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これは久しぶりの同窓会での話だ。

数か月前、中学時代の同窓会の案内状が届いた。前回の開催は20歳の時で、今回の同窓会は10年ぶり。仲が良かった友人たちとも長らく疎遠だったが、どこか懐かしい気持ちが芽生え、参加することにした。

会場には、年相応に老けた同級生たちが集まっていた。久々に見る顔も多く、笑顔で近況を語り合う声が響いていた。着実に年を重ねている姿を眺めると、自分も例外ではないのだと感じる。既婚者も増え、未婚の自分は少し焦る場面もあった。担任だった先生も招待されたが、病気のため欠席とのことで少し寂しかった。

一次会が終わり、二次会は近くの居酒屋で行われた。一次会よりもくだけた雰囲気になり、酔いも手伝って会話はさらに盛り上がっていた。その時、不意に新たな参加者が現れた。彼はA君と呼ばれていた。

A君は中学時代からあまり目立たない存在だった。友達も少なく、どこかおどおどした印象のある少年だった。10年前の同窓会にも参加していたが、その際も物静かで、人の輪に溶け込むのは得意ではない様子だった。それでも、久しぶりの再会を喜ぶクラスメイトたちは、口々に彼を歓迎した。

しかし、彼の姿を目にした瞬間、妙な違和感が走った。A君の容貌は、10年前の同窓会から何一つ変わっていなかったのだ。若々しい顔立ち、同じような髪型、そして少し頼りなさげな表情。30歳になった自分たちとはまるで別の時間を生きているようだった。

「A、全然老けないな!」誰かが声を上げた。

その言葉に笑いが広がるが、A君は控えめに微笑むだけだった。飲み物もつまみも手を付けず、話しかけられても頷くばかり。時折、目を伏せてはぼんやりと何かを考え込んでいるようだった。

幹事役のBがA君に声をかけた。「Aって、ほんと人間かよ?」冗談めかした言葉だったが、それを聞いた途端、場の空気が凍りついた。A君が小刻みに震え始めたのだ。

視線は床に固定され、目を見開いたまま唇がわずかに動いている。Bが慌てて謝るも、A君の震えは止まらない。やがてその震えは激しさを増し、椅子がガタガタと音を立てるほどになった。周囲の誰もが異常を察し、静まり返った。

突如、A君は手の甲を互いに叩きつけ始めた。一定のリズムで繰り返されるその動作に、全員が背筋を凍らせた。「おい、大丈夫か?」と声をかけたが、A君の耳には届いていないようだった。次の瞬間、A君は耳をつんざくような叫び声を上げ、椅子を倒して店の外へ駆け出していった。

その時の彼の顔が忘れられない。人間のものとは思えない歪んだ表情。まるで怪物がそこにいたようだった。

その後の二次会は中止となり、解散した。数日後、BがA君の実家に連絡を取ったという。奇妙な出来事の責任を感じていたBは、A君の家族にその夜のことを伝え、彼の様子を尋ねた。しかし、返ってきた言葉は予想を超えるものだった。

「あの子が同窓会に来たんですか?」

驚愕した様子で問い返す家族。話を聞けば、A君は10年前の同窓会を最後に失踪しており、それ以来行方不明だという。同窓会の案内状は届いていたが、家族は返信し忘れていたらしい。では、あの夜居酒屋に現れたA君は一体――?

見えない時の淵
その後、A君の消息について具体的な情報は得られなかった。家族の話によれば、失踪する直前、A君は何かに怯えるような様子を見せていたという。中学時代に誰にも話せなかった秘密があったのだろうか。あるいは、彼が失踪中に目にしたものが彼を変えてしまったのか。

A君の失踪の理由も、同窓会に現れた「彼」の正体も、今も分からない。ただひとつ言えるのは、あの夜のA君の表情が、記憶の中で今も鮮明に焼き付いているということだ。幽霊だったのか、それとも……考えるたびに、胸に鈍い痛みが走る。

A君がどこかで生きていることを願いながら、俺たちはあの夜の出来事を口にすることを避けている。再び彼に会う日が来るとして、その時彼は何を語るのだろうか。

[出典:771 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2017/07/14(金) 23:13:02.13 ID:nFdYmJkm0.net]

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