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石器コレクション r+1307

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これは、あるお盆の日に従兄と墓参りに行ったときの話である。

その従兄は子供のころから独特の趣味を持っていた。学校のグラウンドや山道で石を拾ってきては、それが石器や矢じりではないかと夢中で調べていた。図鑑を手にして、これは旧石器時代のものだとか、縄文時代のものだとか、熱心に語っていた姿をよく覚えている。

それほど大事にしていたコレクションを、ある日突然、すべて手放してしまったと聞いたときは驚いたが、何か現実的な理由があるのだろうと特に深くは考えなかった。受験勉強や他の趣味に目が向いたのだろうと思っていた。

だが、今年の春の墓参りで久しぶりに彼に会ったとき、そのことをふと思い出して尋ねてみた。「あれだけ集めてた石器、どうして捨てちゃったんだ?俺にくれればよかったのに」と軽い気持ちで聞いてみたのだ。

そのとき従兄の顔に、一瞬だけ何とも言えない表情が浮かんだ。冗談めかした軽い話題になると思っていたこちらとしては、その反応に少し戸惑った。だが彼は、しばらく考え込むような素振りを見せた後、こう話し始めた。

「あのとき、実はさ……」

話によると、彼は石器と思われるものを大量に手に入れた機会があったらしい。それは地元の河川敷で見つけたものだという。これまで見つけたものよりも形状が明確で、まるで人間の手によって加工されたような滑らかな曲線を持つ石器だった。その中には矢じりや砥石のようなものもあり、彼は宝物を見つけたような喜びで、それらを丁寧に自宅に持ち帰った。

ところが、それ以降、同じ悪夢を繰り返し見るようになったのだと言う。その夢では、自分が縄文時代のような原始的な集落に迷い込んでいる。土の壁に囲まれた薄暗い空間で、ぼんやりとした赤い炎が揺らめく中、複数の影が周囲を取り囲んでいる。

無言のまま、彼らは矢じりを手にして彼を睨みつけている。次の瞬間、矢じりが頭に突き刺さり、倒れた彼の頭蓋骨を誰かが石器で叩き割る音が響き渡る。最後には、自分の脳みそを貪る感触までが生々しく再現される。夢だとわかっていても、目が覚めたときには冷や汗で全身が濡れており、息も絶え絶えだった。

「それが何度も何度も続くんだよ。まるでビデオみたいに、寸分の狂いもなく同じ夢を見せられるんだ」

怖くなった彼は、石器をすべて処分することに決めたらしい。それもただ捨てるのではなく、遠くの川に投げ捨てたり、地中に埋めたりと、徹底的に自分から離した。それ以来、悪夢はぱったりと止んだのだという。

その話を聞いたとき、最初は半信半疑だった。「怨念だとか呪いだとか、そんなものあるわけないだろう」と笑い飛ばした。だが、彼は真顔で、「じゃあ、同じ夢を何度も見る理由が説明できるか?」と詰め寄ってきた。墓前で真剣にそんな話をしている自分たちの姿が、なんとも滑稽に思えて仕方がなかった。

だが、それから数日後、何気なくネットを見ていたときに、とある古い書籍に関する話題を見つけた。それは「闇の検証」というシリーズの一冊に載っていたというもので、霊能者が縄文時代の集落跡を霊視し、「当時は人肉食が行われていた痕跡が見える」と語ったという記述があったらしい。その内容は従兄が見た夢の情景と妙に一致していた。

何が真実なのか、未だによくわからない。だが、ふと頭に浮かぶのは、あの日彼が語った一言だ。

「怖かったんだよ。あの石器たちが何を見てきたのか、知りたくもなかった」

(了)

[出典:716 :あなたのうしろに名無しさんが……:03/09/27 18:16]

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