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短編 r+ 洒落にならない怖い話

山奥の廃墟 r+4162

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俺が生きてきた中で、間違いなく一番怖かった体験の話をしようと思う。

これは実際に起きた出来事なんだけど、こうやって文章にすると、なんかあんまり怖さが伝わらない気がするんだよな。まあ、俺の文章力が足りないだけかもしれないけど、とにかく書いてみる。

時は1994年、俺は当時都内で学生をやってた。地元は田舎で、気心の知れた友達が何人かいた。休みになると地元に帰っては、朝まで飲んだり、ナンパしたり、コンパしたりして遊び倒してたんだ。楽しい夏休みを過ごしてた、そんなある日のことだった。

その夜もいつものように友達と夜遊びしてて、カラオケで女の子たちと盛り上がってた。けど、彼女たちは次の日のバイトがあるとかで、カラオケが終わると帰ってしまった。暇になった俺たちは、誰からともなく「肝試しでもやらね?」って話になり、地元で有名な廃墟になった別荘へ行こうということになったんだ。

今思えば、男だけで肝試しなんて何が楽しいんだよって感じだが、当時は免許を取ったばかりで、何をするにも楽しかった。その別荘は地元で噂が絶えない場所で、誰かがそこで殺されたとか、夜中に窓から女が覗いてるとか、不気味な話がいろいろあった。でも俺はその噂話を詳しく知ってたわけでもなかったし、友達が4人も一緒だったから余裕ぶっこいてたんだ。

夜中の12時を過ぎて現地に着くと、まず驚いたのはその場所の不気味さ。周りは真っ暗で、車のヘッドライトを消したら闇に飲み込まれるようだった。「暗黒ってこういうことを言うんだな」とか、そんなことを思ったよ。

廃墟に近づいていくと、外から見ても荒れ果てた様子がわかった。俺たちは入り口のバリケードを壊して中に侵入した。中は埃っぽくてカビ臭く、ガラスが割れて床に散らばってる。その上、スプレーで落書きだらけ。「誰々参上」なんて書かれてて、それを見てまた少しビビった。

友達の中には格闘技経験者のイケイケな奴もいたし、「多少のことがあっても大丈夫だろう」と思いながら、俺たちは廃墟の中を探検したり、壊れたものをいじったりして遊んでた。でも、しばらくすると飽きてしまって、車に戻ることにしたんだ。

車に戻ったとき、運転手がたまたま肘でドアロックを押してしまい、全ドアの鍵がかかってしまった。まあ、特に気にもせず、車の中で音楽を聴いたり、ダラダラ話したりしてた。その時、山頂付近から光が見えた。どうやら車のライトらしい。

「こんな夜中に山から下りてくる車って何だよ?」と全員緊張。逃げるべきかとも思ったけど、誰も「逃げよう」とは言わなかった。なぜか妙なプライドが働いて、「舐められたくねぇ」と思ったんだろうな。

車は一本道を進んで俺たちの前に現れた。なんとそれはタクシーだった。「こんな山奥にタクシー?深夜に?」と全員困惑。そのタクシーは俺たちの車の少し後ろで止まり、後部座席から二人降ろすと、そのまま走り去ってしまった。残されたのは、赤いワンピースを着た女と、スーツ姿の男。二人は俺たちをじっと見てたかと思うと、ゆっくりと近づいてきた。

最初は呆然としてた俺たちだけど、彼らが車のすぐ近くまで来ると、一気に恐怖が押し寄せてきた。男が運転席側、女が助手席側に回り込み、いきなりドアノブをガチャガチャと引き始めたんだ。その勢いがすごくて、車全体が揺れるほどだった。

「ヤバい!」と全員パニック。でも、たまたま鍵がかかってたおかげで車内に侵入されることはなかった。運転手が「逃げるぞ!」と叫び、俺たちは慌てて車を発進させた。車内はパニック状態。「何だったんだあいつら!?」と恐怖で泣き叫ぶ奴もいた。

その後、近くのファミレスに車を停めて、ようやく落ち着きを取り戻した俺たちは「あれは一体何だったのか」と大騒ぎ。でも、運転手がポツリと言った言葉が忘れられない。

「あいつらの顔、見てねぇのかよ?目が、黒目しかなかったんだよ。あれ、人間じゃねぇよ」

俺たちは一気に黙り込んだ。誰も反論できなかったし、嘘を言うタイプの奴でもない。結局、そのままファミレスで朝まで過ごした。

人間、本当に怖い思いをすると、小便を漏らすことをその時初めて知った。俺は涙は出なかったけど、少しだけ漏らした。それが俺の人生で一番怖かった体験だ。

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