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短編 凶悪殺人事件

池袋通り魔殺人事件

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1999年9月8日午前11時40分頃、東京都豊島区東池袋の東急ハンズ前で当時23歳の造田博(ぞうたひろし:新聞配達店店員)が包丁と金槌で通行人を襲い、2人(66歳女性と29歳女性)が死亡し、6人が重軽傷を負った。

犯人の人生

1975年11月29日、岡山県倉敷市で生まれる。父親は腕の良い大工で、母親は被服工場で下請けの縫製のミシン内職をしていた。兄弟は兄が一人いる。一家の暮らしは中流を上回っていた。

1978年10月、造田が三歳の頃、一家は隣り町の児島郡灘崎町(現:岡山市南区)に引っ越す。祖父の代までは兼業農家で、造田の父親は六男でありながら祖父の土地を相続した。
造田が小学校の高学年の頃、父は相続した土地を売り、大金を手にする。

その額は1000万とも2000万とも言われていた。金銭感覚が揺らいだことと関係しているかわからないが、父親は健康が優れないことを理由に仕事から遠ざかるようになっっていった。

造田が中学にあがるころ、母親が夫に代わり、保険の外交員として働きに出るようになる。地元の住人の話によると、母親はこの頃から服装が派手になり、仕事の合間にパチンコを覚えたという。

以後、夫婦でパチンコ、パチスロ、競輪、競艇に入れ揚げるようになる。

造田は進学校である県立倉敷天城高校に進む。中学3年生になってから猛烈にがんばっての合格だった。

高校時代は影が薄くて目立たない生徒だと言われていたが、成績は優秀だった。

1993年11月、両親の賭博は止むことはなく、自宅の家財道具を持ち出しついには数千万円の借金を残して失踪。

以後の行方はわからず、息子の凶行後にもその姿を現していない。

残された彼の家には借金取りが連日のように押しかけてくるようになった。

兄は大学生として一人暮らしをしていたため、造田一人が借金取りの対応に迫られることになった。

経済的な困窮から、高校生活や夢見た大学への進学も破綻した。

1994年1月、造田は広島県福山市で自活していた大学生の兄の下へ身を寄せ、パチンコ屋で住み込みで働くようになった。しかし長続きしない。

1999年の事件時に勤めていた足立区の新聞販売店までにわかっているだけで14回の転職を繰り返している。

工場、新聞配達、船舶塗装、住宅美装の仕事していた。

兄の目には転職を繰り返せば繰り返すほど、弟は口を閉ざすように見えたと言う。

親代わりとして弟を叱り飛ばすこともあったが、そのたびに自分の殻にこもるようになった。

一時期、両親も造田と兄の下へ帰参していたが、再び蒸発した。

この間、小学校時代同級生であったある女性に好意を抱き、彼女に対して執拗なアプローチを行い、ストーカーのような行為にまで走ることがあった。

日本での人生に絶望した彼は、1998年、新天地を求めてアメリカに短期渡航した。

ロサンゼルス・サンフランシスコ・ポートランドと向かったが、十分な滞在費がなく、途中で行き倒れて日本大使館に保護された。

就職先もなかったので、大使館の紹介で、現地のキリスト教会の牧師に事情を話し、教会の仕事を手伝うのと引き換えに衣食の面倒を見てもらっていたという。

逮捕後の取調べ時には、この時期が人生で最も充実していたと回想している。

しかし、こうした現地での生活も、ビザの失効と同時に終わった。

日本へ帰国後、造田はパスポートを破り捨てていたという。

その後は、働きながらの大学への通学も考えたが費用の面から頓挫。犯行当時は都内の新聞販売店を辞めた直後だった。

犯行動機

犯行動機は、人生に絶望し、またどうしようもない環境的な不平等にいらいらした為、と供述している。

直接のきっかけは、事件直前に夜勤をしていた際、自分の携帯電話にかかってきた無言電話によるという。

犯行当日、殺人を予告するレポート用紙をアパートの自室の扉の外側に張りつけた。

本人の供述では、およそ「真面目な人がさらにさらに苦しむ一方で、遊んで楽をしていられる身分の人たちがいることに嫌気がさした」と言っていた。

1997年夏、造田は外務省や警察庁にあてて支離滅裂な内容の手紙を送りつけていた。

裁判

被告人造田は2002年1月18日、東京地方裁判所(大野市太郎裁判長)で死刑判決を受けた。

造田は判決を不服として控訴したが、2003年9月29日の東京高等裁判所(原田國男裁判長)判決で控訴は棄却された。2007年4月19日には最高裁判所(第1小法廷・横尾和子裁判長)においても上告が棄却され、死刑判決が確定した。

2016年現在、東京拘置所に収監されている。

2009年に再審請求を行い、2015年までに東京地裁・東京高裁にて棄却、2016年現在最高裁係属中。

(了)

 


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