短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

夢と現実#873

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信じてもらえないかもだけど実際にあった話。

自分は高校生ぐらいからよく妖怪が出てきたりする変な夢を見る。

あとは予知夢的なものとかもよく見る。

それである日3日連続で人から殺されそうになって、3日連続で殺そうとしてきた相手を返り討ちにして殺す、っていう夢を見た。

特に3日目に見た夢が鮮明過ぎて今でもよく覚えてる。

綺麗な遠浅の青い海で、12歳くらいの赤い水着の女の子が海水浴してる。

その様子を砂浜のほうから父親らしき人が見守ってる。

その父親っぽい人は砂浜でバー ベキューの準備でもしてるみたいで、ほんの少しの間だけ女の子から目を離した。

その隙に紺碧の沖合いのほうから物凄いスピードで何かが女の子に近寄ってくる。

それはあっと言う間に泳いでいた女の子に近付いて、その子の首を切り裂いた。

何で切り裂かれたのかは自分が夢で見ていた角度からは見えなかった。

首を斬られた女の子は当然死んでしまったみたいで、力無く波間に浮かんで血があたりの海を赤く染め始めた。

その時浜辺の男性がやっと海での異変に気付いたみたいで、血相を変えて海に飛び込んで女の子のところに近寄ってった。

腕に抱いた女の子は痛々しい傷跡をさらして当然事切れてた。悲しそうにうなだれる男性。

ここで夢の場面が変わって

沈痛な様子の喪服の一団の中に何故か自分は居た。

そしてこれはあの女の子の葬式なんだってことを知っていた。

喪服の一団の中には、あの時浜辺に居た男性も居たし、女の子の遺影を持った祖父母らしき人も居た。

この時点で、正確には葬儀自体はもう終わってたみたいだった。

でもこの喪服の一団は何かの目的をもって長い葬列をつくって、どこか山の中の道みたいなところを登っていく。

自分はその後をついて行った。

葬列について行くとやがて海に面した岸壁に出た。

この海は女の子が殺された海だってのが何故か直感的に分かった。

岸壁の右側に波が浸食してできたみたいな回廊のような薄暗い洞窟があって、葬列はその洞窟の中 に入っていく。

自分も当然のようについていって中に入った。

その洞窟の中は無数に石が積まれた小山がたくさんあって、赤い前掛けのお地蔵さんが居て、賽の河原のようになっていた。

喪服の一団が幼くして殺された女の子の無念の為にここにやってきたのが自分には分かった。

おもむろに女の子の遺影を持ったお祖母さんが自分に振り返ってこう言った。

「あの子の無念絶対に晴らして下さいね」

自分はその為に呼ばれたんだってことを夢の中の自分は何故か認識してて、お祖母さんの頼みに強く頷いた。

父親らしき男性も沈痛な眼差しでこっちを見てた。

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また場面が変わって、今度は自分は海に浮かぶ小さな漁船の上に居た。

海女さんらしき女の 人と一緒で、「怪物はこの沖に居るから」

彼女はそう言って自分を沖合いに連れて行こうとしていた。

自分は女の子の遺族に頼まれたとおり、これから怪物退治に行かなくちゃいけないことになっていた。

それで夢の中なのに緊張感で気持ちが高ぶっていた。

そして手には小さなナイフを握りしめていた。

しばらく漁船で進んだ時、沖合いの青い海の中から黒い影が見えた。

それがこちらにどんどん迫ってくる。凄いスピードだった。

自分はナイフを握りしめて迫ってくる影に向かって構えた。

正直こんな小さなナイフが武器じゃ心許なかったのを覚えてる。

そしてそいつが近付いてくるにつれ、それの正体が分かった。

それは上半身が髪の長い人間の女で下半身が蛇のような体、両 腕がハサミの妖怪だった。

海の妖怪ってこいつのことなんだな、って冷静に考えてたのを覚えてる。

そいつはこちらに狙いを定めて鎌首をもたげて迫ってきた。

漁船のへり近くまでやってきた時、自分は胸の前で構えていたナイフをそいつ目がけて振り降ろした。

ナイフが深々とその女の首に刺さったのが見えた。

女は口をパクつかせて海に中に倒れ込。怪物女は呆気なく死んだみたいだった。

これで終わった、と自分は思ってそこで目が覚めた。

夢の中でナイフを構えていた右手は起きたら畳に上に振り降ろされていた。

夢の話はこれで終わりなんだけど、当時平行してうちの姉がカナダの大学に留学してた。

うちの姉が暮らしていたアパートがひどい幽霊アパートで、本当に信じられない話だけど、毎日お経をあげないと電球がパンッと割れ飛ぶような霊障に毎日悩まされてた。

あと姉の通ってる大学も曰くつきの大学で、インディアンの子供を無理矢理親元から拉致してきて、白人化させる教育を施す為に造られた建物をそのまま転用した大学だった。

親元から離されたストレスや慣れない場所に放り込まれたストレスでたくさん子供が死んだらしい。

それで小さな子供の幽霊の目撃談のすこぶる多い大学だった。

もっと怖いのはこの政策に関する法律が1981年まで存在していたことだけど。

そんな場所に住んでる姉がある日、首に腫瘍が出来た。

自分は一瞬怪物女の首を刺した夢のことが頭を過ったけど、まさかねと思ってた。

腫瘍自体は大したことない代物で手術でどうにかなった。

そして折りあって霊能者の会う機会があったから、この時のことを聞いてみた。

そしたら以下のことが分かった。

怪物女は最初自分のほうにとり憑こうとしていたが、3日返り討ちにあって出来なかったこと。

それでカナダに住む姉のほうにとり憑いたこと。病気はその結果。

姉が住んでる幽霊アパートは悪霊の溜まり場になっていて、それも良くなかった。

お前は夢で霊体験をする人だから、今後も夢に注意しろ。

とのことだった。

あと最後に、

『お前は言霊があるから文章は書くな。書くとよくないものを呼び寄せる』

とも言われた。

(了)

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