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短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚 n+2025

アルバムから消えた女 nw+

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大学二年の春、駅のホームで電車を待っていると、見知らぬ女性に声をかけられた。

「久しぶり。覚えてる?」

名前を聞くと、高校の同級生だという。確かに聞き覚えはあった。同じクラスだったらしい。だが顔が思い出せない。しかも妙に整った顔立ちで、あの教室にこんな目立つ存在がいた記憶がない。

話しているうちに、担任の名前や文化祭の出し物など、細かい記憶が一致した。違和感は残るが、辻褄は合う。彼女は「グループから探して」と言い、LINEの話をして去っていった。

帰宅後、卒業アルバムを開いた。クラス写真の三列目、確かにその名前はある。だが、そこに写っている顔は、今日会った彼女とは微妙に違う。似ているが、輪郭が曖昧だ。何度見ても印象が定まらない。目を離すと、どんな顔だったか思い出せなくなる。

数日後、駅前で再会した。彼女は「病院の帰り」だと言った。カフェに入り、LINEの件を尋ねると、「スマホを失くしてアカウントを変えた」と言う。その場で新しいアカウントを交換した。

席を立ち、トイレで何気なく高校のクラスグループを開いた。彼女のアカウントは、そこに残っている。緑の点がついている。二十四時間以内に更新した印だ。失くしたはずのアカウントが、生きている。

既読はつかないが、アイコンは変わっていた。今日の服装と同じ写真だ。

嫌な汗が出た。席に戻ると、彼女は笑っていた。こちらの画面を覗き込むでもなく、ただ静かに。

その日から、彼女からのメッセージは途切れなかった。思い出話、次の約束、寝落ち通話の誘い。断っても、会話は続く。返信をしなくても、「どうしたの?」と送られてくる。

ある夜、自室の窓から外を見ると、電柱の脇に人影があった。塀にもたれ、スマホを操作している。視線が合った気がして、カーテンを閉めた。

すぐにLINEが鳴った。

「見つけた」

背筋が凍った。恐る恐るもう一度カーテンの隙間から覗くと、そこに立っていたのは彼女だった。街灯の下で、こちらを見上げている。口元だけが、はっきり笑っていた。

裏口から外へ出て、友人の家に逃げ込んだ。その夜は戻らなかった。

数日後、祖母から電話があった。

「あなたの彼女さん、挨拶に来たわよ」

彼女は自分を名乗り、小学校の頃の担任の名前、祖父の趣味、庭に植えた柿の木のことまで話したという。祖母は疑いもせず、家に上げた。写真まで一緒に撮ったらしい。

送られてきた写真には、祖母と並んで笑う女性が写っていた。

だが、それは駅で会った彼女ではなかった。

別人だ。

それなのに、祖母は「同じ人よ」と言い張る。

限界だった。警察に相談した。事情を説明し、祖母の家の写真も見せた。

数日後、連絡が来た。

「確認できる人物はいません。通報履歴もありません」

自宅周辺の防犯カメラにも、夜中に立っていた女性の姿は映っていないという。屋根に上った形跡もなかった。

クラスのグループをもう一度確認した。例の名前は、そこにある。だが、メンバー一覧をスクロールしても、その名前は表示されない。検索しても出てこない。それでも、トーク履歴には確かに発言が残っている。

アイコンは灰色になっていた。

卒業アルバムを開いた。三列目を見た瞬間、息が止まった。

そこにあったはずの名前が、消えている。

写真の中、三列目の端に、わずかな隙間がある。まるで最初から一人分、空いていたかのように。

だが、クラスの人数は合っている。

最近、知らない番号から通知が来ることがある。本文は空白だ。送信者名も表示されない。

それでも既読がつく。

そして、画面の上部に、あの名前が一瞬だけ浮かぶ。

私はもう、彼女が誰だったのか確かめない。

確かめた瞬間、思い出してしまう気がするからだ。

[出典:992 :本当にあった怖い名無し:2024/10/17(木) 03:40:04.70 ID:DJiO/Lc60.net]

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