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恐山奇譚 ~ 興味半分で持ち帰った石がとんでもない結果に!【ゆっくり朗読】3300

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ある寺に、無庵という盲目の住職がいた。

これはその無庵住職が、数人の若い住職を連れて恐山に行ったときの話。

知っている人もいると思うが、恐山には所々に死んだ人の冥福を祈るために、それぞれの思いが込められた、たくさんの小石が山のように積まれている。

無庵住職は若い住職たちに向けて言った。

「ここに積まれている小石は、絶対に持って帰ったりしてはいけない」

それを聞いたある一人の若い霧中住職は、

『なんだ?どってことない普通の石じゃないか。これが何だっていうんだ?』

と思い、小石をひとつ掴み取って、ふところに入れてしまった。

帰りの車の中でのこと。

しばらく走っていると、無庵住職が突然ものすごい顔つきになり、

「何てことだ!一体なぜ……」と叫んだ。

驚いた住職たちが「どうしたんですか?」と聞くと、無庵住職は、

「女がものすごい形相で、この車を追ってきている……」

「えっ、どういうことですか?」

みんなで後ろを振り返ってみたが、なにもいない。

しかし、無庵住職の顔はどんどん険しくなっていく。

「この中の誰かを追ってきている……お前たち、一体何をしたんだ?」

若い霧中住職ははっと気がついて、自分のふところから石を取り出した。

「まさかこれが……?」

そして何気なくその石を裏返してみた。

するとそこには、lはっきりと女性の名前が書かれていたのだ。

「ひぃぃぃっ!」

完全に取り乱した霧中住職は、思わずその石を窓の外に投げ捨ててしまった。

「ああっ追いつかれる!」

無庵住職が叫んだ瞬間、石はアスファルトにたたきつけられ、真っ二つに割れてしまった。

『助かった……』

そう思って霧中住職は胸をなでおろした。

しかし次の瞬間、無庵住職が青ざめながら言った。

「女が血だらけになりながら、必死に車を追って来た……」

「そっ、そんな!」

あせった霧中住職は、すべてを無庵住職に話した。

すると、

「ちゃんと元の場所に返しに行けば、何とかなったものを……。なぜこうなる前に話してくれなかったんだ。 残念だが、石を割ってしまった今はもう……」

その後、霧中住職は高熱にうなされ、あっけなく亡くなってしまった。

(了)

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