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嵌めなかった指輪 rw+8,559

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姉の話。姉本人がどこかのスレに相談したらしいので読んだことある人いるかも。

★お姉さんの話開かずの神社

本人が昔、どこかの掲示板に相談として書き込んだらしい。

姉は数か月前からダイエットを始めて、昼休みや仕事帰りに歩いたり自転車に乗ったりしていた。
そのコースの途中に、いつも閉まっている神社がある。

鳥居の前には、駐車場の仕切りみたいな伸縮式の金属柵がついていて、正面からは入れない。
隣に寺があって、そこを通れば裏から境内に出られるが、ほとんど人が入らないらしく、いつ見ても静かだった。

姉はその神社の前を通るようになってから、妙な感覚を覚えるようになったと言っていた。
車で通りかかるだけなのに、眠っていても急に目が覚めて、「あ、今あの神社の前だ」と分かることが何度もあったらしい。

気のせいだと思っていたが、歩いて通るようになってから夢がおかしくなった。

最初は、何かから逃げている夢だった。
暗い場所に隠れていると、知らない男が現れて、「こっちに来れば大丈夫」「外は怖くない」と穏やかに誘ってくる。
声は優しいのに、行ったら終わりだと直感的に分かって、必死に断る。

それが何週間も続いて、姉はあることに気づいた。

神社の中を通った日は、何も見ない。
神社の前を素通りした日は、追われる夢を見る。
運動を休んだ日は、怖い場所から「きれいなところ」へ誘われる夢になる。

祭り。花。星空。
どれも穏やかで、恋人同士のデートみたいな誘い方だった。

ある夜、姉は真っ白な着物を着せられる夢を見た。
白木の箱に寝かされ、火葬場の炉に運ばれる。
扉が閉まる直前、誰かが腕をつかんで言った。

「このままだと焼かれてしまうよ」

姉はその手を振り払って叫んだ。
「体は焼けても、私は焼けない。ここで出たら、家族に会えなくなる」

引きずられそうになった瞬間、目が覚めた。

翌朝、姉は「死に装束じゃなかった」と言った。
「花嫁衣装だった」

さすがにおかしいと思って、姉は地元の大きな神社に行き、お守りをもらって枕元に置いた。
それから追われる夢は消えた。

代わりに、手紙を渡される夢を見るようになった。
花をもらう。名前を呼ばれる。
何度も断っているのに、最後に指輪を差し出される夢を見た。

姉は嵌めなかった。
目が覚めても、左手の薬指だけが妙に冷たかった。

不安になって、地元で有名な八卦見のところに行った。
挨拶をする前に、その人はこう言った。

「○○町の、閉まってる神社だね」

説明を求めると、いろいろ話してくれたらしい。
神社が荒れていること。
長いこと誰も来ないこと。
夢の中で見たものの意味。

ただ、姉は後になって言った。
「あの人、最初に“神様が後ろにいる”って言ったけど、どっちのことか分からなかった」

八卦見は最後にこう言ったという。
「つらいなら近づかなくていい。ただ、向こうはすぐには諦めない」

姉はそれ以来、コースを変えて神社の前を通らなくなった。
夢を見る頻度も減った。

でも完全には消えていない。

最近、姉は天気雨の日が苦手だ。
晴れているのに、急に降ってくる雨を見ると、無意識に左手を握りしめている。

指輪を嵌めなかったはずの指が、
いまだに、何かを待っているみたいに冷えるからだ。

(了)

[出典:102 :本当にあった怖い名無し:2013/09/01(日) 17:44:09.23 ID:rClcREBk0]

★関連話:お姉さんの投稿 ⇒ 開かずの神社

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