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短編 r+ 怪談 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

飼育委員会 r+5373

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これは、ある掲示板の匿名投稿者が昔の体験を語った話だ。

聞けば、彼がまだ小学生だった頃の話らしい。

その時代、少年犯罪が社会の注目を集めていた。少年による殺人事件や残虐行為が報道されるたびに、メディアは「少年の危険性」を煽り立てていた。

学校も例外ではなく、教師たちは生徒がちょっとでも問題を起こさないよう、神経をすり減らしていた。小さな悪戯でも厳しい目で見られ、まるで何か恐ろしい事件でも起きたかのように対処される、そんな空気だったという。

その投稿者も、当時は学校の「飼育委員」をしていた。クラスでじゃんけんに負けて決まった役目で、本当は図書委員を希望していたのだが、不運にも清掃や動物の世話という、どうにも好きになれない仕事を担当することになった。生き物の世話が嫌いというわけではないが、鳥やウサギの小屋に入って掃除をするのは、潔癖症の彼にとっては苦痛以外の何ものでもなかった。

ある日、当番の友達二人が掃除の最中にふざけ出し、彼を鶏小屋に閉じ込めようとした。必死で扉を押し返したその瞬間、鶏が小屋の中に飛び込んできて、扉に挟まれて首が折れてしまった。友人たちはその場で怯え、彼のせいにしようとしたが、教師は結局「喧嘩両成敗」として、彼ら全員に反省文を書かせた。とはいえ、その鶏の死が彼のせいだと陰で囁かれるようになった。

しばらくして、学校でウサギが殺される事件が起きた。鋭利な彫刻刀やコンパスが使われていたという。地域は騒然となり、マスコミや警察も押し寄せてきた。その噂は瞬く間に広まり、あの鶏を殺したのは彼だったと陰でささやかれていた彼は、自然とウサギの犯人としても疑われることになった。

そのうちに、自宅にまでメディアが押し寄せるようになった。突然、カメラを向けられ、リポーターに「鶏を殺したのは君か?」と責め立てられたのだ。恐怖と混乱で泣き出しそうになりながら、「死んだのは可哀想だけど、僕はやってない」と答えるのが精一杯だった。

その日の夜、ニュース番組には彼の映像が流れ、セリフだけが「罪を認めたような」編集にされてしまった。「悪いと思わないの?」という問いかけに「ごめんなさい。でも僕は悪くないです」と編集されているその姿に、彼は唖然とした。

そしてそれから、彼の日常は狂気へと転落していく。自宅の塀には「悪魔」などの落書きがされ、無言電話が鳴り続けた。放課後も街中で奇妙な視線を感じ、同級生たちからも避けられ、孤立無援の状態だった。彼は学校にも行けなくなり、家に引きこもりがちになった。

ある日の夕方、両親が仕事で不在の時に、玄関のチャイムが鳴った。無視していると、次第にそれは叩くような音に変わり、やがて庭先で砂利を踏む音が聞こえてきた。

恐怖が全身を支配する中、振り返った先の窓には、灰色のトレーナーを着た太った男が立っていた。その男は片手に不気味な袋をぶら下げており、袋から血が滴っているのが見えた。

男はニヤニヤとした笑顔で窓を見つめており、突然その袋から肉片を取り出すと、無言のまま窓ガラスに投げつけ始めた。ボン…ボン…と鈍い音を立てながら、肉片が次々とガラスに叩きつけられる。驚愕と恐怖で身動きできなくなった彼は、ただその光景を凝視するしかなかった。その肉片の中には、動物の頭らしきものも混ざっており、ぞっとするような眼光が窓越しに彼を睨みつけていた。

男はにやりと笑いながら、肉片を投げ続けながら

「おまえがやったんだよォ…おまえがやったんだよォ…」と、低く囁くような声で繰り返していた。

この事件の翌日、彼は家の風呂場でガタガタと震えながら発見された。その後、男は逮捕されたが、ニュースは「精神異常者による家宅侵入と動物の遺体遺棄事件」としてわずかに報道されたのみだった。世間の注目はもうその頃、他のニュースに移っており、誰も彼の受けた恐怖や苦しみに耳を傾けなかった。

大人になった彼は今もあの出来事を忘れることができない。ふと夜道で自分を監視しているかのような影を感じると、あの血まみれの肉片がガラス越しにボンボンと叩きつけられる音が耳に蘇る。心のどこかで、あの男が既に刑務所を出ているかもしれないと考えると、今でも身震いが止まらなくなるそうだ……

[出典:38: 1-5:2010/06/13(日) 03:18:01 ID:zKPLaUjV0]

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