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伝説の家系と戸籍の秘密 r+3256

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これは、ある古い家系にまつわる話だ。

語り手の母方の家系は、地方の旧家で、いくつもの伝説が伝わる由緒正しい家だった。だが、その伝説の一つが異様なまでに生々しい。

その家系には二つの本家があり、それぞれ「ホンケ」と「ホンヤ」と呼び分けられていた。いずれも、菅原道真の末裔だと言われているが、互いに特段の親密なつながりがあるわけではない。それぞれの家には独自の伝説がいくつか存在する。ある家では「三穂太郎(さんぶたろう)」という巨人のような人物の話が語り継がれ、また別の家では敷地内に白蛇が現れると幸福が訪れると言われていた。語り手の家にも、当然ながら伝説があった。

しかし、その伝説は他の家のものと違い、陰鬱な運命を伴うものだった。「代替わりの年に、その家の長男または長女が亡くなる」というものだ。当主が亡くなり、新しい当主が立つ年に、その家の新しい世代の命が奪われる。縁起でもない伝説だが、語り手が初めてそれを聞いたときは、むしろ興味をそそられた。家系に伝説があることが、どこか特別に思えたのだ。

だが、年月が経ち、親戚が集まった席で、その伝説が実際に家族の行動に影響を与えていることを知り、背筋が凍る思いをした。母方の親戚の女性たちが戸籍の話を小声で交わしていたのだ。「長男や長女が生まれたとき、どうすればいいのか」と。

詳しく聞くと、この家系では、長男や長女が生まれると、その子供を実の親ではなく祖父母の子供として戸籍に登録していたというのだ。理由は単純で、「代替わりの年に亡くなる」という凶事を避けるためだった。実際には親であるはずの夫婦が、戸籍上では兄と姉という扱いになる。

現代では考えられないこの風習に、語り手は戦慄した。伝説がもたらす不吉な出来事を避けるために、家族の関係すら書き換える。それを普通に行っていた時代が、たかだか60年ほど前まで続いていたというのだ。

さらに、その伝説が現実にどこまで影響していたかを示す話もあった。本家の長女が赤ん坊の頃に亡くなっているというのだ。死因は詳しく語られることはなく、不謹慎に思えて聞けなかったが、語り手はどうしてもその事実と伝説を重ねずにはいられなかった。

何よりも恐ろしいのは、この家系の人々が、その不吉な伝説を無理やりねじ伏せるために、長男や長女を戸籍上で「他人」にしてしまうという発想に至ったことだった。家族という基本的な単位を、伝説のために切り崩していく。その事実こそが、伝説以上におぞましい。

(了)

[出典:476 :本当にあった怖い名無し:2006/07/21(金) 01:31:06 ID:Xu/cBJRl0]

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