携帯で友達と話してたんだけど、急にプチッと切れちゃったんだよね
421: 本当にあった怖い名無し:2010/07/20(火) 23:17:23 ID:VD1KLsH80
あれ?電波届いてないのかなーと思ったけど、普通に外だったしそりゃあないだろと、マーク見ても三本立ってるし。
どっか変なとこでも触ったか?とかあちこち見てみた。
結局なんもなかったから、首をかしげてリダイアルしようと思ったら、逆に着信があった。
番号は友達のだったから、相手からかけなおしてくれたんだな、と。
「おーい、もしもし? なんか切れちゃったみたいなんだけd…」
『お電話代わりました。担当の亀田と申します』
マジでえっ?てなった。
で、その後すぐに、ああふざけてんのかな、と思った。
声もそうだったし。
何より番号同じだったから、間違い電話はねーだろと。
「…ああMさんですか。この前はどうもお世話になりました。川越商事の川田です」
ふざけて言ってみたりした。
川田って誰だよとか思いながら。
当然だけど名前も会社名も全部嘘。
『……川田さんで宜しいのですね。私は亀田です』
ここで喋り方が変わった。
声は変わって無いんだけど、機械っぽくなる。
何だコイツ、変なの。
俺はちょっとした変化に首を傾げながら自分の用件を伝えた。
「今どこにいるんだよ。俺もう待ち合わせ場所きてんだけど?」
『何の待ち合わせをしているのですか』
「映画だろ。お前が誘ったんじゃねーかwww」
『…川田さん。私は今日行けそうにありません』
低い声だった。けどそれは紛れもなく、友達の声だった。
「あ、そうなの?……とりあえず演技みたいなのもういいだろ」
呼吸音が聞こえた。
自分を冷静にしようとして、深呼吸してるみたいな。
スススウウウハアアアア。
コイツ深呼吸長いなーと思うのと同時に、だんだん怖くなってくる
422: 本当にあった怖い名無し:2010/07/20(火) 23:19:02 ID:VD1KLsH80
『行けません、行けません、行けません、行けません、行けません、行けません』
俺が本気で怖くなったのはこの辺り。
狂気的なものを感じた。
何かがおかしい。
「お前なんかおかしいぞ。受付かと思ったら次は異常者か?」
そう言うと友達の呟きがぴたりと止まった。また深呼吸をしてる。
「まあ、行けないのは分かったから……。また今度一緒に行こう」
じゃあな、と締めて電話をきろうと思ったら『エールキキイイイイイイイイタイ』と意味の分かんない音がして相手から切れた。
しかもその時の通話の切れ方がなんか普通じゃなくて、普通はプッで感じで切れるけどこの時はブチッ!って切れ方だった。
おいマジかよ。って現実に感じられないほど怖かった。
特に最後の音が。
あれって多分、動物の鳴き声みたいなものじゃないかと思うんだよね。
少なくとも友達の声じゃなかった。
映画見る気にもならなくて速攻家に帰った。
怖くて気付いてなかったんだけど、二件メール受信してた。
一通目は友達からで、
『ごめん映画いけなくなった。何か通話切れたね。誰かと通話中?』
って内容で、二通目は見た事のないアドレスで、
『いっしょにいきましょうね』
とだけ書かれてた。
一通目は最初の通話が急に切れて、少し後に送られてきたもので、二通目は二度目の通話が終わった直後に送られてきたメールだった。
その矛盾に気が付いた時、俺は全身に鳥肌が立った。
だれだ、おまえは?
(了)