右も左も分からず、人を集めるのに苦労した。そんな折、ある職人を呼んでいたのだが、そいつが当日になって姿を消した。朝、待っても来ない。電話をしても繋 ...
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六割残しの晩酌 n+
2025/10/12 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
今でも、あの夜に風が流れ込んできた瞬間を思い出すと、胸の奥で笑いと寒気が同時にざわつく。 カーテンが勝手に開く、というだけなら単なる物理現象で済ませられただろう。だが、開いた窓の向こうに立っていたもの ...
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予約できるはずのない店 r+4,226
2025/10/12 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
京都の三条にある飲み屋で聞いた話。 語ってくれたのは、会社の同期会で幹事を任されたという三十代の男性だった。 その夜のために彼が選んだのは、かつて母と訪れたことのある小さなイタリアン。思い出の味に仲間 ...
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煙の向こうにいた人 r+4,549
2025/10/11 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
沖縄県俺の実家は沖縄の、とある海辺の町にある。 観光客が必ず足を運ぶ大きな水族館があって、その周囲は広大な公園として整備されている。地元の人間にとっては、遠足や家族の休日に必ず一度は訪れるような場所だ。 子 ...
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赤い輪の記憶 r+2,935
2025/10/11 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小学校一年の頃だった。 場所はモスクワ。父の仕事の都合で一家ごと移り住んでいたのだが、週末になると補習のような形で、現地の日本語学校へ通っていた。校舎は古く、夏でも薄暗い灰色の光が廊下に差し込んでいて ...
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怒りを呼ぶ顔 r+2,641
2025/10/11 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
生まれてからずっと、ひとつだけ説明のつかない体質を背負っている。 自分ではどうしようもないのに、誰彼かまわず激怒させてしまうのだ。 最初にその異常に気づいたのは、幼い頃だった。親戚が集まる席で、ただ黙 ...
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十二時間の空白 r+1,866
2025/10/11 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
昨日のことだ。 実家に用事があって久しぶりに立ち寄った。冬の夕暮れ、玄関の引き戸を開けると、懐かしい埃の匂いと、長方形に伸びたリビングの灯りが鼻腔にまとわりついてきた。父と母は二人とも出かけているらし ...
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フリースクールの闇~日野市小四自殺事件 n+
2025/10/10 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あの日のことを思い出すと、いまだに息が詰まる。 二〇一五年の十月末、同じフリースクールに通っていた少年が、不可能としか思えない死に方をした。新聞記事では「自殺の可能性」と書かれていたが、実際にその場を ...
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オレンジ色の悲鳴 r+2,030
2025/10/10 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小学五年のときのことを、ふと思い出す。 きっかけは、アマゾンプライムで探偵ナイトスクープの昔の回を観たからだ。四つ葉のクローバーの声が聞こえるという少女が出てきていて、妙に懐かしい感覚に襲われた。自分 ...
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鳥居の女 r+2,141
2025/10/10 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
二週間ばかり前のことだ。 晩に犬の散歩をしていて、どうにも胸の奥に残るような奇妙なものを見てしまった。忘れようとしても、目蓋の裏に焼きついている。 クロという雑種犬を飼っている。これまでは息子が世話を ...
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おい、小池、まだ隣にいる n+
2025/10/09 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学の同級生に会ったのは、二〇年ほど前の同窓会だった。 名前はここでは伏せるけれど、彼は妙に痩せて、背広もぶかぶかで、顔色は灰色に沈んでいた。酒も進まず、ぽつりぽつりと話すばかりだった。帰り際に呼び止 ...
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水底の鏡に映る未来 r+1.858
2025/10/09 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あれは、もう何年も前のことだ。 思い出すたびに胸の奥がひやりとし、同時に奇妙な温もりが指先に残る。 当時、私は金属加工の小さな工場を経営していた。機械の油と鉄粉の匂いに包まれた職場。旋盤の音は一日中鳴 ...
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父の骨董 r+1,980
2025/10/09 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
親父は五十歳のとき、唐突にそれまで経営していた紡績工場をすっぱりと手放した。 工場の経営権から何からすべて売り払い、十億近い金を手にしたのだ。家族は呆然としたが、本人は晴れやかな顔でこう言った。「もう ...
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コーイチ君からの伝言 n+
2025/10/08 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あの夜を境に、俺は知らない番号からの着信にいまだ怯えている。 長い話になるが、これは俺の身に確かに起きた出来事だ。落ちもなく、理屈もつかない。ただ気味が悪くて、どうにも忘れられない。 当時十九歳。俺は ...
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送り番の夜 r+2,266
2025/10/08 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
子どもの頃、ひい爺さんからよく昔話を聞かされた。 ひい爺さんは明治の早い時期の生まれで、山奥の村で育った人だった。小柄で、眼差しにいつも影のようなものを宿していた。焚き火の明かりに顔を照らしながら語る ...
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おーい〇〇さん! n+
2025/10/07 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学の同級生のことを、私は一度も思い出したことがなかった。 名前も、顔も、声すらも。けれど十三年後の梅田で、まるで忘れるはずのない親友のように声をかけられたのだ。 「おーい〇〇さん!」 最初に呼ばれた ...
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きづうない声 r+2,471
2025/10/07 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
突然で申し訳ないが、子供の頃に一度だけ、妙に胸の底へ沈殿して離れない体験をしたことがある。 話すほど大したものではない。だが、今も脳裏に残っていて、時おり夢のように浮かび上がる。暇があるなら、少し耳を ...
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電話に出る稲荷 n+
2025/10/06 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
実家の固定電話には、昔から奇妙なことが起こる。 家に誰もいないとき限定で、電話をかけると必ず誰かが応答するのだ。無言でも、雑音でもなく、若い男の声で、まるでそこに住む家族のように「はい、○○です」と。 ...
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夢から戻った位牌 n+
2025/10/05 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あれは、まだ義母と同居していた頃のことだった。 家に遊びに来てくれる友人がいた。彼女はいつもにこやかで、どんな嫌味にも軽く受け流すような穏やかな性格だったのに、その日は思いも寄らぬ言葉を口にした。きっ ...
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五角の井戸と塚 r+2,873
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
子供の頃、よく神社で遊んでいた。 といっても、遊び場としてそこを選んだのは偶然じゃない。家から歩いて七分、すぐ裏が山になっていて、鬱蒼とした木々の下に、ひっそりと佇む社があった。あんなに頻繁に通ったの ...
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空白の一年とひまわり畑 r+3,187
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
風邪をひいていた。身体の芯がずっと冷えていて、骨の奥で氷が溶けないような感覚があった。 その日、耐えきれず大久保の病院へ行くことにした。西武新宿線の吊革に片手をかけ、電車の揺れに合わせて身体を預ける。 ...
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監視の目 r+2,667
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
地方新聞の支局で記者をしていた頃のことだ。 あの事務所は、平日の昼でも妙に湿った匂いがした。紙とインクと、古びた木の机が吸い込んできた幾年分の埃の匂いが混じり、いつまでも鼻の奥に残る。静かな日は、時計 ...
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眠りに落ちたはずの目 r+2,578
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あの日、僕は美術室の掃除当番だった。 午後の授業が終わったあと、早く帰ってゲームでもやろうと、ほうき片手に足早に机の間を縫っていた。西日の差す窓から、粉塵が金色に漂って見えた。誰もいない美術室は、しん ...
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赤いひも n+
2025/10/04 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
大学を卒業して新しい職場に通うため、春に引っ越しをした。 部屋は二階建ての小さなマンションの一室で、古さはあったが駅からも近く、社会人一年目の私には十分な環境に思えた。契約の手続きも滞りなく済み、荷物 ...
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鷲駿の影 r+5,076
2025/10/04 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あれは、もう何年も前のことだ。 山に入るたび、あの日の匂いを思い出す。湿った土と、夏草が腐りかけた甘い匂い……そこに混じる、かすかに血の匂い。あのとき拾ったもののことを、まだ誰にもきちんと話したことは ...
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五年の空白 r+2,724
2025/10/04 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
二十歳の春の朝だった。 前の晩は遅くまで友達と電話をしていたせいで、少し眠たげなまま庭に出た。陽はやわらかく、まだ冷たい風が頬をなでていた。片手にホースを持ち、しゃらしゃらと水を撒く。その瞬間だった。 ...
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引き出しの底 r+3,553
2025/10/04 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あれは、酒場の片隅で友人に聞いた話だった。 テーブルに置かれた焼酎のグラス越しに、彼がぽつりと名前を漏らした瞬間、胸の奥にひやりとした空気が入り込んだ。――N。営業マンで、口先だけは妙に上手い男だった ...
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元の時代に帰りたい r+1,429
2025/10/04 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小さい頃から、何度も同じ夢を見る。 夢の中で「ああ……まただ」と思う。けれど、目が覚めた瞬間、その内容は霧のように消え失せる。ただ、同じ夢を見たという確信だけが残り、胸の奥を押しつぶすような懐かしさと ...
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教師と少女と、夜の病院 n+
2025/10/03 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
俺の母は、小学校の教師をしていた。 それだけなら何の変哲もない話だ。けれども、母は「普通の教師」ではなかった。霊を感じる力を持っていたのだ。本人はそれを大っぴらに語ることはなかったけれど、赴任する学校 ...
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掛軸と子供の声 r+3.488
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
助けてくれたあの人の話を、ここで書いておこうと思う。 あの人とは、私を川岸で引き上げてくれた祖母のことだ。幼いころ、溺れて、息が詰まり、視界が真っ暗になった時、泥だらけの手で私の腕をつかんだ祖母の顔が ...
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南方からの呼び声 r+2,319
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
大学生の頃、ひょんなことから南方の島へ行くことになった。 戦中に亡くなった兵隊たちの遺骨を日本へ帰す活動だ。正直、霊だの祟りだのには全く興味がなかったし、そんなものがあるなら一度くらい見てみたいと思っ ...
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赤い月と銅鍋 r+2,407
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
中学に上がる前の頃だったか、囲炉裏のそばで、じいさんが火箸をいじりながら話してくれたことがある。 それはどうにも頭から離れず、歳を重ねた今でも、思い出すと背筋がひやりとする。 じいさんは畑も耕してはい ...
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鏡の向こうの乗客 r+1,967
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
友人の部屋に行くのは、これで三度目だった。 あいつが住んでいるのは築十五年ほどのマンションで、外観は古びているが内装はやけに清潔だ。玄関の脇にあるエレベーターは、入ってすぐの奥が全面鏡張りになっている ...
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霧の境界で待つもの r+1,433
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あの夜のことを思い出すと、今でも胸の奥に冷たいものが落ちてくる。 数年前、顔見知りに連れられて場末のスナックに入った。カウンターの奥には、派手なドレスを着た女がグラスを磨いていて、連れは「ここのホステ ...
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お歯黒の男 r+1,971
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
もう何年前のことだったか、正確な年はもう曖昧だ。 ただ、その日程の狂い具合と、あの夜の異様さは、今でも鮮明に思い出せる。 夏の終わり。親が京都へ行くというので、便乗することにした。当時、私は趣味全開の ...
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虹色の飴玉 n+
2025/10/02 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
もう十年も経ったし、そろそろいいだろうと思って書く。 自分の記憶の中でいちばん不可解で、いまだに何だったのか説明できない出来事だ。 小学校六年の秋だった。授業を終えて、ランドセルを背負ったまま帰り道を ...
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ミロと兵隊 r+2,152
2025/10/02 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
子どもの頃から、ずっと誰かに見られていた。 正確に言えば、同じひとりの男だった。顔を上げると、そこに立っている。距離は少し離れている。だけど視線はまっすぐ、確かに私に注がれている。 男はいつも同じ格好 ...
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裏返った名札 n+
2025/10/01 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
今でも編集部の夜を思い出すと、湿った紙と古いインクの匂いが喉の奥にひっかかる。 あの話をしてくれたのは、地方紙から移ってきた校閲担当の女性だった。彼女はいつも名札の角を親指で擦っていて、それが妙に落ち ...
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香水の記憶 n+
2025/10/01 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
父の会社が潰れたのは、俺が高校二年の夏だった。 それまで小さな社長の息子として、なんとなく「自分の人生は決まっている」ような気でいた。倒産の知らせを聞いた瞬間、床が抜け落ちるみたいに、足場を失った感覚 ...
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二時の供物 r+1,769
2025/10/01 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
茨城県の常磐道を南へと走ると、とあるインターチェンジがある。 深夜、そこを降りると空気が変わる。工業団地へ向かう道は、昼間でも人影が薄く、夜になると別世界のように音が消える。私がその場所を初めて訪れた ...
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金色の魚 n+
2025/09/30 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
子どもの頃から、ずっと胸の奥に沈んでいた奇妙な記憶がある。 幻覚だったと思い込み、大人になるにつれて心の引き出しの奥底に押し込んでいたのだが、四ヶ月前、ある出来事をきっかけに、あの記憶がぐらぐらと浮か ...
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赤く塗られた窓 r+4,296
2025/09/30 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小学四年の夏、俺たちは郊外の新興住宅地に引っ越した。 丘陵を切り崩して造られたばかりの街で、家々はみんな真新しく、植え込みもまだ痩せた苗木のように細かった。舗装の匂いが夕立のたびにむっと立ち上がり、夜 ...
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みほちゃんの微笑み n+
2025/09/29 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
この話をすると、必ず誰かに「作り話でしょう」と言われる。 でも、あれは幻覚や妄想なんかじゃなかった。今でも、あの笑顔と声を思い出すと胸が締めつけられる。 看護学生の頃だった。まだ技術も知識も半端で、た ...