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短編 洒落にならない怖い話

片付けられた事件【ゆっくり朗読】3900

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パチンコ店で知り合った女の子と結構仲良くなった。

24 2011/06/13(月) 23:19:00.56 ID:oT4cCN6v0

その子が当時付き合ってた彼氏と、とある理由でわかれて、その後新しい彼氏が出来てから、飲み屋を始めたわけよ。いわゆる、ラウンジって奴。

その新しい彼氏ってのは、まあ本職のお偉いさんだったわけ。

俺個人はその子と普通に仲良かっただけだから、連れとかとちょくちょくそのラウンジに顔出して、従業員の他の女の子とかも、それなりに仲良くなった。

ボトルも数本入れてるから、あまり金使わなくて良いんだよね。

んで、ある週末の夜、嫁さん夜勤だし暇だったんで、一人で飲みに出た。車で出て、代行に預けてさ。

最初は別の店でのんで、その店には十時三十分くらいだったかな。まあ、だいたい一時三十分くらいまで普段は飲むんだわ。

ほろ酔いで店に入ったとき、店内にはわりと客がいて、カウンターは俺の他に三人。ボックスは四つ全部埋まってる。

俺はカウンターの近くで飲んでた二人組と仲良くなって、かなりご機嫌で飲んでた。

いい気分で騒いで、わりとふわーっとなるくらい酔ってたかな。

そうこうしてると、後ろのボックスから結構騒がしくドタバタと出ていった。

店入った瞬間チラ見したら、夏なのに長そで着てるし、まあ、あきらかにそっち系の人達だっつーのはわかった。

で、絶対に関わる事はないように大人しくして、なるべく後ろは意識しないようにカウンターで飲んでた。

まあ、結局カウンターでアホみたいに騒いでしまったわけだが……

その人達が出ていってから、三、四十分くらいたった頃かな、店に一人客が来たんだけど、入って来ない。入り口で俺の友達の子と話してんのよ。

んで、すぐさま俺に

「ごめん、タケちゃん、今日はもう閉めるから申し訳ないけど帰って」

「いやいや、そんな急に言われても、代行もまだ呼んでないし、まだ十二時過ぎだし……」

「ごめん、この埋め合わせは絶対するけ、今日はホントごめん」

「せめて代行来るまで待たしてよ……」

「いや、何か今日はこの辺の店でガサあるみたい。面倒くさいから今日はゴメンね」

「はー、まあ、よーわからんが、わかったわ」

てな感じで、店を閉められた。

しょうがないので代行を呼んで、近くの飲み屋ビルの前で缶コーヒーのみながら待ってた。

来ない。普段は十分くらいで来るのに、三十分たっても来ない。

社長に電話。

「あー、スーさん、すいません何か検問やっとってね。すごく渋滞してます」

「あーそーなんすか、飲み屋追い出されて寂しいんでなるべく早くお願いします」

「はいはいー」

結局店を出てから一時間後だった。時間は一時三十分頃。

飲んでないのに帰る時間は普段と変わらんのかい!とか思いながら乗車。

なんの検問だったのか聞いたら、どうも俺の飲んでた店の近くの公園で「殺傷事件」があったらしい。

代行で帰ってる途中も、検問にあった。

 

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殺傷事件だからか、かなり長い時間、しかも大がかりな検問をやってる。

警察官「車の中の持ち物見せてもらっても良いですか~?」

俺「何の検問です?飲酒運転のとかと規模が違いますね」

警察官「いやー、ちょっとねー、ははは」

隅から隅まで車を調べられて、開放。その日はそのまま就寝した。

次の日、さすがに昨日の件が気になったんで女の子に話を詳しく聞こうと思い電話した。

が、詳しい事情ははぐらかされて、聞けずじまい。

読んでる人はもうお分かりだと思うが、その俺が飲んでた後ろの人達が、近くの公園で出刃包丁で人を刺したって事だったんだ。

まず、何が怖かったかって言うと、次の日の朝、昼、夕方のローカルニュース、新聞、ラジオでまったく報道しないの。いっさい触れない。

あんな夜中まで大がかりな検問やってたのに、殺傷事件なのに、いっさいニュースやらない。

次の日もその次の日も。

次に怖かったのが……

警察に問い合わせてみたのよ。そしたら、そんな検問はしていないしそんな事起きてませんよ、だと。

普通はさ、こういう事聞いたら個人的な事だから答えられないとか、そういう断り方するのに明らかに変な答え方なのよ。

結局そのお店はその事から二週間後になくなったんだけど、後日、そこの従業員だった子から連絡がきたんで電話で話した。

「新しい店にいるから来て」だの「今の彼氏が浮気してそう」だの。

俺はあの日の事が気になったから、聞いてみた。いやー、ゾッとしたねあれは。

入り口でのおっさんと女の子の会話。

白のトレーナーがなぜかピンクのマーブル状になって帰ってきたおっさん。

「おう、これ(包丁)ハイターつけとけや」

「ちょ、何したん!!?」

「あんまし、ねむてぇ事ばっかり言いよったもんで、土手っ腹いったったわ、多分もうあれだ……」

「勘弁してよー……近くでなんか、絶対警察くるじゃん、店どーするん」

「今日はもう閉めろ、それより、おい、あそこで飲んどる奴これ聞いとるな。あいつも片付けるけー、お前ちょい店開けろ」

何とか女の子が納めてくれたので俺が片付けられる事はなかったが、人一人刺し殺してもニュースにもならないような目に見えない圧力や、今その手で人を刺し殺したにも関わらず、凶器をハイターに浸けとけと冷静に指示できる人とかが、こんなに身近にいることを実感した……

(了)

 

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