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短編 r+ ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

不気味な友人の後輩 r+8742

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大学時代の友人と久々に飲み、終電を逃してしまった。

同行していた友人の「職場の後輩」の部屋に泊めてもらうことになった。初対面だったが、大人しそうな男で、どうやら金持ちの家の出らしく、新築の三LDKのマンションに住んでいた。

玄関先で待たされる間、薄暗い廊下に立っていると、どことなく生臭い匂いが鼻をついた。男は「ここに布団を敷いておきます。僕の部屋は汚いので、押し入れだけは開けないでくださいね」とだけ言い残し、奥の部屋へと消えていった。

静かになると、匂いがますます気になり始めた。防虫剤のツンとする香りに混じって、甘ったるく生臭い、なんとも言えない臭いが布団に染み付いている。嫌な予感がしながらも、怖いもの見たさが勝り、スマホのライトを頼りに押し入れをそっと開けた。

瞬間、息をのんだ。

押し入れの上段には、雑に金色に塗られたマネキンや人形の手足が、ブルーシートの上に無造作に積み重なっていた。圧縮パックの中には、汚れたぬいぐるみと腐りかけた花が詰め込まれ、防虫剤や消臭剤が大量にばら撒かれている。その奥には、袋に入ったままのパンや乾ききった弁当が積み重なっていた。

壁には、不気味なマンダラのような図形や、僧侶らしき男が炎の前で祈る写真が無数に貼られている。宗教……いや、もっと違う、何か異質なものを感じた。

その瞬間だった。

足元の襖が、音もなくゆっくりと開いた。

全身が硬直する。足音はしない。ただ、布団の周囲を何かがゆっくりと回っている気配がある。

やがて、それは押し入れの前で立ち止まり、襖をそっと開ける気配がした。

鼓動が激しくなる。

次に、それは布団の頭側へと移動し、じっと立っていた。

スー……スー……

鼻息が聞こえる。顔に当たるほどの距離だ。

目を開けたらダメだ。直感的にそう思った。ひたすら寝たふりをする。

やがて、それはゆっくりと部屋を出ていった。微かに開けた薄目の先に映ったのは、男の手に握られた、包丁だった。

息を殺し、しばらく動かずにいた。奥の部屋へ戻ったのを確認すると、即座に荷物をまとめ、静かに部屋を出た。

ダイニングで待ち伏せされているかもしれない……そう思うと足がすくむ。しかし、男の姿はなかった。

慎重に玄関を抜け、タクシーを拾い、そのまま自宅へ直行した。

翌朝、友人を叩き起こし、「あの後輩、何者なんだ」と問い詰めた。すると、衝撃の事実が返ってきた。

「え? あいつ、昨日、日雇いの派遣で初めて来たやつだよ。帰りに勝手についてきて、断りそびれたんだ」

ぞっとした。

その後、派遣元に問い合わせるも、個人情報は開示されず、その男の電話も繋がらなくなっていた。

それから三年が経った。

俺は結婚し、離婚し、転職し、二度引っ越した。あの夜の出来事は、時間とともに記憶の奥に沈んでいった。

しかし、先月、会社のデスクの滅多に開けない引き出しを整理していたとき、それは見つかった。

三年前に失くしたはずの名刺入れ。

中身は、当時入れていたものがそのまま残っていた。ただし、俺の身元が分かるものは、一切なかった。

この三年間、俺のことを誰かが、ずっと追っていたのかもしれない。

[出典:47 :本当にあった怖い名無し:2016/09/15(木) 17:40:10.76 ID:5fAaBFJm0.net]

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