短編 洒落にならない怖い話

廃工場からわらわら湧き出してくる……【ゆっくり朗読】2600

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先週の土曜日の話です。

552: 本当にあった怖い名無し:2011/06/21(火) 21:24:03.81 ID:SHvWLwFC0

文章が拙い上に自分でも何を言ってるのかよく分からないですが、読んでいただけると嬉しいです。

今も取り乱しています。

私と彼氏、彼氏の同僚の仲宗根とその彼女の美樹と遊ぶことになったのです。

何をしようって話になった時に、彼氏と仲宗根の趣味である、廃墟めぐりに四人で行ってみようということになったんです。

といっても、幽霊は話を聞くのは好きでも見たくないし、私と美樹は初めての廃墟ということで、

変な来歴がなくてヤンキーもいない、成り立ちのはっきりした廃墟を探して、行くことになりました。

そこは、仲宗根の親戚が元々働いていたところで、大きなガラス製品会社が、バブル前に建設したらしいです。

従業員のための福利厚生施設や寮、観光客のためのガラス工芸体験コーナーがあったり、

かなり大きい建物のようですが、不景気のあおりを受けて会社が倒産、

稼働して半年もたたないうちに使われなくなったそうです。

その経営者もピンピンしているし、大きな事故が起こったこともない、

国道につながってはいるが、山のほうに奥まった場所にあるので、

暴走族のたまり場にもなっていないだろうということで、仲宗根があたりをつけてきたのでした。

当日朝七時に集合して、その時は曇っていましたが、山に近づくにつれ晴れてきて、私たち四人はテンション高く彼氏の車で出発しました。

廃墟までの道はアスファルト敷きの立派な道でしたが、タケノコのせいで割れて、

そこから草やツタが茂ったりして、車一台がやっと通れるだけの荒れようで、

仲宗根は、こんなことともあろうかと思って、とか言って持ってきた草刈り機を見せたりしていました。

廃墟は思ったより山の中にありました。

そのちょっと前にはお寺と畑がありましたが、十分も走ると、古い自販機があるだけで、他になにもありません。

ぐるっと壁に囲まれて、大きな門の前は木のパレットでふさがれており、

周りに民家などもなく、明らかに誰かが気軽に立ち入れる雰囲気ではありませんでした。

なんとか門を乗り越えて、中に入ってみると、端のほうはともかく、

中心の建物のほうは、草木に浸食されている様子もなく、休みの日の校舎みたいな雰囲気でした。

近寄ってみてみると、建物のほうがだいぶ地面より高くなっていて中こそよく見えませんでしたが、ガラスも全部残っていて、彼氏も

「普段ならどっかが破れていて、そこから入ったりするけど、こんなにきれいだと気が引けるな、とりあえず一周回ってみるか」

と言い出し、ぐるっとまわりを歩いて入れるところを探すことにしました。

ところが、元工場の周りを歩いていたら、前方に人影が見えたのです。

最初のうちは、お化け!?とかなりドキドキしましたが、近づいてみると、なんというか……

ちょっと買い物に出かけましたみたいな普通の格好のおばさんで、

こっちを見て何かリアクションをするでもなく、お互い会釈して普通にすれ違いました。

その後も、ハーフパンツのおっさんとか、中年夫婦とか、子連れのママとか、

スウェットキティサンのヤンキーっぽいおねえさんとかと次々とすれ違い、

みんなあまりにも普通なので、逆に長袖軍手のこちらが場違いに思えてきて、

仲宗根に「ここって廃墟じゃないの?」と聞くと、

仲宗根も「ずっと使ってないっていうのも俺の親戚の話だし、生きてる建物が普通にあるのかも……とりあえずこの人たちがどこから来てるかだけ確かめよう」

といい、その後も色々な人とすれ違いつつ、その人たちが出てくる扉の前につきました。

他の工場っぽい扉と違い、そこは事務所みたいな感じでした。

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そのドアを開けて中を見てみると……中にはなにもありませんでした。

ほこりっぽくて、何かのケーブルと事務机がひとつあるだけ。

窓はありますが、どこかにつながっている出入り口もなく、一部屋だけの建物。

私たちはみんな「???」となりましたが、確かに人が出てきたので、何かあるだろうと仲宗根が中に入ってふらふら探していました。

そこで美樹が「ねえ、帰ろうよやだー」と言い出しました。

すごい怯えている様子なので、どうしたのか聞くと、

「だって、この部屋足跡とかないよ?あの人たちどうしたの」

よく見ると、その部屋の床にはほこりが積もっていて、そこには美樹の歩いた跡しかないのです。

それに気づいた私たちは、なんだか無言になって、そそくさと外に出てドアを閉じました。

そのまま来た道を戻ろうとすると、背にしたドアがガチャっとあいて、中から人が出てきました。

どこにもつながってない、だれもいないはずの部屋なのに……

美樹が悲鳴を上げて走り出し、私たちも夢中で車まで駆け戻りました。

不思議と追い抜いていく人は増えています。

肩がぶつかって迷惑そうに睨まれたりします。

さっきまで全然人がいなかったのに、工場の中には何十人と人がいます。

門を越えたらもう大丈夫だと思ったのに、車に乗って発進したら、道にも人があふれています。

みんな散歩でもしているみたいに、普通の格好でふらふら歩いています。

こんな場所に何十人も、山を下っているので車はゆっくりしか進まなくて、私たちは、叫んでクラクションを鳴らして、とにかくパニックで、頭がおかしくなりそうでした。

彼氏は仲宗根を「お前なんてとこに連れてきたんだよ!」と怒鳴り、仲宗根も怒鳴り返すしで喧嘩になり、とうとう美樹が、

「あそこにお寺あったよね!あそこで助けてもらおうよ!」

と言って、仲宗根と美樹、二人は走ってお寺に行ってしまいました。

その後私は泣きすぎて過呼吸になり、後部座席で横になっていたので外は見ませんでしたが、

しばらく車はゆっくり進んだ後、国道に出たらしくて、気付いたら見覚えのある道で

あの人たちもおらず、雨が降っていて、さっきまでのあれが嘘みたいでした。

彼氏と私はファミレスの駐車場に車を止めて、私が落ち着くのを待った後、ファミレスに入って、

美樹が克子の携帯に電話してみましたが、応答がありません。

とりあえず「迎えに行くから連絡して」とメールしたあと、しばらくファミレスにいて、

夜遅くなったので彼氏の家に泊まって、次の日仲宗根と美樹の家に行ってみましたが、まだ帰ってきていないようです。

「俺たちをからかってるのかも。壮大なドッキリかも」

と彼氏が言ったので、今日まで待ってみたのですが、仲宗根は会社を欠勤しているそうです。

美樹もまだ家に帰ってきていないようです。

A県N市M山の工場について何か知っている方、この板にはいらっしゃらないでしょうか?

仲宗根と美樹はどうなったんでしょうか?ちゃんと戻ってくるんでしょうか?

私と彼氏はどうにかなったりしないでしょうか?

今すごく不安で怖いです。

(了)

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