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火葬場のバイト r+7,751

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俺が昔、火葬場でバイトしていた頃の話だ。

ある朝、斎場の玄関を掃除していたら、黒いSUVが音を立ててやってきた。車から降りてきたのは、やたら成金っぽい雰囲気を漂わせた中年の男。腕にはフランクミュラーの時計なんかして、いかにも金持ちって感じだった。その男がいきなり「遺体を焼いてくれ」と要求してきた。

通常、遺体を直接持ち込むなんてことはなくて、事前に業者や親族から連絡があって、そのうえで必要書類を揃えてもらい、時間を調整して火葬を行う。それが普通の流れだ。だけど、その男は「斎場長には話が通ってるから、今すぐ焼け」と、高圧的な態度で迫ってきた。

仕方なく、その場で待ってもらい斎場長に確認しに行ったら、「焼いてやれ」とあっさり言われた。だから、指示通り準備を進めて火葬炉を開けることにした。

遺体は30歳くらいの男で、まだ死んだばかりといった感じ。普通の遺体よりも顔色がピンク色で、生々しい印象だった。外傷もなく、見た目は綺麗な状態。確認を済ませて棺を閉じ、炉に入れて火葬を始めた。

しかし、20分ほど経ったころ、炉の中から突然「ドカン、ドカン」という爆発音が響いた。俺は一瞬、目の前が真っ暗になった。「もしかして、生きてたんじゃないのか?」と頭をよぎったけど、火葬を開始して20分も経てば棺も完全に焼けている。たとえ生きていたとしても、この時点で助けるのは無理だとわかっていた。それでも、手足が震えて動けず、炉を開けるなんて到底できなかった。

通常、遺体は1時間ほどで灰になるのが普通だが、その日は怖くて30分以上炉を開けられなかった。その間、例の成金男はいつの間にかいなくなっていた。

どうしても怖くなって斎場長を呼びに行き、「途中で炉の中から音がした」と正直に話し、立ち会ってもらうよう頼んだ。そしてついに炉を開けると、焼肉のような匂いが立ち込めた。

斎場長がトレイを引っ張り出した瞬間、そこには半焼けの遺体があった。男はうつ伏せの状態で、焼けただれていたが、完全に灰になっていない。俺はその場で訳がわからなくなり、気を失って倒れた。

後から冷静に考えると、あの男はまだ生きていて、炉の中で焼かれる熱さに耐えられず暴れたのだろう。そのせいで棺が壊れ、火葬炉のバーナーが損傷して完全に焼けなかったのだと思う。

その一件以来、俺は火葬場に戻ることはなかった。ただ、それから数日後に斎場長が俺を訪ねてきて、何も言わずに1,000万円を渡してきた。「他言無用」なんて言葉もなく、ただ現金だけを置いていった。

今、その金でなんとか暮らしているけれど、あの出来事はトラウマとして今も心に残っている。夢に出てくるたび、しんどい気持ちになる。

(終)

[出典:256名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/02/05(月)14:39:10ID:y2fws4fi0]

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