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区長の家の秘密 r+3493

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これは、かつて地方の小さな町で育った男から聞いた話だ。

彼が小学生だった頃、その町には「子ども会」という集まりがあった。地域の子どもたちが一堂に会し、区長の家を拠点に遊んだりイベントを開いたりするのが日常だったという。

その区長の家は、敷地が異様に広かった。庭には古い木々が鬱蒼と茂り、離れが二つ建てられていた。そのうちの一つが、子どもたちの興味を強く引いた。敷地の奥、塀沿いにひっそりと佇むそれは、二階建ての無機質な建物だった。窓がなく、唯一の扉は頑丈な錠前で固く閉ざされている。子どもたちはそれを「謎の家」と呼び、何があるのか想像を膨らませていた。

ある日、話を聞かせてくれた彼は、その建物にどうしても入ってみたいという衝動に駆られた。区長に頼んでみたが、「あそこは物置だから入ってはいけない」と一蹴されてしまう。しかしどう考えても普通の物置ではなかった。塀の向こう側にはエアコンの室外機が設置されている。涼しい風が吹き出す音がするのを耳にしながら、彼の疑念は深まるばかりだった。

それから数日後、彼は塀をよじ登り、建物の中を覗くことを決心する。登りきると、窓がないと思っていた壁に小さな窓が一つあることに気づいた。その窓から中を覗けそうだ。しかし、ふとそこに視線を向けた瞬間、小窓の向こうから「顔」がこちらを見返していた。初老の男の顔だが、その男は町で見たことのない人物だった。驚いて塀から飛び降りた彼は、慌ててその場を立ち去った。

後日、区長にその話をすると、「気のせいだ。あれはただの物置だ」と冷たく否定された。しかしあの顔の記憶は鮮烈で、彼の胸に残り続けた。そして、ついに友人の主一と鉄男を誘い、建物に忍び込む計画を立てる。

真夜中、3人は区長の家の裏手から塀を登り、小窓を目指した。すでに小窓は開いており、割る必要はなかった。彼と主一が中へ入ると、室内は暗くひんやりとしていた。一階には微かに明かりが漏れ、ロッキングチェアが揺れている。その椅子には、人が座っていた。

いや、「人」ではなかった。そこには一つの体に二つの顔がついていたのだ。一つは目を閉じ、もう一つは虚ろな視線で空中を見つめている。その異形の存在が、突然奇声を発した。「ああ゛あ゛ーー!」というその叫び声に、もう一つの顔が目を開ける。同じ奇声を発しながら二人分の顔が揺れるように近づいてくる。凄まじい恐怖が彼らを襲った。

彼は我先にと逃げ出したが、主一はその場に崩れ落ち、泣き叫んで動けなくなっていた。「助けてくれ!」という声を聞きながらも、振り返ることはできなかった。

外に残っていた鉄男と共に区長の家へ駆け込むと、区長は彼らを厳しく叱責し、すぐに離れへ向かった。その後、主一は失神した状態で運び出された。彼の様子は無事そうだったが、表情には怯えが色濃く残り、目を覚ますことはしばらくなかった。

事件の後、彼らの親は区長に呼び出され、口外しないという誓約書を書かされたという。区長の離れに住む「それ」が何なのか、誰も教えてはくれなかった。子どもたちの噂だけがひっそりと町中に広がり、やがて彼はその町を離れた。

真相は今もわからない。ただ、あの建物が「物置」でなかったことだけは確かだ。

[出典:431: 本当にあった怖い名無し:2011/06/21(火) 01:00:04.66 ID:KCnZKBuw0]

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