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短編 山にまつわる怖い話

獣道へ向かうベンツ【ゆっくり朗読】3800

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友達と山にドライブに行ったとき、深夜でしかも霧がかってたので、後続車もないしチンタラ走ってたんだ。

俺たちは頂上付近の展望台を目指していた。

すると、かなりのスピードで俺たちに接近してくる後続車。

後ろにいた友人が「ベンツや!スモーク張ってるしやばそう!!」と。

運転手だった俺は、停車するにもこの勢いじゃ追突される……!と思い、アクセルを踏んだ。

まだまだベッタリとケツに張り付いてくるベンツ。

霧などお構い無しに勘だけを頼りに車を走らせていると、ようやく展望台が見えてきた。
俺は展望台の駐車スペースにスっと車を入れた。

「これで前に行かせられる……」とホッとしていられたのもつかの間。

ベンツも同じように停車した。

しかの出入り口付近に停車しているので、逃げる事も出来ない。

俺たちは恐怖のあまり車内で黙るほかなかった……。

そして、ベンツからいかにもな風貌の男が二人降りてきて、俺たちに近づいてきた。

コンコン。と窓を叩く細身でメガネの男。パリっとしたスーツを着て、清潔感もあるが、やはり独特のオーラは消せていない。

俺は窓を10センチほど開けた。

「こんな時間に何をしとるんや?」と聞かれ、

「ここで夜景を見ようと思って……」

と俺が答えると、もう一人の体格の良いヤクザ風の男が「男ばっかりで夜景かいな?寂しいのぅ!」と笑った。

「煽ってすまんかったな。兄ちゃんらもええ車乗っとるからこっちのモンか思ってのぅ。勘違いや」

俺たちは一気に安心した。どうやらこれ以上怖い思いはしなくてすみそうだな……と思った。

そのあと、自販機でジュースを奢ってもらい、タバコを吸いながらしばらく談笑した。

100%ヤクザだとは思うが、普通のオジサンみたいな感じもした。

「ほな、ワシら用事があるから行くわ」と細身の男。

俺たちは礼を行って二人が車に乗り込むのを見送った。

細身の男が前、体格のいい方が後部のドアを開けてそれぞれ車に乗り込んだ。

男たちのベンツはエンジンをかけたまま暫く動かなかったので、その間俺たちも固まっていた。

三分後くらいにブオーン!と勢い良く登りの方へ消えていった。

展望台より上にいくとほとんど整備されていない獣道があるだけなのにな?

と少し疑問に思ったが、みんな安心して「マジ怖かったー!」「洒落ならんわ!」とか安堵の表情で言っていた。

でもその中で、友人の西村だけ、まだ暗い表情をしている。

「どうしたん?大丈夫か?」と西村に尋ねた。

西村が「俺、見てもうた気がする……」

「ゴツイ方が後ろのドア開けた時に、手ぬぐいみたいなんで、口塞がれてる人が見えた……」

俺たちは考えたくはなかったが、「山で893イコール埋める」という嫌なセオリーを頭に浮かべた。

「はよ言えや!!」と他の友人が恐怖に満ちた表情で叫んだ。

俺たちは車に乗り込んで一目散に下山した。

(了)

 

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