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【閲覧注意】労災調査員の奇妙な体験 r+7297

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俺は、調査関係の仕事をしている。

四年前のことだ。ある会社で起きた労災事故の調査を引き受けることになった。その内容は、ローラー車──道路の地ならしを行う巨大な車両──に女性従業員が轢かれて亡くなったというものだった。保険支給に伴い、事故の概要調査や遺族の意向を確認するのが俺の役目だった。

遺族の話を聞くため、女性の実家へ向かった。場所は関西の漁村。潮の香りが漂うのどかな土地で、古い家々が並び、どこか懐かしい雰囲気があった。ただ、道は入り組んでいて一方通行も多い。ナビが役に立たなくなったので、車を空き地に停めて徒歩で向かうことにした。

だが、目的地が見つからない。15分ほどさまよい、戻ってきた俺は、近くの女性に道を尋ねた。洗面器を手に歩いていた彼女に声をかけたが、振り向いた瞬間、息が止まりそうになった。

顔は異様なほど歪んでいて、唇はベロリとめくれ、歯が抜け落ち、右目は血走ってギョロリと開いている一方、左目はほとんど閉じていた。前髪は乱れていて、頬は不自然にこけ、顎は突き出ている。まるで映画『グーニーズ』のスロースを思わせる異形だった。心臓が締め付けられる思いを抑えながら、「ご存じですか?」と聞くと、彼女は苦しそうに一言だけ場所を教えてくれた。

教えてもらった家に到着すると、遺族の母親が静かに出迎えてくれた。娘を亡くした悲しみを胸に抱えながらも、金銭に執着することはなく、ただ「可哀想に、嫁にも行かず死んでしまった」と繰り返していた。お焼香をさせてもらい、遺影を見た俺は、改めて娘の美しい顔立ちに目を奪われた。会社の話によると、彼女は皆に可愛がられていたという。特に事故を起こした従業員にとっては、まるで実の娘のような存在だったらしい。その従業員は事故の後、深い罪悪感から自殺未遂を起こし、今も放心状態で過ごしているという。

遺族の言葉を受け止めた俺は、報告書に彼女の思いを反映させ、少しでも保険担当者の心に届くように願いながら帰路についた。車へ向かう途中、さっきの女性がいるかもしれないと思うと全身が総毛立った。しかし、彼女と再び会うことはなく、安堵しながら車に乗り込んだ。

だが、車の白いボディには、薄汚れた茶色の手形がいくつもついていた。俺はウエットシートで手形を拭き取ったが、気味の悪さが胸に残った。帰社後、事故現場の写真が添付された正式な報告書を目にする機会があった。ページをめくると、被害者の手元が写った写真に目が留まった。そこには、血で汚れたコンクリートブロックに、車の手形と同じような茶色い跡が残っていた。

さらに写真を見ていくと、事故直後の彼女の姿が映し出されていた。それは、昼間に道を尋ねた女性そのものだった。歪んだ顔、めくれた唇、突き出た顎――全てが一致していた。偶然だと思い込もうとしたが、冷や汗が止まらなかった。そして最後には、息が詰まり意識を失った。

俺が目撃したものが何だったのか、今でも分からない。偶然か、記憶の錯覚か、それとも……。あの日の出来事は、未だに胸に重くのしかかっている。

[出典:506 本当にあった怖い名無し 2012/06/07(木) 09:58:14.36 ID:6R/OCGUJ0]

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