ひぐらしの元ネタとなった広島一家行方不明事件
2002年(平成14年)9月7日、広島県世羅町京丸(せらちょう きょうまる)の「京丸ダム」の湖底に車が転落しているのを通行人が発見し、警察に通報。
不可解な湖底の記憶
これは、広島県世羅町にまつわる奇妙な話だ。2002年9月、静かな田舎町の湖底から、一家四人の遺体を乗せた車が発見された事件。その不可解さから「神隠し」と呼ばれるようになった背景には、土地に伝わる古い因縁が絡んでいるという。
一家が失踪したのは、事件の前年。自宅はきちんと施錠され、朝食は虫よけネットをかけたまま手つかず。家の中に争った形跡はなく、妻の順子さんは社員旅行を控えて荷造りを終えたばかりだった。そんな中での忽然たる失踪に、近隣住民はざわついた。「人間業じゃない、これは神隠しだ」と。
その土地には、神隠し伝説の根が深かった。近くにそびえる大将神山では、かつて一人の女性が忽然と姿を消したと言われている。その女性――お夏は、地元の長者に仕えていた美しい使用人だった。ある日、山に入ったまま戻らず、村人たちが総出で捜索するも、結局何一つ手がかりは得られなかった。以来、村ではその山を恐れるようになり、「神隠しの山」として忌み嫌われた。
ところが奇妙なことに、その山は一家四人の遺体で知られる山上家がかつて所有していたという。さらに調べを進めると、山上家には代々、女性が山に消える不吉な伝承があった。お夏の血筋がどこかで絡んでいたのか、それとも、あの山自体が何かを引き寄せるのか――誰も確証を得られぬまま、話は闇に葬られた。
京丸ダムの湖底で見つかった車。一家四人の遺体に残る奇妙な姿勢や顔の表情は、公には「水圧による変形」と片づけられたが、捜査に関わった警察関係者は後日こう漏らした。
「あの家族、車内で全員同じ方向を向いてたんです。まるで、何かを見ていたようにね」
それが何だったのか、今も誰にもわからない。一家を包む謎は、大将神山の霧の中に溶けてしまったのかもしれない。
[出典:24 :2010/05/28(金) 03:18:22.88 ID:P5aKPVjO0]