これまでさまざまな話や体験を書いてきたが、今回は身近で進行中の恐ろしい出来事について記録することにした。
身元や現状が特定されると面倒なことになるため、少しだけフェイクを混ぜる。
また、実際にモノを見ていなければ害はないと思うが、もし何か異常があれば管理人さんに報告してほしい。
この話の始まりは約50年前、父が小学生だった頃に遡る。
父の母(自分の祖母)にさまざまなことを教えてくれた先生(非常に徳の高い本物だとされる)が、町内のある施設に訪れた際に、
「この施設にはあってはならないものが2つある。早くどうにかしろ」と言ったそうだ。
その施設に入る前に、そう警告を発したという。
時が経ち、ここ数年、町内の役員になると不幸が続き、その役職を誰もやりたがらなくなった。
父は、先生が言っていた「2つの曰く付きのもの」が原因だと考え、町内で動き出した。
「祖母ができなかったことだから、自分がやらなければならない。後世に回すわけにはいかない」と父は言っていた。
そして、ついに一昨年、その1つを撤去し、残るは1つだけとなった。
その残り1つが原因で現在、厄介なことが起きている。
今年、その残り1つを厳重に処置して倉庫に片付けることができたが、あとは燃やすだけだった。
ところが、ここから不思議なことが起こり始める。
まず、市のどこかの誰かが、その曰く付きのモノの写真を広報に出すべきだと投稿した。
もしその話が進み、歴史的なものと見なされれば、撤去に反対する意見が出るかもしれないという懸念があった。
父はこれについて、「執念が働いて、撤去されないように手を回しているんだろう」と言っている。
そして、ある役員に「お前、写真を撮ったことあるだろ?あれどうなった?」と聞いたところ、
本人は撮った記憶がなかったが、家を探してみるとネガ(データ)が見つかった。
その金曜日の夜、父から話しかけられた。
「写真、色々写ってるらしいぞ」
「マジでwうわー見てみたいけど、見たらまずいよな~」
「簡単に見るべきものじゃない」
「で、写真はどうした?」
「処分しろとは言ったけど」
「曰く付きのモノは実際に見たことないし、自分には関係ないだろうな~」
「あんなモノはこの世から消さなければならないものだ。で、何が写ったと思う?」
「色々って言うなら、顔とか手とか目とか影じゃないかな?」
「なんにせよ、この世には本物のものがあるもんだ。作者も誰がいつ、何のために飾ったのかもわからん…持ち主も家系が断絶しているだろう。持っていたら一週間で我慢できなくなるようなものだ」
次の日の朝、写真(プリントアウト)が持ってこられた。
処分方法がわからず迷った結果らしい。
そして、自分もその写真を見た。
(以下、その時思ったこと)
「なんじゃこりゃ?見にくい画像だな~外の風景?木々が見えるけど、ガラスに反射した外が写っているのか?」
じっと見ていると、父が言った。
「お前にはまだ見えないか?」
「いや、これって後ろの風景、こんなの?」
「馬鹿か。施設内から外が写るわけないだろ」
「ワハハwこれすげぇ、あっ、見える見える(笑)しかもここに女性が恨めしそうにじっと見てるじゃん。これヤバイなw」
写真の内容を説明すると、
古い木造建築の室内から外を撮った写真で、外には木々が茂っており、建物の近くに顔はぼけて見えないが人影がある。
その写真の上に、元々の曰く付きのモノが隠れるように写り込んでいた。
これ、合成か?合成じゃないなら、心霊写真のレベルじゃないよ…念写だよ、念写!!
しかも女性が恨めしそうにと言ったが、顔も見えないし、イメージで出てきたんだろうな!!
今まで生きてきて、テレビや雑誌で見た心霊写真なんて、子供だましに見える!!
それに、この写真で外の人物が室内に入ってきたら、死ぬか発狂するだろうな!!
これは呪物じゃなくて、厄災だよ、チクショー!!
怖さを超えて笑いながら思った。
そして父はその写真を預かり、丁寧に処分し、燃やした。
世の中には本当に人の手には負えないものがあるとは思わなかった。
今はその厄災が何事もなく無事に消え去ることを祈っている。
(終わり)
[出典:投稿者「見えない人 ◆jPQ0updc」2017/06/07]