短編 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

タトゥーあり・虎ブ龍【ゆっくり朗読】5432-1231

更新日:

Sponsord Link

洒落怖になるかわからないけど……先週の金曜日の話。

868 本当にあった怖い名無し 2012/08/06(月) 13:03:42.10 ID:Npaxpfea0

うちの会社は、IT系の企業が固まってるエリアで、街から少し外れた郊外にある。

夜中にもなると辺りは真っ暗になるし、バスも22:00くらいが最終便。

で、まぁ仕事柄結構遅くまで残業してることがあるんだけど、その日も夜中2:00くらいになってしまった。

自分が最後だったので、会社の戸締まりをして、駐車場にある車へ向かっていた。

戸締まりをすると、会社周辺とか駐車場の街灯とかも全部消えて、ほんとに真っ暗になってしまうので、携帯のライトを足元に照らして歩いていた。

すると突然、「キキキキキーッ!!」っと、なんか自転車の急ブレーキのような音が少し遠くから、でもはっきりと聞こえてきたもんで、ビクッとなってしまった。

ちょっとビビったから小走りに車へ向かった。

車に着いてホッと一息、安心してエンジンをかけたと同時に、車のAUTOライトが点灯。

バッと照らされたその先には、倒れた自転車が。

その瞬間、ほんの少し前に聞いた、自転車のブレーキ音と頭の中でリンクしてしまい、血の気が引いたのがわかった。

あせってパーキングからドライブにいれ、ライトをハイビームに。

すると、さっきは見えなかった位置、倒れた自転車の奥に、倒れた人影が見えた。

だいぶためらったけど、はっきり見てるのに放置して逃げる方が、なんか後が怖い気がして、意を決し車を寄せて、「大丈夫ですか?」と声をかけた。

結構若い女の人だった。見た目、多分、二十五六歳くらい。

返事がないので、さらに

「救急車呼びますか?」と聞いた。

すると、「……って……」

聞き取れなかったので、聞き返すと、

「一番近いバス停まで送って……」と。

ハッキリ言って、かなり後悔した。

仕方がないので、助手席のドアを開けて、「どうぞ」とうながしたが、勝手に後部座席のドアを開けて乗り込んできた。

もう一番近いバス停なんてここから三分くらいだし、さっさと降ろそうと思い、車を出す。着くまでは終始無言。

ミラーで様子をうかがおうとしたけど、運転席の真後ろに座ってるもんで、全く見えん。

で、あっという間にバス停に。

徐々にスピードを落とし、停車しようとすると、

「ここじゃなーーーいっ!!」

と、心臓止まるかと思うくらいの大声で突然怒鳴られた。

「ええ……じゃあ次の〇〇バス停ですか?」

「そう」

仕方なく、再度発進。

次のバス停までは五分くらい。

気にしないようにしてたんだけど、

時おり、「くくくっ……」

って泣いてるのか、笑いをこらえてるのかわからない声が真後ろから……

そうこうしてるうちに着いたら、声をかける間もなく車から降りてた。

降りたのを確認したので、礼も言われてないけど、もう関わらんとこうと思い、車を出そうとすると、運転席の窓をコンコンと叩いてきた。

窓を開けろと言うジェスチャー。

仕方なく開けると、ニコッいう笑顔とともに「ありがとう」と一言。

次の瞬間、羽織ってたジャケットをバッと脱ぎ捨てた。

目に入ってきたのは、女の上半身の素肌。

それだけならいい。

上半身にすきまなく刻まれた入れ墨。

前面に虎。

女はくるっと背中を向ける。

背中に龍。

脱ぎ捨てたジャケットと再度羽織り直すと、反対車線から来たタクシーを拾って、今来た道を戻って行った……

特にオチもなくてすいません。とある日の実体験でした。

(了)

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
-

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.