短編 都市伝説

【伊集院光が語る都市伝説】青いクレヨン【ゆっくり朗読】4632-0107

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ある夫婦が郊外に中古の家を買った。

郊外だが駅までは近いし、近所にはスーパーなども多く日当たりも良好だ。

それに値段が格安といっていいほどの絶好の物件だった。

友人たちに引っ越しを手伝ってもらい、その後で飲み会をした。

お開きになったのが大分遅くなったので、その日は友人を含め新居で一緒に寝ることにした。

夜中『バタバタバタ……』と子供が廊下を走るような音がする。

その音を聞いて何人かが起きたが、気のせいだと思ってまた寝た。

すると今度は子供の話し声が聞こえて目が覚めてしまう。

そのせいで、朝まで熟睡できた者は誰もいなかった。

誰もが夜に体験したことを不思議がった。

そして皆が思った。

この家には何かある……と。

全員で廊下を調べていると青いクレヨンが落ちていた。

もちろん夫婦のものでも友人たちのものでもない。

そしてとてもおかしなことに気がついた。

この家の間取りが奇妙なのだ。

クレヨンを拾ったあたりの廊下は突き当たりになっているが、家のつくりを考えるとそこにはもう一部屋分のスペースがあるはずなのだ。

壁を叩くと中に空洞がある音がする。

壁紙をはがすと扉が現れた。

おそるおそるその扉を開ける。

もしかしたらとんでもないものがあるのではないか……

しかし部屋の中には何もなかった。

ただ部屋の壁すべてに青いクレヨンでびっしりと、こう書かれていた。

 

(了)

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