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短編 r+ ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

年上の彼女 r+8,782

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二十歳の夏、私は5歳年上の女性に恋をした。

一年越しの想いが実り交際が始まったが、いつしか私は彼女の「ペット」のような存在になっていた。彼女が私にかける言葉は、しばしば「生意気」だった。

2年という月日は、彼女の傲慢さを増長させるばかりで、私たちの溝は深まる一方だった。彼女は自由奔放に夜遊びを繰り返す一方で、私の些細な行動、例えば妹からの電話にさえ、激しい束縛を見せた。友人も離れていき、孤独の中で自問した。「なぜ、この関係に固執するのか」と。答えが出る前に、彼女の裏切りが発覚した。

問い詰めた私に、彼女は悪びれることなく言い放った。「私ほどの女なら、5回の浮気くらい許されて当然。それでやっと釣り合うのよ」。その瞬間、私の中で何かが壊れ、静かな復讐心が芽生えた。

「そうだね。君の言う通りかもしれない。僕が間違っていたよ」
平静を装う私に、彼女は満足げに「なら、肩でも揉みなさい」と顎で使った。復讐劇の幕開けだった

それから5年。彼女が33歳を迎える頃、私たちは周囲が羨む「理想のカップル」を演じきっていた。互いの家族も公認となり、私は社会的な基盤も築いていた。結婚への期待が高まる中、プライドの高い彼女が決して口にしないその言葉を、私は切り出すことにした。

友人たちの後押しを受けた翌日、「大事な話がある」と彼女を観覧車へと誘った。夕暮れの光が差し込むゴンドラの中、指輪の箱を差し出す。「受け取ってほしい」。

期待と緊張を隠しきれない表情で、彼女は箱を開ける。しかし、そこにあったのは輝く石ではなく、冷たい別れの言葉が記された紙片だった。『今日でお別れ。バイバイ』。

「……は?……え?」

理解が追いつかない彼女に、私は静かに、しかし決定的な言葉を告げた。「別れよう。君のような人間とは、もう共に歩めない」。

彼女の呼吸が乱れ、うめき声が漏れる。「待って…」か細い声は、しかし私の心には響かない。
「誰がお前と結婚などするか。私はお前の所有物じゃない」。
彼女は力なく床に崩れ落ちた。助けを求めるように伸ばされた手を、私は冷たく振り払った。

観覧車がゆっくりと地上へ戻るまでの時間、私は7年分の積もり積もった思いの丈を、言葉の刃として彼女に突き立てた。

扉が開き、私はぐったりとした彼女の体を支えて外へ出た。そして、近くの柵に彼女をもたせかけ、振り返ることなくその場を後にした。

重く垂れ込めていた霧が晴れたような、形容しがたい爽快感が、私の胸を満たしていた。

[出典:449:2009/10/16(金) 20:55:29 ID:j8GmJZLk0]

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