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ドボンッと音がして、人が消えた池 rw+1,468

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これは、ある男性が少年時代に体験した奇妙な出来事を語った話だ。

舞台は、彼の家の近くにある大きな池だった。
池の周囲は遊歩道として整備され、池側にはフェンスが設けられている。基本的に立ち入りは禁止されていたが、それでもフェンスを越えて釣りをする者は後を絶たなかった。

その日、彼は特に用事もなく、池のそばでぼんやりと時間を潰していた。
池の中では四人の釣り人が、それぞれ距離を取って竿を垂らしている。互いに声を掛け合う様子もなく、どうやら面識はないようだった。

「こんな池で、たいした魚が釣れるとも思えないのに」

少年はそんなことを考えながら、彼らの背中を眺めていた。

しばらくすると、池に何か大きなものが落ちたような、
「ドボンッ」
という重たい音が響いた。

驚いて顔を上げると、釣り人たちも一斉に周囲を見回している。池の近くにいたのは少年だけだったため、数人の視線が険しく彼に向けられた。

そのとき、彼は気づいた。
釣り人が、一人減っている。

ただ、誰も深くは考えなかった。
「釣れなくて腹を立て、帰り際に石でも投げたのだろう」
そんな程度の納得で、その場は流れてしまった。

しばらくして、再び同じ音がした。
「ドボンッ」

今度は、もう一人いなくなっていた。

残った二人の釣り人の顔色が明らかに変わり、一人は慌てて竿を置き、フェンスを越えて遊歩道へ戻ろうとした。

少年は、最後に残った釣り人から目を離せずにいた。

その男の竿が、突然大きくしなった。
水面の下から、強い引きが伝わってくる。

「やっと釣れたんだ」

そう思った瞬間、竿の反応がふっと消えた。
男が糸を巻き上げると、針先の餌は最初と変わらない形で残っていた。

不思議そうに首をかしげる、その直後だった。

「ドボンッ」

音がした方向を見た時、男の姿はなかった。
そこにあったのは、水辺に置かれた釣り竿だけだった。

まるで、床が突然抜け落ちたように。
人だけが、綺麗に消えていた。

少年は遊歩道へ逃げ戻った釣り人に、見たままを伝えた。
後日、大人たちによる捜索が行われたが、池からは遺体も、衣服も、何ひとつ見つからなかった。

結局それは、「子供の見間違い」「白昼夢」として処理された。
ただし、あの場にいた釣り人だけは、少年の話を信じていたという。

その後、近所の年寄りたちが、酒の席でこんな話をしているのを耳にした。

「昔もな、あの池で人が消えたことがある」
「釣りをしてたら、急にいなくなったって話だ」
「カッパみたいなもんの仕業じゃないか、ってな」

それから十数年、池では何事も起こらなかった。

だが最近、近所の子供が、池で遊んでいた友達が消えたと言い出した。
その子の話を聞いた瞬間、男は背筋が冷えた。

消えた場所。
聞こえた音。
そして――その子が指さした水辺に、一本の古い釣り竿が残っていたという点まで。

それは、少年だった自分が最後に見たものと、まったく同じだった。

池は、何も変わっていない。
変わったのは、人がいなくなったという事実だけだ。

あの日からずっと、
あそこは、何かを「落とし続けている」。

(了)

[出典:32 本当にあった怖い名無し 2012/07/11(水) 02:47:00.76 ID:Isw82vRT0]

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