短編 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

子取り・老婆の告白【ゆっくり朗読】4400

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約二十年前(1985年/昭和60年)。俺がまだお母さんのお腹の中にいたころ。

母が大きなお腹で、二歳の小さな兄と一緒に、東京の家から近くの街へ、電車に乗って買い物に行ったときの話。

母は電車の中で少し不自然な光景を目にした。

老婆が孫らしき小学校中学年ぐらいの子供と一緒にいたのだ。

別にこれと言って不思議ではないのだが、年齢的に考えても祖母と孫なのだが、どこか不自然だったらしい。

しばらく電車に揺られていると、その老婆が母に話しかけてきた。

その老婆曰く、連れていた小学生の男の子は、孫でなく《息子》だった。

その老婆は母が連れている幼い兄を見るやいなや、なんとも奇妙なことを言った。

「子取りには気をつけなさい」

その老婆は、体質的にとても子供が出来にくかった人だった。

若い頃に何度も試みたが、結局子供を産むことは出来なかった。

街で子供を見かけると、羨ましくて欲しくてたまらなかったそうだ。

老婆は「夫と二人で若い頃、何度も産院に子供をさらいに行った」と言っていた。

しかし、この幸せを手にした途端、誰かが掴んでいた幸せを奪うのが怖くて、結局歳を取るまで子供を盗むことは出来なかった、と。

そして数年経ち、夫との子供を授かった、と。

母はそれを聞いて青ざめたらしい……

2006/01/02(月) 01:26:28 ID:rKmimHma0

(了)

 

まんが日本昔ばなし『子取り』・『幽霊街道』

 

子取り:あらすじ

昔、大分県の宇佐のある村に作兵衛とおタツという夫婦が住んでおりました。

この夫婦には、二歳になる男の子がおりましたが、作兵衛はいつも働かず遊んでばかりいるので、子どもの着物も買えず、食べるものにも困るような状態でした。

作兵衛は、いつも実家の父親に金を無心しておりました。ある日、とうとう父親から叱られた作兵衛は、今度こそは真面目に働こうと鍬を借り、借りたお金も子どもの着物を買ってやろうと実家を出ました。しかし、悪友達に再び博打に誘われて、作兵衛は誘惑に負けてまた遊んでしまうのでした。

その頃、家ではおタツが、ずっと泣き続ける子どもに苛立っていました。おタツは「そんなに泣いていると子取りに取らせるぞ!」と子どもを脅かしました。しかし、何も食べていない子どもは泣き続けるばかり。おタツはだんだん泣き声にイライラしてきました。

おタツはとうとう「ほら!すぐそこに子取りが取りに来るぞ!」と怒鳴った瞬間、家の奥から巨大な毛むくじゃらの手が出て来てきました。巨大な手は子どもを掴もうとしましたが、間一髪おタツが子どもを抱き寄せて、作っていた餅を投げつけました。巨大な手は、餅を掴んでまた闇の中に消えていきました。

恐怖でへたりこんだおタツはそのまま気を失ってしまいました。作兵衛が帰ってきて倒れたおタツを介抱すると、おタツは今みた一部始終を話しました。

その話を聞いた作兵衛は、自分が不甲斐なさを深く反省し、それからはぷっつりと博打からも手をひいて、真面目に働くようになりました。そして、おタツもはいくら貧乏で気が立っていても、子取りがくるなどと嘘をつくのはやめようと深く心に誓ったそうです。

 

[出典:まんが日本昔ばなしデータベース http://nihon.syoukoukai.com/]

 

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