怖い話というより不思議な話に近い話。
投稿者「めめこ ◆Xm8JjFMI」 2014/04/02
数年前に働いてた会社が倒産した。
社員は10人程度、バイトが数人の小さな会社だった。
よく考えてみると、倒産が決定する一ヶ月ほど前から変な事が頻発してたように思う。
ポットと加湿器の水を毎朝当番制で入れる事になっていたんだけど、前の日の残りの水を捨てた時に違和感があった。
シンクに水と一緒に数粒の砂がパラパラと落ちる。
最初は全く気にしてなかったんだけど、一週間後にはその残り水は薄茶色に汚れてるように見えた。
日増しに汚れはひどくなっていく。
加湿器の不具合かと思ったが、機種も違う3台が揃って同じタイミングというのもおかしい。
オフィスビルの管理に聞いても水自体にそんな報告は無く、他の階から汲んでみても変わらない。
さすがにポットの方は人が口をつけるものだしって事で、みんなが違和感を感じ始めてからは使用禁止になった。
それと同じ時期にコーヒーサーバーにも異変が。
上司がマグカップを片手に妙な顔で近づいてくる。
「なんか変な匂いするんだけど…」と言われる前から、妙な匂いには気づいてはいた。
ドブの匂いというか、澱んだ水の匂い。どう考えてもコーヒーの匂いじゃない。
さすがに飲む勇気は誰もなかったので、リース会社に連絡して見てもらったけど原因不明。
とりあえず代替のサーバーを置いてもらって、最初は問題なかったんだけどまた数日後には同じ現象が発生した。
今度は代替いらないからって引き取ってもらったけど、また新しいのが来ても同じ結果だったような気がする。
極めつけは業務停止の前日の電話。
その日は関係各所からの電話が鳴りっぱなしで、上層部の居留守の工作の為にこっちがてんやわんやの忙しさだった。
怒鳴り込むくらいの勢いの電話もあれば、今まで聞いたこともない会社からの電話も。
終業時間も近づいてそろそろ解放されるって時に、テンプレ通りの「社長は留守にしておりまして」と言った時にガシャン!と窓際から音が鳴った。
とりあえず電話を切って見てみると、みんなの視線の先には塩の小皿と日本酒のグラスが粉々になっていた。
一緒に供えて(?)あった置物(この方角にこの色を飾るといいって言われてたから置いてあったドラゴンボールのフィギュア)が倒れて割れてしまったらしい。
うわー不吉〜www明日から来なくていいとか言われるんじゃねーのコレwwwwなんてみんな笑ってたけど、
本当にその通り翌日には自宅待機するようにって電話が入った。
あとから聞いた話だと、あの時の電話は銀行からの『融資終了』の知らせの電話だったそうだ。
他にも細かい事を言えばキリがないし、なんでもかんでも結びつけるのもなんだけど、やっぱり変だったと思う。
社員のみんなもこの会社はもうダメかもねって思ってたし、
みんな仲が良くて明るい職場だったけど、その1ヶ月はどんよりした空気だった。
その暗い人の心が作用して引き起こしたのか、それともこの雰囲気に侵食されて自分たちまで重くなってたのかはわからない。
けど、良くない事が起こる時には、負の気の淀みってのがあるのかもなぁと思った。