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注連縄で囲われた廃神社 r+4277

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俺の嫁が学生時代に体験した話だ。

嫁が所属していたオカルト研究サークルの友人、郁子が、とある心霊スポットの噂を持ち込んできた。東北地方の山奥に、注連縄(しめなわ)で囲われた廃神社があり、そこを一人でまたぐと二度と帰ってこられなくなるというものだった。

噂を検証しようと、サークルのメンバーである男子学生の貫太が単独でその場所へ向かった。しかし、その後彼とは一切の連絡が取れなくなってしまう。事態を心配したメンバー全員が、彼の様子を確かめに行くことにした。

この探索の中で、嫁と郁子が目撃し、体験した出来事は次の通りだ。


嫁には霊感が多少あるものの、御祓いや対策には疎いため、彼女は霊感が強い先輩に同行を頼んだ。そして、郁子が言っていた場所へと向かったところ、噂通りの注連縄に囲まれた廃れた神社が存在していた。貫太がここに足を踏み入れたことは明らかだったが、その神社を見た瞬間、先輩は険しい顔で「ここには入りたくない」と拒否。

しかし、彼を放置するわけにはいかない。仲間たちは注連縄を超えて進もうとしたが、先輩が制止し、警告を与えた。

「この注連縄の中には、極めて強い力が満ちている。一度引き込まれると、自力で抜け出すのは非常に困難だ。
入るなら、彼を連れ出して注連縄を越えるまで、決して会話を途切れさせてはいけない。大人数で入ると、誰かが会話から外れる危険がある。二人で行くのが最善だろう。」

最年長の女性である嫁と郁子がペアになり、話し続ける役目を担うことになった。二人は心霊スポットの緊張感の中、趣味やスイーツ、ファッションなどあらゆる話題を途切れることなく話しながら進んでいった。だが、その義務感と場所の異様さに精神的に追い詰められていったという。

鳥居をくぐり、拝殿らしき場所に辿り着いた嫁が扉を開くと、薄暗闇の中、貫太が背中を向けて座り込んでいた。その周囲には無数の古びた日本人形がコの字状に並び、貫太は小声で何かを呟いていた。

嫁と郁子が声をかけると、貫太はぼんやりと立ち上がり、ゆっくりと外へ向かい始めた。しかし、二人の話題は尽きかけ、焦り始めた郁子は彼の腕を掴んで走り出し、嫁も後を追った。息切れしつつも会話を続けながら進むうち、ようやく注連縄と仲間たちの姿が見えてきた。

郁子が先に縄を超えた瞬間、緊張から解放されたのか、大きくため息をついた。だがその一瞬、会話が途切れた。嫁はまだ注連縄を超えておらず、振り向くと耳元に複数人の怒声が一斉に轟くような大音量が響き渡った。その場にいた誰にも聞こえないその声は、嫁を激しい恐怖と頭痛で動けなくさせた。

しゃがみ込む寸前、先輩が手を伸ばし、嫁を強引に縄の外へ引っ張り出した。その瞬間、声は嘘のように消えた。嫁が周囲を見回すと、自分たち以外に誰の姿も見えなかった。


その後、貫太は車の中で徐々に意識を取り戻し、何が起きたのかを語った。しかし彼が覚えていたのは、注連縄を越えた瞬間に襲った耳鳴りと頭痛、そして気づいたら仲間たちに囲まれていたということだけだった。

一方、霊感のある嫁には、縄の中で聞こえた声がはっきりと理解できていたらしい。声は「帰さん」「新参だ」「ここにいろ」などと囁いていたという。

その後、貫太は先輩の勧めで御祓いを受け、夏休み中を寺で過ごしたそうだ。

(了)

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