十九年前のこと、クラスの女の子が家出して大騒ぎになったことがある。
826 :本当にあった怖い名無し:2013/09/29(日) 19:45:45.79 ID:8IMslosU0
加代子は良い子で、俺も仲良かったから心配で、学校が終わった後に友達と探しまわった。
その子の知り合いをあたってたら、マアありがちだけど、近所のおさななじみの先輩も一緒にいなくなってて、その近所ではかけおち家出?みたいな感じに思われてて、あまり大事には思われてなかった。
でも、加代子は家出するような子じゃないし、なんかあったら絶対誰かに連絡する子で、一緒にいなくなってた先輩についても、その先輩の友人誰もが加代子に家出させるような奴じゃないって話しで、加代子と先輩の知り合いを中心に聞き込んだり、足取り辿ったんだ。
行方不明になって五日くらいして、加代子の家に『追いかけられてる』ってメモが出たらしくて、警察も消防団も急に慌ただしくなって、俺たちも泣きそうだったんだが、加代子のお母さんが、メモについて『おかしいおかしい』って。
警察にいうと調べてくれなくなるかもしれないからって、こっそり俺たちに教えてくれた。
メモの字は確かにその加代子のもので、俺たちも見せてもらったんだが、加代子が書いたに間違い無かった。
お母さんが言うには、このメモが出たのは台所のテーブルの上で、加代子がいなくなってから、お母さんがずっと電話番して座って待ってたテーブル。
何日もそのメモに気づかないはずがないし、お母さんがトイレとかその場で仮眠してたときに、加代子が戻ってきてこのメモを置いたに違いない、絶対近くに生きている、加代子の自作自演かもしれない、家の近くか、もしかして家の中に隠れているかもって言い出した。
俺たちは、屋根裏や押し入れ床下まで探した。
でもなにもなかった。
加代子のメモに書いてた逃げ先?にも行ってみたが、なにもなし。
で、ここからが時空の歪みっぽいんだけど
休み明けに、学校でふつうに授業うけてたとき、先生が
「黒板のここノートに書いてー」って振り向いたとき、黒板の先生が書いた字に、赤いチョークで
『もういちど警察にいきます。だめならメモします。加代子』
みたいな感じのことが、でーんとでかく重なってたんだ。
先生もポカーン、クラスもぽかーん。
いたずらかって言われたけど、赤い字は先生の書いた白いチョークの下にあって、先生も「加代子の字だな」って、それ以上なにも言わなかった。
こんなことあるんだなって。
霊現象かとかざわついたけど、みんなその子が亡くなったんだと思ってシーンとなった。
だんだん、一緒にいなくなった先輩が犯人じゃないかって噂になってた頃、先輩の友達の家のポストに、その先輩の字で『二人とも無事』みたいなメモが入ってた。
まあそんな感じで、やがては自作自演のいたずらかみたいな雰囲気になったとき、警察が二人を保護したってニュースになった。
その日は会えなかったけど、翌日学校帰りに加代子に会えたらいいなと思って寄ったら、疲れたのか、ずっと寝てるってことで。
でも一緒にいなくなった先輩が加代子の家にいて、お母さんに心配かけたとあやまり通し。
お母さんも疲れてそうだったから、今日は一緒に帰ろうと誘って、途中まで一緒に帰った。
色々聞いたけど、家出じゃないんだけど、何とも言えないみたいな感じで、詳しいことは教えてもらえなかった。
で、俺は自転車押してたんだが、鞄は背中にしょってるんで空だったはずの前カゴに紙切れが入ってて、見たら加代子のメモだった。
『ここと、ここと、ここあたりを点々としています』みたいな場所のメモ。
先輩が「気付かれなかったんだな、ポストに入れておけばいいのに」みたいなこと言ってたんたけど、気づかないわけないんだよな。
中学生だからヘルメットいつも入れてて、学校帰り家に置いてきたんだよ。
ぜったいメモなんか入ってなかったし、もっといえば、加代子の家を出てきたとき、「心配させた」って加代子のおばあちゃんからお菓子もらったんで、カゴに入れようか迷って、鞄に入れたんだ。クッキーっぽかったから。
そのときは紙切れなんて絶対なかった。
ピンクの可愛いやつなんて、目立つし気づかないわけない。
先輩が入れた可能性はあるけど、そんな素振りもなければ、位置的に入れにくいところにいたし、違うと思うんだよな。
ずっと不思議だと思ってる出来事だよ。
加代子も先輩も「家出だよ」って曖昧にはぐらかすばっかりで、詳細は教えてくれなかったよ。
その家出話も、加代子と先輩では話が食い違いすぎて、適当な話だってのはわかった。
家出の間のことはともかく、黒板のメモはありえないくらい不思議でショックで、俺の記憶違いってわけじゃなかったはずだけど、みんななかったことにして、俺も忘れてた。
というか考えないようにしてた。
でも、この間、行方不明の女子高生が神社で発見されたニュース見て、一気に当時のこと思い出したよ。
加代子は「確かにメモを書いて歩いた」って言ってた。
そのメモがありえないときに出てきた?っていうのが、まあありえないんだけど、科学的には、かすかにでもありえることはあるのかな?
837 :本当にあった怖い名無し:2013/09/30(月) 17:24:27.27 ID:aORKMd0f0
この話と似てる。⇒稲荷祭りの夜に
838 :本当にあった怖い名無し:2013/09/30(月) 20:47:10.13 ID:f1ACMlDa0
このスレは異世界的な時空の歪みについてみたいだけど、関係ないような話してすまんな。
壁にボールぶつけ続けると、壁を通り抜ける可能性がかすかでもあるとかいうサイエンス番組みたことがあるんだが、そんな感じなのかなって思ってる。
加代子が行方不明になったのは夜だよ。
夏祭りに参加してたのは目撃されてて、運営組だったから後片付けしてたあたりだから、夜九時から九時半までは確実にいたらしい。
そこから帰ったかなんかで、人によって言うことが違ってて、どこで消えたかはわからんかった。
加代子は家出してた間は、親が仕事であまり帰ってこない先輩の家にいたと言ってたと思う。
だけど、その先輩の親は行方不明の知らせをうけて家に帰って、近所の人と探しに出てた。
家も留守にしてたわけじゃなくて、隣の家のばあちゃんに電話番頼んでたから、加代子と先輩がいればわかるんじゃないかと。
消えた場所でなにかわかるの?
839 :本当にあった怖い名無し:2013/09/30(月) 20:56:08.83 ID:f1ACMlDa0
黒板にでた文字は、一瞬ででたと思う。
俺はノート書いてないからぼーっと黒板みてたし。
一瞬て表現がただしいかわからんけど。
でも、不思議と元からそこにあったような感覚で、あれっ?て違和感がなくて、クラスもギャー!て声はあがらないで、えっ?て声がちらほらしたあと、小さくざわ~ってかんじの反応だったから、ほかの人もそんなかんじでみてたと思う。
同窓会でもそんなその話しないんだよな、不思議と。
それぞれおかしいと思われないようにとか、加代子に気をつかってるのか。
だからちゃんと聞いたことはないけど。
(了)