短編 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

近所の兄ちゃん【ゆっくり朗読】7800

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まだファミコンが出たばかりだった、俺が小学生時代の話。

近所に大学生の兄ちゃんがいた。

地元の国立大に行ってて、穏やかな人だったから、うちの母ちゃんが家庭教師をお願いしたのがきっかけで仲良くなった。

そのうち、その兄ちゃんがファミコンを持ってるってことを知って、俺を含めて近所のガキ二、三人で、その人の家によく遊びに行くようになった。

まあ、今思うとガキなんか邪魔だったかもしれないけど、嫌な顔ひとつせずに、俺たちと一緒にゲームに興じてくれるような人だった。

そんな感じで半年くらいたった頃から、兄ちゃんの様子がおかしくなった。

遊びに行ってもずっと電話をしてて、俺たちに構ってくれなくなった。

おかしいっていうのは、電話を掛けてるんだけど、兄ちゃんが一言も喋らなかったこと。

ダイヤルを回して、受話器を耳に当てたまま一言も喋らない。

しばらくすると受話器を置き、もう一度ダイヤルを回す。

ずっとその繰り返し。

そんな状態がしばらく続き、俺たちもだんだん兄ちゃんが怖くなってきたし、友達もファミコンを買ったことでそっちの家に入り浸り、兄ちゃんの家には行かなくなった。

同時期、兄ちゃんの家庭教師も終わった。

向こうの方から「大学が忙しい」って連絡が来たって母ちゃんが言ってたし、俺は不思議にも思わなかった。

そうして数ヶ月が経った。

ある日、テレビに兄ちゃんが出てた。

女の人を殺しちゃったんだってさ。

後日談

後で知ったんだけど、兄ちゃんは当時付き合ってた女の人に振られてから、嫌がらせや、付きまといをしており、最終的にその人を殺してしまったそうだ。

もう分かると思うけど、俺たちの前でしてた電話は相手の女性への無言電話だった。

今だったらストーカーだって騒ぎになってたんだろうけどね。

[出典:http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1122520059]

(了)

 

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