短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

友人N【ゆっくり朗読】1300

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6年前、当時大学3回生だった俺と友人N、Iは正月に帰省し、久しぶりに会って飲んでいた

911 :本当にあった怖い名無し:2012/09/11(火) 23:00:57.42 ID:3VMXduJ2Q

その時に、Iが住んでいるアパートで妙な物音がしたり、金縛りにあったりしていると言った。
地元にいても割と暇だったし、3人とも大学が中国地方だったので、ひとつ心霊体験でもしてみようと、
翌日、Iのアパート(岡山)に向かった。

Iのアパートで酒飲んでゲームしながら、何か起きないか待っていたが、
何も無いまま深夜2時を回り、いい加減寝ようという流れになった。
Iはベッド、俺はソファ、Nは床で寝たが、
4時頃にNの「おらぁ!!」みたいな叫び声で目が覚めた。
驚いて声のした方を見ると、NがIの寝ていたベッドの側に立っていた。
Iは少し怯えた様な感じで、Nは少し笑っていた。

寝起きで状況が分からない俺が、二人に何があったか聞くと、
Iは金縛りになったと思ったらNの声がして、金縛りが解けたらしい。
Nは床で寝付けずゴロゴロしていて、誰か起きてないかと部屋の中を見回したそうだ。
するとIの側に黒いもやのようなものが見えた。
部屋の電気は消していたけど、明らかにそこだけ闇が深くなっているようだった。

そのもやがIに覆い被さるように動くのを見て、Nはヤバいと思ったらしい。
とっさに起き上がり、もやを殴った。(声はこの時)
するともやは消え、Iは金縛りから解放されたらしい。
Nは「分からんけど、見た瞬間に勝てると思った」と笑っていた。
普通、勝てる勝てないの話じゃないだろ。
カッコいいけどバカだなぁと思った。

その二週間後、Nは交通事故で入院した。
道路に何故か直径3mぐらいの穴が開いていて、運転する車ごとそこに落ちたらしい。
見舞いに行ったとき、さすがに祟られていると思い、お祓いでもしとけと言うと、
Nは「いくら幽霊でも、道路に穴は開けれんだろ。つーか、そんな強かったら、勝てる気しねぇ」と、やはり笑っていた。

その後、Nは結構な大怪我で長期入院したためか、そもそものキャラの問題か、就活で苦労して、
最終的に自衛隊に入った。

今年、またNに会った。
昔より一回り以上マッチョになっていて、身長は170台だが体重は100kgくらいありそうだった。
近況を聞くと、名古屋らへんに配属されていて、例の震災の救助活動にも参加したそうだ。

例によって酒飲みながらだったので、グロ系の話は聞きたくないと思いつつも、
気になったので「幽霊とか見た?」と聞いてみた。
Nは真面目な顔で「分からん」と答えた。
「見たかもしらんけど、それどころじゃなかった。亡くなった方もそれどころじゃないだろうし」
不謹慎過ぎたなと反省した。
「でも、呼ばれてるような感じはよくしてた」とNは言った。

活動中も休んでいるときも、何かぼんやりした声のようなものが聞こえてくることがあったらしい。
一応、精神科にも掛かったりしたが、ストレスから神経過敏になっているのだろうとのことだった。
Nはそれで納得しているし、多分そういう事だろうと思う。
もう声は聞こえなくなったそうだ。
なんとなく歳取ったなぁと思った。

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