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恐怖の治験のバイト r+6,990

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二十年以上前、ある男が治験のアルバイトに参加した。

当時フリーターだった彼にとって、一ヶ月弱で四十万円以上という報酬は魅力的だった。参加者は十人。検査は都内で行われたが、治験は遠く離れた他県の施設で実施されることになっていた。

新幹線で二時間、駅に到着してからさらに車で一時間半。辿り着いたのは、人気のない閑散とした土地だった。やけに高い塀に囲まれた敷地に入ると、無機質な建物が並んでいる。どこか、軍の施設を思わせる雰囲気があった。

車を降り、しばらく待機するよう指示される。すると突然、

「んぐぐあ゛あ゛あ"あああああああ」

という絶叫が響き渡った。反射的に声の方を見ると、異様に大きな男がこちらに向かって走ってくる。二メートルは優に超えている。顔はボコボコと腫れ、フランケンシュタインを思わせる異形。驚きで身動きが取れないまま、一人が体当たりされて吹っ飛ばされた。信じられないほどの力だった。

騒然とする中、警備員が三人駆けつけるが、抑えきれない。さらに応援を呼び、最終的に十人以上で押さえつけ、ようやく男は連れて行かれた。

「ここは一体……?」

不安が募る。しかし、契約書に署名し、既に報酬も一部受け取っている。逃げ出すことはできない。

宿泊施設は二階建ての建物の二階。ベッドが並ぶ部屋と、畳敷きの部屋があるのみ。テレビと数冊の本が置かれていた。ここで一ヶ月過ごさなければならない。

治験の内容は、毎日二時間の点滴と三回の採血。最初の一週間は特に問題なかった。しかし、ある夜、施設内にサイレンが鳴り響いた。窓から外を見ると、一人の参加者が警備員に取り押さえられていた。

「イヤだー! もう嫌だ! 頼むから帰らせてくれ!」

必死に叫ぶ彼を、警備員が無理やり連れて行く。宿直の看護師が部屋を訪れ、「気にせず早く寝てください」とだけ言い残した。

翌日から、異変が現れ始めた。体が異様にむくむ。最初は些細な違和感だったが、やがて全員の顔がパンパンに腫れ上がった。特にAとBは、何度も治験を経験していたが、

「普通は異常が出たら即中止のはずだ。この施設は明らかにおかしい」

と呟いた。だが、医師たちは「血液検査に異常はない」と言い張り、治験は続行された。

二週間が経過する頃には、皆の顔がまるで別人のように腫れ上がっていた。AとBは「お金はいらないから帰らせてほしい」と訴えたが、医師は拒否。

「契約書にある通り、最後まで受けてください」

俺たちは施設の出口を試みるが、一階に降りる階段には鍵がかけられ、事実上の監禁状態だった。

六人は金のために留まることを選んだ。だが、俺とA、B、そしてCは脱出を決意する。シーツを四つ結び、窓から降下。夜の闇に紛れ、外へ出た。

しかし、サイレンが鳴り響いた。気づかれたのだ。

迷う暇はない。塀をよじ登り、外へ飛び降りる。辺りは漆黒の闇。街灯一つない夜道を、手探りで進む。駅に到着したのは朝七時。新幹線の金はなく、鈍行を乗り継ぎ、夜になってようやく帰宅した。

疲れ果てて眠り込んだ夜、電話が鳴る。受話器を取ると、あの施設からだった。

「何を考えているんです。一日でも点滴をしない場合、最初からやり直しですよ。今すぐ戻ってください。戻らない場合、法的手段を取りますよ?」

狂気じみた要求。即座に電話を切る。

翌日、高熱にうなされ、十日間寝込んだ。体のむくみが完全に消えるまで、一ヶ月を要した。あの施設からの連絡は、それ以降一切ない。

だが、残った六人は――果たして無事だったのだろうか。

[出典:864: 本当にあった怖い名無し:2011/06/18(土) 17:12:54.71 ID:n44yFbow0]

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