ネットで有名な怖い話・都市伝説・不思議な話 ランキング

怖いお話.net【厳選まとめ】

短編 r+ 洒落にならない怖い話

道を教えてください r+4157

更新日:

Sponsord Link

これは、数年前に都内で一人暮らしをしていた友人から聞いた話だ。

夕方、帰り道の薄暗い路地で「道を教えてください」と声を掛けられたという。相手は背の高い女だったが、彼女の異様さにまず目を奪われたらしい。

女は異様に細い足を震わせており、体を支えるだけで精一杯のように見えた。手も同様に細く、まるで木の枝のように貧弱な腕で真っ赤なハンドバッグを握りしめている。その顔は青白く、何度も浅い息を吐きながら、何かを追い求めるような目で路地のどこかを見つめていた。だが、不気味だったのはその視線が話しかけられた友人にはまるで向けられていなかったことだ。

「道を教えてください」ともう一度頼まれたが、その声には不自然な高低差があり、耳にひっかかる違和感が残ったという。

友人は恐怖心を覚えながらも、なるべく穏便にその場を切り抜けようとした。

「あ…あの、どちらに行きたいんですか?」

女は静かに口を開いた。

「●●●町1-19-4-201」

その瞬間、友人は凍りついた。女が告げた住所は、彼自身が暮らしているアパートの住所だったからだ。それも部屋番号まで、ぴたりと一致していた。

彼は全身の血が引くのを感じた。冷たい汗が背中を伝い、動揺で声を震わせながら咄嗟に言葉を返した。

「し、知らないです」

そう言って関わりを断とうとするのが精一杯だった。

すると女は不自然な動きで腰をゴキリと折り曲げ、大げさにおじぎをしたかと思うと、ふらつく足取りで路地の奥へと消えていったという。その背中はどこかねじれた形になっていて、人間らしいものではなかった、と彼は語った。

「超こえぇ……」

友人は振り返ることもせず、できるだけ遠回りをして帰宅したという。安全を確保するために、念のため何度も周囲を確認しながらアパートにたどり着き、部屋のドアが鍵がかかっているのを確かめてほっと胸をなでおろした。

だが、安堵したのも束の間だった。鍵を開けて部屋に足を踏み入れた瞬間、暗闇の中から低い声が響いたのだ。

「道を教えてください」

それは確かに、あの女の声だったという。

彼はその後のことを覚えていないらしい。気がついたときには病院のベッドの上で、近所の人に路上で倒れているところを救急搬送されたと聞かされたそうだ。

友人は二度とあの部屋に戻らなかった。あの女が何者だったのか、どうして彼の住所を知っていたのか、それともすべてが彼の錯覚だったのか……いまだに謎のままだという。

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, r+, 洒落にならない怖い話

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2025 All Rights Reserved.