私の母方の家系には、独特かつ興味深い歴史が存在している。
先祖の一人である女性が、山の神を鎮め、その地に寺院を建立したという伝承が残っている。その影響であろうか、私の家系の女性たちは代々、強い霊感を有していることが多い。母、姉、祖母、叔母、従姉妹たちなど、多くの女性が霊的な感受性を持っており、何らかの霊的現象を感じ取る能力を有している。
興味深い点として、ある従姉妹はかつて霊感を全く持っていなかったが、子供を出産したことを契機に体質が変わり、霊的存在を認識する能力が芽生えたという。一方で、別の叔母は子供を産んだ後に霊感が減退した。こうした事例から、出産という重要な生理的出来事が、女性の霊的能力にも影響を及ぼす可能性が示唆される。
家系の女性たちに霊感が集中している一方で、母方の家系の男性は霊感を持つことがなく、さらに「男子没落の相」があると言われている。家系の男たちはどれほど努力をしても成功を収めることが難しく、どの分野でも成果を上げられない、家系が維持されてきたのは女性たちの強靭な精神力と、経済的な支えがあってこそである。例えば、母は株取引や宝くじなどで直感的に成功を収めることが多く、何かしら成功する特異な運を持っている。これらのエピソードは、女性が家系の繁栄を支える重要な役割を果たしていることを物語っている。
先祖の強い霊能力を持つ女性によれば、山に寺を建立した際に鎮められた神の呪いが、家系の男たちに対して没落を引き起こしているのだという。そのため、家系の男たちは神の目を逃れるために、幼少期には女児として育てられることが慣例となっていた。私自身も幼少期には女児の服を着せられ、女児として振る舞うよう育てられた。このため、家系の男たちはいわゆる「女顔」で生まれることが多く、私も小学生の頃にはしばしば女の子に間違えられた。
興味深いことに、これらの霊的な影響は物体にも宿ることがある。例えば、フリーマーケットで購入された人形やぬいぐるみには魂が宿り、捨てられなくなることがある。我が家では中古品やカスタムされた人形、フィギュアを購入することは禁止されており、大量生産された新品のみが許可されている。実際に、母がかつてフリーマーケットで購入した人形が泣いていたり、中国で購入した仏像に魂が宿ったこともあった。現在もリビングに置かれている人形は微笑みを浮かべながら座っている。このような物品に宿る霊的存在は、しばしば独特なエネルギーを放ち、その場の雰囲気を変えることがある。
幸運にも、家には何らかの保護があり、強力な悪霊は近づけない。ただし、私自身には霊的な存在が視認できないため、それが真実かどうかはわからない。例えば、美少女キャラクターの抱き枕にも魂が宿っていると言われたときには驚いた。まさかそんなものにも魂が宿るのか、と。それが何か悪影響を及ぼすことはなかったものの、やはり奇妙な気分であった。
家系には奇妙で不思議な霊的エピソードが数多く存在している。例えば、文化祭で女装させられたり、男子から告白されたり、合唱コンクールでソプラノを担当したりと、私の人生には通常とは異なる経験が多くある。これらの出来事は、ただの偶然ではなく、霊的な影響によるものかもしれない。また、人形や像に関しても、無意識に強く惹かれて購入してしまうことがあり、もしかするとそれらに呼び寄せられていたのかもしれない。特に、何度も心に引っかかるような物品は、何かしら霊的な意味がある可能性が高いと感じている。
母から「悪いものは家に入れない」という言葉を幼い頃から聞かされていたため、特別な縁を感じたものには手を伸ばすことがあるが、その後の祭祀や管理が非常に面倒である。特に、そういった物品を適切に祀ることは重要であり、それを怠ると家系全体に悪影響が及ぶ可能性があるとされている。結婚後には、祀るものは実家に置かずに自分で持っていけと言われているが、その重圧が少し不安でもある。
現在でも、母方の寺には信者が訪れることがあり、母は時折「あの時、姉たちに修行させておけばよかったかも」と冗談を言う。しかし、寺の管理を担当しているおばさんが土地の権利を譲るよう要求してきたため、現在は少々緊張した状況が続いている。土地の権利問題は家系の存続に関わるため、家族間での議論が続いており、家系の歴史と伝統を守るための方策が模索されている。
こうして、私の家系は独特な歴史と霊的なエピソードに彩られている。神による守護は女性にのみ与えられ、男たちはその恩恵を受けることができない。それでも、長い時間をかけて先祖たちが培ってきた生存戦略のおかげで、私は何とかして平凡な生活を維持することができているのかもしれない。家系の中での男の存在は、いわば脆弱でありながらも、女性たちの支えによってようやく成り立っているものである。しかし、その脆弱さが、逆に家系の持つ独自性と深い霊的背景を強調するものとなっている。
私の家系における霊的なつながりや伝承は、単なる過去の遺産ではなく、現在もなお私たちの生活に影響を与え続けている。女性たちの強さ、霊感、そして神とのつながりは、家系を維持し発展させる上で欠かせない要素である。その一方で、男性たちが持つ運命的な課題は、家系の中での役割分担や生存のあり方に大きな影響を及ぼしている。こうした複雑な霊的な構図は、私の家系の独特な側面であり、これからも続いていくであろう。
(了)
[出典:563 :2011/12/18(日) 03:29:06.56 ID:eAMJMBmL0]