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深夜2時、影の背中に虎と龍 r+5754

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先週の金曜日に起きた話。

うちの会社は、IT系の企業が集まる郊外のエリアにある。街中から外れていて、夜中になると辺りは真っ暗だ。バスも22時が最終便なので、残業して遅くなると車が頼りになる。

その日も遅くなり、夜中の2時過ぎに退社。自分が最後だったため、会社の戸締まりをしてから駐車場の車へ向かった。
会社の照明を落とすと、街灯もすべて消え、携帯のライトなしでは歩けないほどの暗闇になる。足元を照らしながら歩いていると、突然遠くから「キキキキーッ!」と自転車の急ブレーキのような音が聞こえた。

思わずビクッとなり、急いで車に向かった。車に着いてエンジンをかけると、AUTOライトが点灯し、前方を照らし出す。その光の中に、自転車が倒れているのが見えた。

さっきのブレーキ音を思い出し、血の気が引いた。慌ててライトをハイビームにすると、自転車の先に倒れた人影があった。迷ったが、見なかったことにするのは後々怖い気がしたため、車を近づけて「大丈夫ですか?」と声をかけた。

倒れていたのは若い女性。25~26歳くらいに見えたが、返事はない。再び「救急車を呼びますか?」と聞くと、しばらくしてから「……って……」と聞き取れない声。聞き返すと「一番近いバス停まで送って……」と言われた。

正直、後悔した。でも、無視するわけにもいかず、仕方なく車に乗せることに。助手席を勧めたが、彼女は無言で後部座席に乗り込んだ。

一番近いバス停までは3分ほど。急いで送り届けようと運転を始めたが、車内は終始無言だった。バックミラーで様子を伺おうとしたが、彼女は運転席の真後ろに座っていて見えない。

間もなく最初のバス停に着いたので停車しようとすると、突然「ここじゃなーーーいっ!!」と耳をつんざく大声が響いた。心臓が止まるかと思った。驚きながら「次の〇〇バス停ですか?」と尋ねると、冷静に「そう」と答える。

仕方なく再び車を走らせた。次のバス停までは5分ほど。気にしないようにしていたが、時折「くくくっ……」という声が後ろから聞こえてきた。泣いているのか笑いをこらえているのか分からない不気味な音だった。

次のバス停に到着。声をかける間もなく、彼女は車を降りていった。ホッとして出発しようとしたその時、運転席の窓がコンコンと叩かれた。

窓を開けると、彼女はニコッと笑って「ありがとう」と言った。そして突然、羽織っていたジャケットを脱ぎ捨てた。

目に飛び込んできたのは、上半身裸の女性。そして、その肌には隙間なくびっしりと刻まれた入れ墨。胸元に虎、背中には龍が描かれていた。

彼女はジャケットを再び羽織ると、反対車線から来たタクシーを拾い、今来た道を戻っていった。

特にオチはない。ただの実体験だ。

(了)

[出典:868 本当にあった怖い名無し 2012/08/06(月) 13:03:42.10 ID:Npaxpfea0]

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