短編 洒落にならない怖い話

ヒサルキ【ゆっくり朗読】5700

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最近、保育園で、保母さんをやってる友達に聞いた話。

その子が行ってる保育園って、お寺がやってるとこで、すぐ近くにお墓があったりする。

お墓に子供が入って、いたずらしないように、周りに柵がしてあるんだけど、柵の杭の尖った先っちょに、虫やトカゲなんかが串刺しになってることが良くあるらしい。

園児のイタズラかもしれないけど、お寺も兼ねてる保育園だから、けっこう人の出入りは多くて、広場で小学生なんかがしょっちゅう遊んでるから、誰がやってるのかわからない。

まぁ、鳥のせいかもしれないし~って感じで、誰もたいして気にはしてなかった。

ところがある日、その柵にモグラが刺さっていた。

さすがに哺乳類はグロいんで、すぐに園長先生(=寺のお坊さん)が片づけてくれた。

で、しばらくすると、今度はネコが突き刺さってた。

これはさすがに酷かったんで、保母さんやお坊さんが集まって、誰の仕業か?どうしたらいいのか?って話をした。

でも、犯人はわからないし、再発防止の名案も出なかった。

結局、どーするんだろうね~ってムードでダラダラと時が過ぎたある日、ウサギが突き刺さってた。

保育園で飼っていたウサギだった。これは友達が見つけたらしい。

早朝に、お坊さんがお墓の掃除に行った時には無かったのに。

その日は、たまたま友達より早く来ていた子供がいたんで、その子に「何か見た?」って聞いてみた。

その子は一言、「ヒサルキだよ」って言った。

「ヒサルキってなあに?」と聞いても、上手く説明できないみたいだった。

あとで、ほかの子にヒサルキの事を聞いてみた。みんな知っていた。

でも、誰もヒサルキがどんなモノなのか説明できなかった。

子供達はウサギが死んだのを、あまりかわいそうだと思っていないようだった。

何となく、しょうがない、みたいな感じで醒めていた。

変だと思ったのは、ヒサルキのことは、園児の親も知らなかったこと。

子供がそんな言葉を使っているところも、誰一人覚えていなかった。

テレビや本のキャラでもなかった。

すると保母さんの一人が、「昔そんな名前の絵を見たことがある」と言い出した。

子供が描いた絵は、返してあげるので、保育園には残っていない。

ただ、絵を描いた子、がその保母さんの近所の子だったので、名前を覚えていた。

「その子に聞いたら……」と友達が言うと、その保母さんは「引っ越した」と答えた。

そして、「その引っ越しが変だったんで、覚えてる」とも言った。

なんでも、挨拶もなく急に引っ越していったらしい。

さらに不思議だったのは、引っ越す時にチラッと見たらしいんだけど、その絵を描いた子が、両目に眼帯をして車の中に座っていたんだって。

それで、どこへ行ったのかはわからずじまい。

それからニワトリが串刺しになったのが最後で、ヒサルキ騒動は終了。

結局、犯人もヒサルキの正体もわからずじまい。

前みたいに虫なんかは突き刺さってるみたいだけど……

114: あなたのうしろに名無しさんが…… :2003/02/13 13:06:12

(了)

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