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綻びの手のひら n+
2025/10/22 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
「ちょっと、君の手を貸してくれないかな?」 運転席から差し出されたその手は、不思議と温かかった。初対面なのに、触れた瞬間、指先から腕にかけて、何かが走ったような感覚があった。ビリビリとでもなく、ゾクゾ ...
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顔を持つ蛇 r+1,671
2025/10/22 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
知り合いの話を思い出すと、いつも胸の奥がざわめく。 彼は漢方薬の買い付けのために、中国の奥地まで入り込んでいたことがあるという。年齢も顔も人柄も、ごく普通の男に見えるのに、ぽつりと語られるその記憶は、 ...
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壷の中の水底 n+
2025/10/21 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
今でも、あの壷の重さを思い出すと、腕の奥にひやりとした感触がよみがえる。 ずっと昔、私が中学生だった頃、夏の終わりに起きた出来事だ。 私の実家は郊外の古い一軒家で、建て増しと補修を繰り返してきたせいで ...
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【泣ける!!感動名作心霊物語】ショートケーキの約束 #7,822-0120
2025/10/21 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, 定番・名作怖い話
★人気ベスト300俺の妹は、俺が十七の時に死んだ。 今からもう八年も前のことになる。 まだ六歳だった。末っ子で、上も下も男ばっかりの兄弟の中に生まれた唯一の女の子。俺も兄貴も弟も、全員が可愛がった。ちっちゃくて病弱で、 ...
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中に入っているもの r+2,158-0118
2025/10/21 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
大学三年の夏、あの夜のことは今もはっきり思い出せる。 当時、駅前の飲食店でアルバイトをしていて、閉店作業が終わると決まって終電はなかった。寮までは自転車で十分ほど。深夜の道を走るのは疲れているはずなの ...
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西葛西と南砂町のあいだ rw+3,761-0120
2025/10/21 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
釣りだと思われても構わない。 ただ、あの時に見たものを、このまま胸の奥に溜め込んでおくのが耐えられなくなった。それだけだ。 その日も、いつもと同じ時間に東西線に乗っていた。 夕方五時前。仕事が終わり、 ...
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つかまえた赤 nc+
2025/10/20 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
先週の金曜、夕方のことだった。 職場を出て、コンビニの駐車場で煙草に火を点けたそのとき、ポケットの中で携帯が震えた。警察署からの電話。一瞬、心臓が跳ねた。事故?違反?それとも誰か……いや、俺には思い当 ...
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公衆電話の呼び声 r+2,241
2025/10/20 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あれは、夏の終わりの湿気がまとわりつくような夜のことだった。 まだ昼の熱気がアスファルトに残っていて、じんわりと足の裏から体に這い上がってくるような、息苦しい空気だったのを覚えている。 その頃、住宅街 ...
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五度目の彼女 n+
2025/10/19 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
今でも、あの盆の夕暮れの匂いを思い出すと胸の奥がざらつく。 線香の煙がゆらゆらと部屋の天井を撫でていた。俺とAは黙ったまま、黒い位牌の前に座っていた。その家は以前と何も変わらないはずなのに、四人で過ご ...
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黒いキャリーバッグ r+2,740
2025/10/19 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
前に体験したことを話すよ。 今となっては思い返すだけで胃の底が冷たくなるんだけど、それでもどこかで言葉にしておかないと、ずっと引きずり続ける気がするんだ。 当時、俺は不動産の営業をやっていて、売却希望 ...
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父と河童 n+
2025/10/18 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
今になっても、あの夜の川面に浮かんだ光景を思い出すと、喉の奥がじりじり焼けるように渇いてくる。 父が酒に酔って口にした「河童」の話を、子供の頃の私は夢物語だと笑い飛ばしていた。だが、笑った舌の裏には、 ...
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忘却のエレベーター r+5,761
2025/10/18 -中編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
先日、かつて出会った「元少年」と再会した。 その顔を見た途端、あの出来事が堰を切ったように甦り、私はどうしても書き留めておかずにはいられなくなった。 五年ほど前のゴールデンウィーク、私の現実は音を立て ...
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鎧の音が来る rw+4,467-0114
2025/10/18 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
これは私自身、いまだに現実だったと断言できない出来事だ。 夢だったと言われれば否定する材料もない。だが、あの音だけは、今も身体の奥に残っている。だから書き残す。 物心ついた頃から、私の家は落ち着く場所 ...
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発見 rcw+2,711-0114
2025/10/18 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
突然だが、俺の話をさせてほしい。 小学校二年生のある日、母に激しく叱られた。理由は思い出せない。ただ耳に残っているのは「お前なんかうちの子じゃない」という言葉だ。叫び声のように投げつけられ、胸の奥が冷 ...
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一度、受け入れられた nw+223-0114
2025/10/17 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
今でも、あのとき見た深海の青を思い出すと、胸の奥が静かにざわつく。 それは恐怖ではない。だが、安らぎでもない。 もっと厄介な何かだ。 数年前の夏、私は趣味のスキンダイビングで沖に出ていた。酸素ボンベは ...
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混ざる声 ncw+379-0114
2025/10/17 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
学生時代に一度だけ、口外すまいと固く決めた出来事がある。 だが年月を経ても胸の底に沈殿したまま、夜になると耳鳴りに紛れて浮かび上がってくる。黙っていれば腐るだけだと、最近になって思うようになった。だか ...
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定刻通りに来ない駅 rw+2,732-0109
2025/10/17 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
京急大師線に乗っていた日のことだ。 あれが現実だったのか、それとも眠気に引きずられて見た夢だったのか、今でも自分では判断がつかない。判断できないまま、あの時間だけが記憶の底に沈まず残っている。 午前中 ...
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魚屋の裏口 r+2,393
2025/10/17 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
平成の始め頃、俺はまだ小学一年生で、街の隅っこみたいなローカルな場所に住んでいた。 親父はスーパーの鮮魚店で働いていた。個人経営というには規模が大きくて、八百屋や肉屋なんかと一緒に、昔ながらの威勢のい ...
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失われた海辺の町 r+2,380
2025/10/17 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
俺には、どうしても腑に落ちない記憶がある。 幼い頃の断片で、消そうとしても消えず、むしろ年を重ねるほど鮮明になっていく記憶だ。 小さな海辺の町で生まれ育った、という確信めいた感覚。そこでは、砂浜に松の ...
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休日のオフィス r+2,405
2025/10/17 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
ここに書き込むのは初めてなんだけど、ずっと胸の奥に引っかかっていることがある。 誰にも話せない。けれど吐き出さないと、頭の中で腐っていきそうで、どうにもやりきれない。だからこれは俺の記録だ。読み終わっ ...
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祖父のこと n+
2025/10/16 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
今でもあの夜の玄関に立ち尽くした影を思い出すと、心臓の奥がひやりと冷える。 私は祖父のことが人一倍好きだった。背が高く、腹の出た体格をしていながら、眼差しは穏やかで、滅多に多くを語らなかった。しかし黙 ...
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聞こえる部屋 rw+474-0120
2025/10/16 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
平成の始め、高校一年の夏休みを前にして、父の会社が潰れた。 床が抜けた、という比喩は正確じゃない。音もなく、気づいたら立っている場所がなかった。担任に頭を下げ、夕方から弁当工場で働き始めた。昼は授業、 ...
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記憶を引き継ぐ者 r+2,447
2025/10/16 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
数年に一度、決まって現れる人たちがいる。 爺さんだったり、婆さんだったり、おっさんやおばさんだったり。全部、違う人間だ。けれど共通しているのは、誰もが俺に向かって妙な言葉をかけてくることだった。 「久 ...
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天窓を揺らす手 r+2,027
2025/10/16 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小学生の頃、近所の英語塾に通っていた。 田舎町の中ではちょっと変わった存在で、日英ハーフの綺麗な先生が自宅を改装してやっていた塾だった。先生は町内では珍しいほど垢抜けていて、髪の色も目の色も、他の大人 ...
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いとこの子 nc+
2025/10/15 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あれは、真夏の午後だった。 陽炎が立つような暑さのなか、畳の匂いと蝉の声に包まれた縁側で、俺はぼんやりと座っていた。足元には、幼い子どもが一人。いとこの子――まだ二歳かそこらの、小さな男の子だった。 ...
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帰路を示すもの rcw+6,158-0109
2025/10/15 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
これは、祖母から幾度も聞かされた曽祖父の戦中の体験談である。 けれど私は、それを単なる戦争の記憶として聞いたことが一度もない。耳にするたび、話の底に沈んだ何かが、少しずつ形を変えてこちらを覗き返してく ...
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家族の話をやめない人 rw+4,571-0119
2025/10/15 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
これは、俺の職場での話だ。 先輩のことを思い出すと、今でも喉の奥がひやりと冷える。尊敬できる人だ。仕事は正確で、無理をしない。派手さはないが、最後まで投げ出さない。その積み重ねで、社内外から信頼を集め ...
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ドッペルゲンガーの食卓 r+2,458
2025/10/15 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
高校生の頃に体験した話をする。 今でもあれが何だったのか、うまく説明できない。 その日の放課後も、部活に入っていなかった俺はいつものように六時半ごろに家へ帰り着いた。門を開け、玄関を開けると、台所から ...
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止まった時計の部屋 n+
2025/10/14 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
この話を思い出すと、耳の奥で時を刻むような音が鳴る。 乾いたカチリという響きが、心臓の鼓動と重なってはずれる。その違和感に、いまだに身体が震えるのだ。 あれは放課後の帰り道だった。薄曇りの空に電線が網 ...
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石の部屋 r+1,310
2025/10/14 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
大学生の頃のことだ。 あの頃、俺は駅前のファーストフード店でアルバイトをしていた。深夜まで続くシフトは眠気と油の匂いにまみれ、時間の感覚を曖昧にしていったけれど、それでも人間関係は意外に悪くなかった。 ...
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赤い頭のスーツ男 n+
2025/10/13 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
友人の川崎が、煙草の火を三本目に移す頃、ぽつりとこんなことを言った。 「トマト、好きか?」 俺が答えるより早く、彼は続けた。「……火を通せば、まあ、大丈夫なんだ。でもな、生で食うのは、もう無理だ」 そ ...
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十年越しの遅刻 r+3,459
2025/10/13 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
十二年ほど前から工事屋をやっている。 独立したての頃は右も左も分からず、人を集めるのに苦労した。そんな折、ある職人を呼んでいたのだが、そいつが当日になって姿を消した。朝、待っても来ない。電話をしても繋 ...
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片づけてしまった夜 nw+393-0123
2025/10/12 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
その晩、私は一人で酒を飲んでいた。 仕事が一段落し、特別な理由もなく、ただ缶を開けただけだった。冬の終わりで、部屋は乾いていた。換気のつもりで、寝る前に少しだけ窓を開けていたのを覚えている。 風が入っ ...
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取ってはいけない予約 rw+4,540-0120
2025/10/12 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
京都の三条にある飲み屋で聞いた話だ。 語ってくれたのは、三十代半ばの男だった。勤め先の同期会で幹事を任され、店の手配から連絡まで一手に引き受けたという。話し方は落ち着いていて、怪談を面白がって盛るよう ...
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煙の向こうにいた人 r+4,549
2025/10/11 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
沖縄県俺の実家は沖縄の、とある海辺の町にある。 観光客が必ず足を運ぶ大きな水族館があって、その周囲は広大な公園として整備されている。地元の人間にとっては、遠足や家族の休日に必ず一度は訪れるような場所だ。 子 ...
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赤い輪の記憶 r+2,935
2025/10/11 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小学校一年の頃だった。 場所はモスクワ。父の仕事の都合で一家ごと移り住んでいたのだが、週末になると補習のような形で、現地の日本語学校へ通っていた。校舎は古く、夏でも薄暗い灰色の光が廊下に差し込んでいて ...
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怒りを呼ぶ顔 r+2,641
2025/10/11 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
生まれてからずっと、ひとつだけ説明のつかない体質を背負っている。 自分ではどうしようもないのに、誰彼かまわず激怒させてしまうのだ。 最初にその異常に気づいたのは、幼い頃だった。親戚が集まる席で、ただ黙 ...
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十二時間の空白 r+1,866
2025/10/11 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
昨日のことだ。 実家に用事があって久しぶりに立ち寄った。冬の夕暮れ、玄関の引き戸を開けると、懐かしい埃の匂いと、長方形に伸びたリビングの灯りが鼻腔にまとわりついてきた。父と母は二人とも出かけているらし ...
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オレンジ色の悲鳴 r+2,030
2025/10/10 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小学五年のときのことを、ふと思い出す。 きっかけは、アマゾンプライムで探偵ナイトスクープの昔の回を観たからだ。四つ葉のクローバーの声が聞こえるという少女が出てきていて、妙に懐かしい感覚に襲われた。自分 ...
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おい、小池、まだ隣にいる n+
2025/10/09 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学の同級生に会ったのは、二〇年ほど前の同窓会だった。 名前はここでは伏せるけれど、彼は妙に痩せて、背広もぶかぶかで、顔色は灰色に沈んでいた。酒も進まず、ぽつりぽつりと話すばかりだった。帰り際に呼び止 ...
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水底の鏡に映る未来 r+1.858
2025/10/09 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あれは、もう何年も前のことだ。 思い出すたびに胸の奥がひやりとし、同時に奇妙な温もりが指先に残る。 当時、私は金属加工の小さな工場を経営していた。機械の油と鉄粉の匂いに包まれた職場。旋盤の音は一日中鳴 ...
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父の骨董 r+1,980
2025/10/09 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
親父は五十歳のとき、唐突にそれまで経営していた紡績工場をすっぱりと手放した。 工場の経営権から何からすべて売り払い、十億近い金を手にしたのだ。家族は呆然としたが、本人は晴れやかな顔でこう言った。「もう ...
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コーイチ君からの伝言 n+
2025/10/08 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あの夜を境に、俺は知らない番号からの着信にいまだ怯えている。 長い話になるが、これは俺の身に確かに起きた出来事だ。落ちもなく、理屈もつかない。ただ気味が悪くて、どうにも忘れられない。 当時十九歳。俺は ...
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送り番の夜 r+2,266
2025/10/08 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
子どもの頃、ひい爺さんからよく昔話を聞かされた。 ひい爺さんは明治の早い時期の生まれで、山奥の村で育った人だった。小柄で、眼差しにいつも影のようなものを宿していた。焚き火の明かりに顔を照らしながら語る ...
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おーい〇〇さん! n+
2025/10/07 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学の同級生のことを、私は一度も思い出したことがなかった。 名前も、顔も、声すらも。けれど十三年後の梅田で、まるで忘れるはずのない親友のように声をかけられたのだ。 「おーい〇〇さん!」 最初に呼ばれた ...
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きづうない声 r+2,471
2025/10/07 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
突然で申し訳ないが、子供の頃に一度だけ、妙に胸の底へ沈殿して離れない体験をしたことがある。 話すほど大したものではない。だが、今も脳裏に残っていて、時おり夢のように浮かび上がる。暇があるなら、少し耳を ...
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電話に出る稲荷 n+
2025/10/06 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
実家の固定電話には、昔から奇妙なことが起こる。 家に誰もいないとき限定で、電話をかけると必ず誰かが応答するのだ。無言でも、雑音でもなく、若い男の声で、まるでそこに住む家族のように「はい、○○です」と。 ...
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夢から戻った位牌 n+
2025/10/05 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
あれは、まだ義母と同居していた頃のことだった。 家に遊びに来てくれる友人がいた。彼女はいつもにこやかで、どんな嫌味にも軽く受け流すような穏やかな性格だったのに、その日は思いも寄らぬ言葉を口にした。きっ ...
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五角の井戸と塚 r+2,873
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
子供の頃、よく神社で遊んでいた。 といっても、遊び場としてそこを選んだのは偶然じゃない。家から歩いて七分、すぐ裏が山になっていて、鬱蒼とした木々の下に、ひっそりと佇む社があった。あんなに頻繁に通ったの ...
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空白の一年とひまわり畑 r+3,187
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
風邪をひいていた。身体の芯がずっと冷えていて、骨の奥で氷が溶けないような感覚があった。 その日、耐えきれず大久保の病院へ行くことにした。西武新宿線の吊革に片手をかけ、電車の揺れに合わせて身体を預ける。 ...