仕事が早く終わった日のこと。友人から麻雀の誘いがあって、いつもの雀荘で牌を握っていた。
夜の9時頃から次の日の夜11時頃まで、27時間ぶっ通し。眠気よりも妙な倦怠感が体に広がり、ふと壁を見つめていた。すると、突然「あれ?夏だっけ?」と思うような感覚に襲われた。
空気には夏の匂いが漂い、周りの友人もいつの間にか半袖姿だ。「え、さっきまで冬だったよな?」と違和感を抱いたが、不思議と「この年になると季節が変わるのが早いな」なんて妙に納得してしまった。
蚊取り線香が窓際にあるのを見て、「あれ、春はどこいったんだ?」と思いながらも麻雀を続けていたが、そこから事態は急変した。
その違和感の始まりは、会話だった。
「今何月やっけ?」と聞くと、友人は「ボォンガツ」と答えた。「は?」と聞き返したが、「七月か」と妙に納得してしまう自分がいた。その後も会話がどんどんおかしくなり、彼らが発する言葉が濁点と小さい「ッ」の連続のような、不気味な音になっていく。
「おい、なんて言ってるんだ?」と聞き返しても、真顔で意味不明な言葉を返してくる。
他の卓で麻雀を打つ人々も同じような言葉を発しており、周囲の景色は夏のまま。携帯を見ると、画面には「弗」「蹄」などの意味不明な文字列が並び、もはや正常な感覚を失いかけた。
決定的だったのは、友人たちの様子が変わった瞬間だった。
彼らの動きが「歩く」から「跳ねる」ような奇妙なものに変わり、言葉もさらに解読不能になった。「これは夢か?」と思い、思い切りほっぺをつねるが、痛い。それどころか、友人たちの顔や声が微妙に違うことに気づいてしまう。
恐怖を感じた私は、「変な世界に来てしまった」と確信した。
雀荘を出ると、空は蛍光オレンジ色。目を覆いたくなるような異様な空に、パニックに陥った。友人に「ヤバくないか?」と訴えたが、「いつもの空じゃん」と返される。記憶も曖昧になり、「自分の記憶が壊れてしまったのか?」と感じた。
携帯が「弾けた」瞬間、状況はさらに異常なものになった。何もかもが現実味を失い、最終的に気づいたときには雀荘に戻っていた……
[出典:255 :本当にあった怖い名無し:2014/03/13(木) 20:05:23.56 ID:ZUzAEyLv0]