これは、あるネット掲示板に投稿された話をもとにしたものだ。
投稿者が実際に体験したという、奇妙で不気味な出来事。
ゴールデンウィーク、投稿者は祖母の家を訪れた。そこには従兄弟や親戚が集まり、小学生たちがはしゃぎ回っていた。子どもたちの一人が、「タイムカプセルを埋めよう」と提案したのが、全ての始まりだった。
投稿者が最年長だったため、穴を掘る役目を引き受けた。祖母の庭に掘ろうとしたが、「庭を掘るのはダメ」と祖母にたしなめられ、隣接する空き地との境目に穴を掘ることにした。
「どうせなら深く掘ろう」
その一心でスコップを振るい、地面を掘り下げていくと、硬いものにぶつかった。それは大きな石のようなものだった。興味が湧き、完全に掘り起こそうとしたが、全体を地上に引きずり出すのに丸一日かかった。
土から現れたのは、石でできた古い灯篭のようなものだった。しかし、それは普通の灯篭ではなかった。土台部分には「北・東・南・西」と彫られ、その間には「鬼・呪・鬼・呪」と交互に繰り返される文字が彫刻されていた。
「なんだこれ……?」
家族や近所の人々が集まり始め、皆、不気味な灯篭を囲んだ。だが、近所の年配の男性たちは一様に眉をひそめ、言葉を濁す。「騒ぐな、何でもない」とだけ言い残して立ち去った。
その夜、従兄弟のうち三人が突然の高熱を出した。一人はそのまま回復せず、病院に運び込まれたままだ。事態を重く見た大人たちは、灯篭を寺に持っていこうと決めた。翌日、トラックに灯篭を積もうと動かした際、その下から小さな四角い箱が現れた。
その箱は古びており、赤だったと思われる塗装はほとんど剥がれ、くすんだ色をしていた。四隅には奇妙な装飾が施されており、どこか威圧感を放っていた。
「開けてみよう」
大人たちが何度か試したが、箱は固く閉ざされていた。結局、ハンマーで叩き壊すという荒業に出ることになった。そして――箱が開いた瞬間、そこに詰められていたものを見た全員が絶句した。
中には、和紙や油紙に包まれた、髪の毛、爪、指輪、そして得体の知れないものがぎっしり詰まっていた。それはただの「タイムカプセル」などではなかった。
声を上げて逃げ出す子どもたちを尻目に、近所の年配者たちは無表情のまま、それらの中身を無造作に拾い集め、再び灯篭に詰め込んでトラックに乗せ、黙って去っていった。
それから数日、投稿者の家では奇妙な出来事が続いた。
小学生の弟が突然、「音が変だ!」と叫び出し、テレビ画面を指差しながら泣き喚いた。「鬼が出てくる!テレビの中から!」そう叫ぶと、玄関に向かって全力で走り出したという。その直後、投稿者自身にも異変が起きた。何の前触れもなく、顎に激痛が走ったのだ。殴られたような痛みではなく、顎の内部を誰かが針で刺したような鈍痛だった。
その後も、家全体に不気味な空気が漂い続けた。家の中に「何か」が入り込んだような感覚。頭痛は引かず、視界の隅には時折、黒い影のようなものがちらつく。
あの灯篭は一体何だったのか。何故あそこに埋まっていたのか。そして、近所の大人たちは一体何を知っていたのか――
投稿者は今も恐怖に苛まれているという。
(了)
[出典:245 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/20(金) 14:59:47.24 ID:mfYUrxY20]