これは、南米旅行をしていた頃の話だ。
目的地はチリのとある島、世界遺産の遺跡があることで有名な場所だった。だが、この旅は想像を絶する出来事で台無しになった。
ある晩、観光地の商店で妙に派手な格好をしたアジア人の男が、現地の少女にしつこく詰め寄っている場面に遭遇した。
少女は明らかに怯えて涙目になっているが、男は酔っ払った日本語で怒鳴り続けている。しかも片手をズボンの中でモゾモゾ……見たくもない光景に思わず目をそらしたが、怒りが湧いた。
「日本人だとしたら恥ずかしすぎる」と思いながらも、行動に移せなかった自分が少し情けない。
幸い、派手なギャル風の女性が店に入ってきて、男を外に連れ出した。少女も逃げたので、ひとまず安心した。しかし、嫌な予感は翌日も続く。
その男とギャル風の女性に観光地で再び出くわしてしまった。男は手に酒缶を持ち、大声で笑っている。目を合わせないように通り過ぎようとしたその時、いきなり蹴りを入れてきた。驚いて睨み返すと、男は逆ギレし、「殺すぞ」と暴言を吐いてきた。
冷静になろうと、皮肉を交えて「迷惑な人だと思って見てしまいました」と返したところ、男は酒缶で殴りかかってきた。あっという間に周りに野次馬が集まり、ギャル風の女性が「やめなよ！」と説得してくれたが、男はますます暴れた。最終的に警察が駆けつけ、男は連行された。
後日、その男が逮捕されたニュースをネットで見つけた。
その理由は、観光地の遺跡に自分とギャルの名前を彫ったことだったという。しかも修復不可能なほど深く。信じられなかった。あの遺跡は、かつて荒れ果てていたものを日本の商社が現地と協力して修復した場所だった。その背景を知っていたからこそ、怒りは増すばかりだった。
今回の旅は、それまでの海外旅行の楽しさを全て奪い去るものだった。一人の愚か者が築いたものを壊すことの虚しさを、これほどまでに痛感したことはない。
[出典；155 ：名無しさん＠おーぷん ：2014/10/06(月)20:23:01 ID:vRD8F0C2q]
