猟師から聞いた話なんだが、昔に自分の友人の猟師が、山で子犬を拾ってきたそうだ。
908 顔 ◆3EgJTOI8PA New! 2011/10/03(月) 13:54:36.99 ID:6mtrUVG60
まだ目も開いていない赤子で、なぜか山の中に一匹だけ落ちてたそうだ。
野犬の子犬は成長すれば猟犬として良く役に立つ。
喜んで育てていたら、何か犬と違ったそうだ。
真っ黒でゴワゴワした毛が生えてきて、犬の毛質とは違う。
耳は丸い形をしていて、犬と違って尻を付いて座ることが多い。
ミルクを飲むときも前足を使う……しばらく育ててみてやっとわかった。
クマの子供だったのだ。
何であんな所に転がっていたのか解らないが、クマの子だった。
たまげたもんだがこれはこれで嬉しい。
クマは犬より鼻が良いし足も速い。力もあるし犬より役に立つ。
なので育て続けることにした。
そんなこんなで一年経って、結構大きくなって、初めて狩りに連れて行くことに
すると突然何かに反応して、どこかへ走っていく。
犬のおかげで見失わずに済んだものの、あまりの足の速さに驚いた。
何を見つけたのかと思えば、木の中に顔を突っ込んでる。
キョトンとしていると、野生の日本ミツバチの巣をくわえて持ってきたのだった。
それから半年経った日、今日も何かの臭いに釣られて、崖っぷちまでやってきた。
何があるのかと上を見てみればでかい何かの鳥の巣。
ヒナもいるが、ヒナが鶏ほどもある。
しかもその横に転がってるのは死んだ鹿……巣もかなりでかい。
「おめぇ……とんでもねーもの見つけたなぁ……」と思わずつぶやいた。
巣の下である自分の足下にはたくさんの骨が散らかっている。
しばらく考えていると
バサッバサッバサッ、とかなりの羽音。
飛んできたのは身の丈三メートルはある化け物のような鳥。
ハヤブサに鷲を足して二で割ったみたいな奴がそこにいる。
尾っぽの先にたなびく飾り尾も偉く長い。
イメージとして伝説ポケモンのフリーザーの尻尾だと思ってほしい。
羽を広げてこちらを睨む。翼長がとんでもなくでかい。
10m以上はあったそうだ。
羽の内側には青色の斑点があり、目は∞の形に瞳を入れた感じの目をしていた。
あまりの馬鹿でっかさに声も出ない。
急いで逃げようとしたが、腰が抜けて逃げれない。
そのとき、猟熊が自分を背中に乗っけると猛スピードで走り出した。
犬もそれに釣られて走り出し、何とか事なきを得た。
その頃から自分の里で牛や馬がピンピンと姿を消し始めた。
牛小屋は屋根から破壊され、中の牛を捕っていく。
紛れもなくあの怪鳥に違いないと確信し、そのことを暴露し、退治に乗り出した。
牛を一匹広場に置き、猟師が総出で迎え撃つ……という作戦だった。
明け方、バサッバサッバサッ
大きすぎる羽音と共にそいつはやってきた。
牛を足で捕まえると飛んでいこうとした。
ババンッバーンバババーン!!!
と、鉄砲の音が響いた。
しかしそいつは何事もなかったかのように逃げ去っていった。
奴のいたところには血痕が結構な量残っており、それ以来奴は来なかった。
調べたところそれは「鷲駿」という妖怪だそうで、ひらがなで書くと「ぐはい」
読みは「ぐわい」だという。
(了)