大学生になって初めての夏が近づいてきた、金曜日頃のこと。
人生の中で最も『モラトリアム』を謳歌する大学生といえど障害はある。
……そう前期試験だ。
これを無事にやり過ごし単位を獲得しないことには、せっかくの夏も存分に楽しめない。
大学で出来たまだ少し距離感のある友人達;友利と与那覇と、翌週から始まるテストに備えて、俺の部屋で試験勉強に励んでいてた時。
友利が「試験勉強ウゼー。飽きた。ちょっとここらで気分転換しねぇ?」と言い出した。
与那覇も「んじゃ、どうする?ゲームでもする?」とそれに応える。
友利「時期的にはちょっと早いけど肝試しとか?」
与那覇「いや(笑)女もいなくて、『キャー!与那覇君コワーイ!』とか、キャッキャウフフもないからメリットねえし」
友利「俺らまだでつるみはじめてから日が浅いだろ?ここらで友情を深めるイベントを、と思ってさ」
ちょっと引き気味で、与那覇が「お前……まさかモーホーじゃねーよな?」
友利「んなわけあるか(笑)気分転換にはいいと思うんだけどな俺は。実はこの近くで、それっぽいポイントを見つけたんだ。んで、実は昼間のうちに準備もしてきてたりするんだが」
俺「準備済みとか段取り良すぎだろ(笑)」
与那覇は最初嫌がってたが、目的地が噂の心霊スポットとかじゃなくて、チャリでいける距離にあるただの無人の神社だとわかると、しぶしぶだが了承した。
一方、俺は怪談とかは結構好きで、肝試しにも乗り気だった。
俺は全くの霊感がないもんで、中学生の頃、地元で仲の良かった友人達と有名心霊スポット行っても、何か見たり、何かが起こったりってことは、今まで一度もなかったから、まぁ気楽に考えてたんだな。
目的地の神社に到着して、友利曰く、
「別に心霊スポットって訳でも無いから、みんなでウダウダ言いながら行って帰ってだったら、なんの面白みも無い。だから、ちょっとした準備をして、ルールを決めてやろうぜ」
とのこと。
肝試しのやり方は_
① 三人でまず神前に入りお参りして、神様に肝試しのお断りをする。(三人とも小心者だったので……)
② 神社の裏手で、火が燃え移る恐れの無い場所に風除けを立てて、蝋燭……の代用としてアロマキャンドル三本設置。
③ 神社の入り口まで戻る。
④ 一人づつ順番に先ほどの蝋燭のところまで行き、行ってきた証拠に蝋燭に火を灯して帰ってくる。
⑤ 全員が終ったら、全員で蝋燭の元に戻り、火を消して蝋燭と風除けを撤去。
⑥ 最後に神前で、「おさわがせしました」と御詫びして帰宅。
_というもの。
じゃんけんで、与那覇、友利、俺の順番となった。
内心で最もビビってそうに見えた与那覇が一番最初だったので、大丈夫かとか思ってたが、目に少し恐怖の色が見えたものの、当然のことだが、何も起こらなかった様で普通に戻ってきた。
次に行ったのが友利だが、さすが肝試しの発案者だけあって、全く平気な様子で戻ってきた。
そして、最後の俺の番となった。
小さな神社であるため、鳥居をくぐるとすぐに神社の拝殿が見える。
夜の神社というだけで不気味ではあるが、この日は風もあまりなく月明かりも出ていたので、それほど恐怖感はなかった。
拝殿を通り過ぎ、本殿に沿って裏手に回る。
俺達が設置した場所に、二つの炎が灯った蝋燭が見える。
「やっぱり何も起きないか」と、安堵とわずかな失望が入り混じった微妙な心境で、最後の蝋燭に火を灯した。
その後、もと来た道を戻り友人達の元に戻った。
三人揃った所で、
「やっぱり何も起きねーかー」
「でもなんやかんやでこの雰囲気はちょっと来ねぇ?」
とか無駄口を叩きながら蝋燭の元に戻って、火の始末をして回収したが、この時もやはり何も起こらなかった。
最後に、何も起きずに無事帰途につけることのお礼と、「おさわがせしました」の御詫びをして拝殿を離れた。
そして、後十数歩で鳥居というところまで戻った時だった。
背筋に氷柱を入れられたような悪寒ともに、肌が一気に粟立つ感覚に襲われ立ちすくむ。
決して背後を振り返らないように隣を見ると、友利も与那覇も同じものを感じたらしく立ち尽くしている。
俺「まさか……な」
友利「おいおい、やっぱ神様怒ってんじゃね?」
軽口を叩いてはいるものの、その顔に余裕はなさそうだった。
友利「出口の自転車のところまで後ちょっとだし、土産話が出来ると思って、いっせいので振り向いてみようぜ」
与那覇「バカいうな。こういうのは見ない方がいいって相場が決まってる。このまま振り向かずに、チャリ乗って帰るべきだろ」
そんな中その時の俺はというと、今ままで霊体験を一度もしたことがなかったこともあり、恐怖よりも好奇心が勝っていて、
「いやいや、コレこそが肝試しじゃね?これはいっとくべきだろ」と大見得を切った。
そんなこんなで、ウダウダ言ってる間にも、背後の気配は徐々に濃密になっていく。
与那覇も俺と友利に押され、結局全員で一斉に振り向くことに。
最初にパッと見た限りでは、月明かりに照らされた神社の境内には何も見えなかったが、目を凝らしてみると、自分達と拝殿の間あたりに、黒い水溜りのようなものが見える。
「あんなところに水溜りなんてあったけ?」
さっき通ってきた時には、確かにそんなものはなかったはずだ。
気付くと、つい先ほどまで聞こえていた微かな葉音も止んでおり、耳が痛いほどの静寂に包まれている。
『とぷんっ』
小石を川面に投げ込んだような水音が、微かに聴こえたような気がした。
見ると、先ほどの黒い水溜りのようなものに、波紋が広がっている。
そこからゆっくりと、漆黒の二本の手の様な物が水溜りから突き出され、何かが這い出そうとしているように見えた。
その時、あれは幽霊とかそんな生ぬるいものではない、もっと禍々しい何かだと自分の直感が告げていた。
頭のようなものがぬるりと持ち上がってきたところで、俺達は弾かれたようにその場から逃げ出した。
自転車に飛び乗り、元来た道を全力で走る。当然後ろを振り返って確認する余裕などなかった。
三人とも這々の体で、元いた俺の部屋に転がり込んた。
部屋のドアにしっかりと施錠した後、まだ恐怖の余韻が残る中……
「なんだよアレ。やばいやばいやばいやばい」
「俺、幽霊とか見たこと無いけど、アレは絶対やばいって。雰囲気的に幽霊とかのレベルじゃねーよ」
沈黙が恐ろしくて、みんな口々に意味の無い事を言い合っていた。
しかし、その後しばらくたっても、神社で見た何かが追って来ている様子がなかったので、電気を点けっぱなしにして、ミニコンポから音楽を流しっぱなしにした状態で寝ることになった。
恐怖感からか目が冴えて全然眠れなかったが、朝日がカーテンの隙間から差し込む頃には、それまでの緊張感から、うとうとし始めていた。
その時に夢を見た。
その時に見た夢というのが、風景も何もなく真っ暗な場所に、肝試しに使った蝋燭が三本立っており、その内の一本に炎が灯るというもの。
目が覚めてから聞いて見ると、友利と与那覇も同じ夢を見たらしい。
全員が同じ夢を見ていた、ということに気持ちの悪さを覚えながらも、その日は解散となった。
その日、土曜日の夜、再び同じ夢を見た。
暗闇に蝋燭三本が立っている。
前回と違ったのは、三本の蝋燭の二本目に炎が灯ったこと。
目が覚めてから、何かを暗示しているようで気味が悪かったが、週明けの試験のこともあったので、あまり外出もせず勉強に励んだ。
予感していたことだが、日曜日の夜にもやはり同じ夢を見た。
今度は三本目の蝋燭に炎が灯された。
何か嫌なもの予感させる夢だったが、試験をサボるわけにもいかず大学に出かけた。
同じ講義と試験を受ける予定だった、友利と与那覇が来ていなかった。
気になりながらも、その日予定されていた講義と試験を無事に終えた。
とりあえず友利の携帯に連絡を取ってみたところ、少し混乱をしていて要領を得なかったが、友利曰く、
「二本目の蝋燭が灯った夢を見て目覚めた日に、神社にいたアイツが来た」
ソレに気を取られたからなのか、何も無い階段で足を踏み外し足を骨折して、今は病院だという。
今度は与那覇に連絡とったところ、与那覇も似たような感じで、自転車で事故に遭い入院中とのこと。
とりあえず、二人とも生きてはいることがわかりホッとしたものの、次は確実に自分の番ということに気付き、ジワジワと恐怖感がせりあがってくる。
そんなところに突然声をかけられ、座っていたキャンパス内のベンチから思わず飛び上がりそうになる。
声をかけてきたのは同じ地元出身で、幼馴染の姉である二つ年上の幹子さんだった。
「なーに、しけたツラしてんの?」
「なんだ、幹子さんですか脅かさないでくださいよ……」
幹子さんは知り合いを探すように、周りをちょっとキョロキョロしながら、
「別に脅かすつもりは……ってうわっ!!ちょっと末吉君、なんてモノ連れてんの」
「ちょっ……連れてるって何の話ですか?何か視えるんですか。ってか、幹子さん視える人なんですか?そんな話今まで一言も言ってなかったじゃないですか」
「ちょっと、一気に質問しないでよ(笑)」
ここで、幹子さんについての説明と、幹子さんから聞いた話をまとめる。
幹子さんについて
・地元の幼馴染;伸久の姉で長女。伸久の兄は新造さん(神道関連の某大学生)
・地元の神社の娘。
・昔からいろいろと視える性質だそうだが、わざわざ人に喋ることでも無いし、喋ることで鬱陶しいのに、まとわりつかれるのも嫌だからとのこと。
聞いた話
・人間の霊とかでは無い何か得体の知れないものが憑いている。
・話を聞いた限りでは、物理的に害を与えるというよりも、精神に障るタイプのようだ。
・憑かれたままだと、ロクな目に遭わないはず。下手すりゃ死ぬかも、とのこと。
その話を聞いて、今も視えるか聞いてみたら、
「ほら、あの並木のあたり見てみ?」
と言って幹子さんは、向こうに見える並木道を指差した。
「講義や試験を終えた学生が、ぞろぞろ帰ってるのが見えるだけですが……」
「じゃ、メガネ外してもう一回。歩いてる人の足元あたりに注~目!」
「!!!!」
周りの風景や人はぼやけて見えるのに、辛うじて人の形に見える、漆黒のタールのようなものの上半身が、這うような姿勢のまま静止しているのが、はっきり視える。
「見えた?クロウリングカオスって感じだよね(笑)」
「幹子さん。実家の神社で巫女さんとかもされてましたよね?御祓いとか出来ないんですか?」
「無理無理。自分に変なのがまとわり憑かないようにすることで精一杯。実家継ぎ損なってなけりゃ出来たかもだけど(笑)それにしても何したの?普通に心霊スポットとか行ったぐらいじゃ、あんなの拾ってこないよ普通(笑)」
「マジ笑い事じゃないですよ。神社で肝試ししただけですよ。俺ら」
「うーん」
何か含みのある様子で軽く唸ると、急に幹子さんが俺の手を引いて腕を絡めて、
「ま、こんなトコで立ち話もなんだし、ちょっと飲み屋にでも行こうか?奢ったげるからさ」
この幹子さん。あんまり女性っぽく無いサバサバした性格だけど、見た目は無造作に後ろで束ねた長い黒髪で、和装が似合いそうな美人さん。
なので、こんな話をしてる時なのに、ドキドキしてたのは内緒だ。
「私とくっついてたらとりあえずは大丈夫。あと、君は結構運がいいね。新造が実家の用事ついでに、私のトコに寄る予定あるんだ。あと2時間くらいで着くはずだから、安心して良いよ」
そう言いながら、グイグイ俺を引っ張っていく。
結局、二人で個室のある飲み屋に入り、先ほどの話の続きをすることに。
飲み屋に腰を落ち着けて、事の経緯を説明し、いろいろ聞いた話をまとめる。
幹子さんでは御祓いが出来ないことについて
普通、神職自体には、霊とかその他諸々を祓う力は無い。祀ってる神様の力を借りないことには祓えない。
そもそも神職は巫覡に端を発しているので、霊を成仏させたりする坊主とは違う。
神様の力を借りるには、相応の舞台装置が必要。
つまり、神社の外では、依り代とかがなければ大したことは出来ない。
・神社の境内は神域のはず。なんであんなのがいるのか?
坊主の作る結界とは違い、神社は神を降ろすための舞台装置。神を降ろし易くすための場にすぎない。
神域とは、舞台装置である神社に神が降りることによって、始めて力を発揮する。
神職や管理者がいたり、キチンと定期的に祀られてる神社は、神域として正しく機能しているため、おかしなものは寄り付かない。
逆にそうでない神社は、何か寄せるための舞台装置だけがある状態。
色々とおかしなものが集まってくるので危険。
……ここまで話を聞いて、疑問に思った事を聞いてみた。
「なんで新造さんが来たら安心なんです?さっきの話だと、神職自体に祓う力はないんでしょ?ましてや新造さんて、今まだ在学中で、正式な神職になって無いでしょ。それとも、幹子さんと二人で力をあわせれば何とかなるって、そういう話ですか?」
「違う違う。確かに神職自体に祓う力はないってのは、新造に関しても当てはまるんだけどね。ただ、あの子は色々と特別な訳。うちの神様に守られてるんだよね。具体的な効果範囲はわからないけど、少なくとも新造の視認できる範囲内には、幽霊とかその他もろもろの、危害を加えるものは近寄れない」
「それを聞いて気付いたんですけど、もしかして、地元の心霊スポットとかで肝試しした時に、何もおこらなかったのって……」
「そう、いつも新造いたでしょ(笑)」
「でも、なんで新造さんだけそんな特別扱いなんです?そもそも、神様が一人だけを守ったりとかあるんです?神社って全国各地にあって、しかも有名な神様だと……分霊でしたっけ?……とかされて、同じ神様を祀ってる神社がいっぱいあるのに」
「んー。ちょっと長くなるけど良い?」
以下、幹子さんより聞いた話。
特定されない程度にぼかして記載している箇所があります。
・彼女の実家の神社(古堅神社社とする)は、全国に同じ名前の神社がある。つまり、総本社の分社。
・ただ、彼女の一族は、元々は別の神社(古謝神社とする)を管理してきた一族。
・古謝神社は今もあるが、現在その直接的な管理は、古謝神社がある地域の町内会がおこなっており、彼女の実家はそれをサポートする立場。
・古謝神社は決して大きくは無いが、延喜式神名帳(えんぎしき んみょうちょう)にも記載されていた、それなりに歴史のある式内社。(少なくとも千年以上)
・古謝神社は、全国的に見ても少し特殊な神社。(主祭神と建築様式の2点において)
・ある神様を祀っているが、その神様を主祭神としている神社は、全国で古謝神社のみ。
・古謝神社は、平安時代以降のある時代に、戦乱だか災害だかで一度消失し、近年に再建された歴史を持つ。
・その空白期間、彼女の一族がどうしていたかというと、当代の神職を依巫(よりまし)として祀ってる神様を降ろして、代々引き継いできた。
・満十歳になった時に、次代の神職を確定させるために、神降ろしの儀式があり、その後は、当代と次代の間で取り決めたタイミングで、もう一度神降ろしをして、世代交代を行う。
・世代交代の時期が決まってないのは、儀式的なしきたりよりも、確実に引き継ぐことを重視したためだと思うとの事。
・一方、彼女の一族がそうまでしてその神様への信仰を守ったのは、古謝神社のある地域一帯に、物凄く強力な力を持った何かがいて_人間にとって都合の悪い神様レベルのものなのかもとは幹子さんの推測だが_それを封じる役割を、その神様が担っていたからとのこと。
・神社が再建されたのは、表向きには神仏分離令が出た後に、その地域にも由緒正しい神社があったことがわかり、これはぜひ再建するべきとの機運があったため、とのことだが、その地域の鎮守として、古謝神社がなかった空白期間が長かったため、定期的に彼女の一族が封じるための儀式を行ってきたけれども、それでは抑えきれず、封じてた何かの悪影響が出るようになっていたから、とのこと。
・それをあらわす証拠が、再建された時の建築様式に現れており、いくら由緒正しいとは言え、田舎の小さな一神社にはありえない特徴があり、その再建した時代に、その神社が重要視されていたことがわかる。
・再建後は、古謝神社は鎮守としてきちんと祀られ、(収穫祭ではあるが秋祭りもある)定期的にその神社で儀式を行っているため、その何かは封じられていると事。
_以上のような経緯で、新造さんは神様の一部を常時降ろしているような状態で、強力に守護されている。
そのため新造さんの周りは、新造さん自身の体を舞台装置(依巫)とした、一種の神域のようなものになっているとのこと。
よって新造さんにとっては、俺に憑いている程度のものを祓うのは大したことでは無い、という訳だそう。
場合によっては、新造さんがこの飲み屋に着いただけで、憑いていたものは消滅してるかも、と幹子さんは笑っていた。
それを実感するエピソードとしては、幹子さんが小学生の頃、弟が次代に確定し神降ろしの儀式を行った翌日から、今まで通っていた小学校で視えていたいろんなものが、それ以降全く見えなくなった事を挙げていた。
幹子さんが中学生になった後、一年後に弟が中学校に通いだした時にも、同じことが起こり確信したという。
そんな話をしているうちに、新造さんが飲み屋にやってきた。
幹子さんから話を聞いた後だったが、一年ぶりに会った新造さんは、俺には普通のイマドキのイケメン兄ちゃんに見えた。
「久しぶり。姉さんから電話で聞いたけど、なるほど、ちょっと『障られて』るね」
そう言うと新造さんは、俺の頭を軽くポンっと叩いて、「よし。これで大丈夫」と言った。
「へ!?もう終わりですか?もっとこう、祝詞的なものとかは必要ないんですか?」
寺生まれのTさんの『ハァー!!』みたいな、気合的なものとかもなかった。本当に軽くポンと頭を触られただけだった。
「ないない(笑)これでOKだから」
幹子「うん。頭から伸びてた紐みたいなのがもう視えないから、大丈夫」
物凄く拍子抜けしたが、その後三人で飲んでにうちに帰って寝たが、例の夢はもう見なかった。
翌日、入院している友利と与那覇についても、新造さんに祓ってもらった。
友利と与那覇が怪我したものの、最終的にみんな無事だったのでよかった。
得られた教訓としては、無人の神社には近づくな、って事。
水溜まりから出て来たヘドロ人間は、新造さんにも聞いてみたんですが、人間霊や動物霊レベルのものではないのは確からしいのですが、人に対する影響力がそれなりに強いものである、ということ以外はよくわからないとのこと。
新造さんのお父さんが視ていたら何かわかったかも、とのこと。
その神様を主祭神としている神社は、全国で古謝神社のみ。
日本書紀にもその名が記されている神様ですが、一般的に知名度のない神様であるのは確かです。
なお、全く祀られている神社が無いわけではなく、あくまで主祭神としている神社が無いだけで、摂社や末社として祀られていることはあります。
自分は全く視えないのでわからないのですが、新造さん曰く、
「神職見習いがこういう言い方をするのもアレだけど、天使の梯子(Angel's Ladder)っていうんだっけ?雲間から一条の光が常に降り注いでいるみたいに視えるらしい。人によって見え方が違うのかもしれないけどね」
ちなみに、お祖母さんとお母さんを除く幹子さん一家(一族の直系)の人達は、全員視える性質らしいんですが、お互いのことは何も視えないらしいです。
視えない理由について幹子さんは、「当代(父)と次代(新造さん)みたいに、自分の周囲を神域化するほど強力じゃないけど、一族の直系は、多少なりとも神様の守護を受けてるから、お互いに視えたとしら、眩しくて仕方がないからじゃないの?」
と、朗らかに笑ってました。
(了)