ネットで有名な怖い話・都市伝説・不思議な話 ランキング

怖いお話.net【厳選まとめ】

短編 r+ 山にまつわる怖い話

谷川岳の救難無線 r+3470

更新日:

Sponsord Link

大学時代のワンダーフォーゲル部での出来事。

ある秋の日、部室で無線機を調整していた部員が、「どうしても『SOS』としか聞こえない信号が入る」と言い出した。

確かに、断続的にクリック音が繰り返されている。短点・長点を組み合わせた音が、妙に耳に残った。

信号の方向を調べるためにアンテナを振ると、強い電波が上越国境の谷川岳方面から届いていた。顧問を急いで呼び、車で現地へ向かうことにした。

警察に知らせるには証拠が足りず、ひとまず自力で位置を特定しようと動いた。

渋川から沼田を経て、3台の車で谷川岳天神平付近まで到着。駐車場に車を止め、小型無線機を手にして信号を追うと、電波の強度はさらに増し、アンテナがなくても方向が明確にわかるほどだった。

手分けして探索を進めると、先輩の御堂の無線機が突然ハウリングを起こす。無線機が飽和状態になることなど、通常ありえない。

御堂の無線機を頼りに進むと、登山道に入ってわずか20メートルほどでザックが見つかった。その近くで、倒れている男性の遺体を発見した。

急いで警察に連絡を入れ、一同緊張しながら待つ。誰もが、「これが無線信号の発信源だ」と思っていた。しかし、その遺体には無線機が見当たらなかった。

警察が到着し捜索が進む中、発見された無線機は意外な場所にあった。沢の水中だ。すでに水没して使えない状態だった。さらに奇妙だったのは、その無線機は故障が確認され、電波を出せる状態にはなかったことだ。

いったい、誰がSOSを発信したのか?

捜索範囲を広げても、新たな登山者や関係者は見つからず、駐車場に残されていた車も遺体の持ち主のものだった。登山カードも1枚きりで、ほかに誰も山に入った形跡がない。

死後2日経過した遺体が、駐車場からこんなに近い場所で発見されるまで誰にも気づかれなかったことも不可解だった。一同、無線機の電波に導かれるように遺体を見つけたが、その発信源は謎のままだ。

「いったい誰が助けを呼んだんだろうな」
同窓会が開かれるたび、この話題は尽きない。あの秋の日、耳にこびりついたSOSの音だけが今も鮮明に残っている。

[出典:119 :turumi ◆zVfPN.zVC. :03/01/13 22:47]

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, r+, 山にまつわる怖い話
-,

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2025 All Rights Reserved.