短編 カルト宗教

某学会員の両親【ゆっくり朗読】

投稿日:

Sponsord Link

両親が某学会員で、生まれついての学会員だった俺。

341:本当にあった怖い名無し:2013/07/23(火) 23:56:36.47 ID:SbAcZn8b0

信仰心は皆無だ。気づいたら学会員だったというだけ。
既存の宗教ではないものを、「自分達で選んだ」という自負のある両親とは、ものすごいギャップを抱えていた。

まあでも、両親の前ではそれなりに装って、波風立てずにやってきた。
そして大学で彼女と出会って、交際し、そろそろ結婚を考えて、それぞれの親に挨拶を
しようという話になった。

その後、妙に元気がなくなる彼女。
相手の親(特にコワモテだと聞いていた彼女のお父さん)に挨拶することを考えると、胃が痛くなりそうだったから、彼女もそうなんだろうと思っていた。

彼女の実家の住所にたどり着いた俺は驚いた。
そこはお寺だったんだ。しかも学会で「捨閉擱抛(しゃへいかくほう)」と嫌いまくってる宗派(浄土宗)の。

やや離れたところに車を停め、携帯で彼女を呼び出すと、
「学会のうちやって聞いてたから、言われへんかってん…」
泣きじゃくる彼女。俺自身は、学会には生まれついて所属していただけで、何の感慨も
なかったけど、彼女にとっては途轍もない重大な問題だったんだと気づいた。

当然その日は挨拶どころではなく、いったん帰って、先に俺のとこの両親から済ませようということになった。

このとき、俺は学会を抜ける決意を固めていたのだが、両親も話せばわかってくれると思って、バカ正直に「寺の娘と結婚したいから、脱会したい」という話をした。してしまった。

怒った顔をほとんど見せたことのない父親が、まるで般若のような顔をして、彼女を罵倒した。鬼に変わった母親が彼女の頬を平手で殴り、箒で背中を叩いて追い出した。
どうにも出来なかった。
気まずい数日を実家で過ごし、諦めたと装って下宿に戻った。装うのは慣れてる。

俺はそれから、卒論のゼミをブッチしまくりつつ、ひたすらバイトに明け暮れた。
とにかく、卒業までに両親が知らないところに逃げるつもりだった。

数ヶ月後、「このままでは卒論の提出が出来ないから、指導教授のとこに顔出せ」という名指し掲示が貼り出される頃、やっとある程度まとまった金が出来た。

俺は両親に「大学行かせて貰ったお礼」と称して、やっすい温泉旅行をプレゼントした。
卒論も順調なものと思っている両親は、涙目になって喜んで出かけていった。
無人の実家の前に、こっそり購入した中古の軽をつけると、トランク一つに詰め込めるだけ詰め込んで放り込み、仏壇と金属バットを積んで、逃げ出した。

下道を150キロくらい走って、どこかよく知らない浜辺に、SGI仏壇を置いて、バットでぶん殴った。電動式で扉が開く、黒光りするこの仏壇は、随分と丈夫にできているらしい。
まるでうちの両親の信仰心のようだ。

カドに当たった金属バットがひん曲がってしまった。
それでももう一発お見舞いしたら、中からありがたいありがたい紙製ご本尊が飛び出して来た。俺はバカ笑いしながらライターで火をつけた。

あれから、もう十年近くになる。
彼女との間に生まれた娘が、五歳になる。

今は彼女の姓を名乗っている。
彼女の実家とは別のところに住んでいる。

子供が生まれたときに、一度だけ連絡取ってみたが、電話口で「無間地獄に堕ちるぞ!」と母親に言われたよw

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, カルト宗教

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.