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魔の三角地 r+8045

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実家の近くにある賃貸マンションについての話だ。

狭い三角地に建てられたそのマンションは、世帯数にして二十五ほど。土地の形が悪い場所に商業施設を建てても長続きしないというのはよく聞く話で、実際、その場所もかつては墓石屋の無人展示場だった。角のほうには、引き取り手のない無縁仏の墓石が幾つも積み上げられていた。

父親が石工だったため、墓石の扱いについて多少の知識がある。墓石というものは特定廃棄物に分類され、処分には正式な手順が必要だ。まず僧侶が魂抜きの読経をし、その後、戒名をノミで削る。そして、通常であれば墓石は真っ二つに割られ、一般の目に触れぬよう処理される。しかし、まれに土地の片隅にそのまま放置されることがある。

仏が宿った石は不浄とされ、それが置かれる土地もまた、不浄の土地と化す。古くからこの地では、そうした土地は災厄を招くとされ、近づかないように言い伝えられてきた。夜な夜な不吉な影がさまよい、そこに建つ家や施設には必ずと言っていいほど不幸が訪れるという。

そんな場所に建てられたマンションが無事で済むはずもなく、案の定、そこでは殺人事件が起こった。近隣住民も妙な話をよく耳にするらしい。夜中に廊下を歩く足音、誰もいない部屋からの低いうめき声、真夜中に玄関のチャイムが鳴るのに、ドアを開けるとそこには誰もいない。そんな不可解な出来事が続いた末に、ついには事件が起きた。

三角地に繁盛するのは葬儀屋だけだ。経験上、紹介された物件に対して嫌な感じがする場合は避けたほうがいい。空き物件にはそれなりの理由があるものだ。不動産屋の営業は物件の内情を知らないことが多い。むしろ、大家に直接聞いて、その反応を見極めるのが確実だろう。

似たような話をもうひとつ。

実家からそう遠くない場所に、道の行き止まりに位置する三角形の空き地があった。行き止まりという不便さと土地の形の悪さから、長いこと買い手がつかなかった。しかし、ようやく買い手が現れ、そこに一軒の家が建てられた。

近所の人の話では、その家の住人は破格の安値に惹かれて購入を決めたらしい。そこに最初に住んだのは、両親と娘二人の四人家族だった。しかし、娘たちが奇妙な行動を取るようになり、やがて一家は引っ越してしまった。夜中にベランダで祈ったり、歌ったり、踊ったり……まるで何かに憑かれたかのようだった。

その後、新たな家族が移り住んだ。定年後の夫婦とその息子の三人暮らし。だが、五年ほど経つうちに、またもや異変が起こる。

息子は精神を病み、家から出られなくなった。引っ越して間もなく、彼は夜な夜なうなされるようになり、誰もいない部屋の隅をじっと見つめることが増えたという。ある日、近所の人が彼の悲鳴を聞いたが、家族は何も話さなかった。そのうちに、三百六十五日、雨戸を閉め切り、家にこもりきりになった。たまに玄関先に姿を見せることはあるが、すぐに引っ込んでしまう。

母親は急死した。死因は不明。そして、残された父親も様子がおかしくなった。家の中でひとりハーモニカを吹き続けることがあれば、誰もいない空間に向かってぶつぶつと話しかけることもある。夜になると、壁の向こうから何かに呼ばれているようにささやく声が聞こえるとも言われている。目つきは完全に狂ってしまっていた。

近所の人はその家に近づかなくなった。あるとき、夜中に家の前を通りかかった者が、雨戸の隙間から光が漏れているのを見た。そこには、微動だにせず壁をじっと見つめ続ける父親の姿があったという。まるで何かに取り憑かれたような目をしていたそうだ。

彼らは、ここへ来る前は普通の幸せそうな家族だったらしい。それが、たった数年でこの有様だ。

もちろん、ただの偶然かもしれない。引きこもりになった息子、妻を亡くした老人の孤独――それだけを見れば、よくある話だ。

だが、前の住人も発狂し、次の住人も精神を病んだとなると……何かがあると考えずにはいられない。近所では、その家の前を通ると誰かに見られている気がするという声が多い。実際、夜中に通りかかった人が、二階の窓からじっとこちらを見つめる人影を見たという証言もある。夜になると不思議なざわめきが聞こえると語る住民もいた。風のない晩でも、家の周りから微かに囁くような声が聞こえるのだという。

三角形の土地、行き止まり、墓石の名残……それらが関係しているのかどうかはわからない。しかし、そこに住んだ者が次々と異常をきたすという事実は、無視できないものがある。過去二十年の間に、この場所に住んだ家族は三組いたが、いずれも精神を病み、短期間で転居しているという記録がある。また、近隣住民の話によると、この家に住んだ者のうち少なくとも二人は行方不明になっているらしい。このような不可解な事例が重なると、単なる偶然とは言い難いのではないか。

[出典:465 :本当にあった怖い名無し:2012/06/19(火) 03:55:48.59 ID:wHEb0Gnd0]

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