-
-
二人のNさん r+2,827
あの出来事を誰かに話さずにはいられない。 罪悪感がずっと胸に居座って、今でも眠れない夜が続いている。 ――あのコンビニは、今年の春にオープンしたばかりだった。場所は悪くない。大通りの近く、高級マンショ ...
-
-
送り番の夜 r+2,266
2025/10/08 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
子どもの頃、ひい爺さんからよく昔話を聞かされた。 ひい爺さんは明治の早い時期の生まれで、山奥の村で育った人だった。小柄で、眼差しにいつも影のようなものを宿していた。焚き火の明かりに顔を照らしながら語る ...
-
-
助ける側 rw+8,490-0110
これは、俺が大学生だった頃の話だ。 人には、理由を説明できないまま「行きたくない」と感じてしまう場所がある。危険だと学習したわけでもなく、嫌な記憶があるわけでもない。ただ、そこへ足を向けた瞬間、身体の ...
-
-
開けてはいけないドア rcw+5,167-0121
2025/10/07 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
自分が育ったのは、四国の瀬戸内海沿いにある小さな村だった。 港には古い木造船が並び、昼間でも潮と油の匂いが重く漂っていた。夜になると外灯は途切れ途切れになり、闇が地面からせり上がってくる。虫の声だけが ...
-
-
追いかける塊 r+4,506
2025/10/07 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
四、五年前のことだ。 取引先の藤木さんから、酒席で聞かされた話を、今でも忘れることができない。酔いもすっかり醒めるような内容で、聞いた当時は、冗談めかして笑うしかなかった。だが、夜になり布団に潜りこん ...
-
-
きづうない声 r+2,471
2025/10/07 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
突然で申し訳ないが、子供の頃に一度だけ、妙に胸の底へ沈殿して離れない体験をしたことがある。 話すほど大したものではない。だが、今も脳裏に残っていて、時おり夢のように浮かび上がる。暇があるなら、少し耳を ...
-
-
『杉田かおる』のカルト新興宗教教団体験記 r+3,422
杉田かおるのカルト新興宗教教団体験記【ゆっくり朗読】 『杉田』 杉田かおる(著)(小学館刊) 杉田【電子書籍】[ 杉田かおる ] posted with カエレバ 楽天市場 Amazon この本は杉田 ...
-
-
十七年目の午後、あの声がした~真犯人に会ってしまった男の記憶 #4,017-0124
あれは、よく晴れた午後だった。 陽が真上から地面を叩きつけるような、何の変哲もない一日だった。 足利の駅を降りて、渡良瀬川までの道を歩いていた。ちょうど、事件から十七年が経った日だった。いや、「事件」 ...
-
-
またお願いします rw+8,637-0110
2025/10/05 -短編, r+, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
★人気ベスト300※猫好きの方は、読まない方がいいかもしれません。 特殊清掃の会社に勤めていた。 人が想像するような生々しい遺体処理は、実際には仕事の一部でしかない。主な業務はそのあとだ。人がいなくなった部屋、生活が途 ...
-
-
五角の井戸と塚 r+2,873
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
子供の頃、よく神社で遊んでいた。 といっても、遊び場としてそこを選んだのは偶然じゃない。家から歩いて七分、すぐ裏が山になっていて、鬱蒼とした木々の下に、ひっそりと佇む社があった。あんなに頻繁に通ったの ...
-
-
空白の一年とひまわり畑 r+3,187
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
風邪をひいていた。身体の芯がずっと冷えていて、骨の奥で氷が溶けないような感覚があった。 その日、耐えきれず大久保の病院へ行くことにした。西武新宿線の吊革に片手をかけ、電車の揺れに合わせて身体を預ける。 ...
-
-
監視の目 r+2,667
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
地方新聞の支局で記者をしていた頃のことだ。 あの事務所は、平日の昼でも妙に湿った匂いがした。紙とインクと、古びた木の机が吸い込んできた幾年分の埃の匂いが混じり、いつまでも鼻の奥に残る。静かな日は、時計 ...
-
-
眠りに落ちたはずの目 r+2,578
2025/10/05 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あの日、僕は美術室の掃除当番だった。 午後の授業が終わったあと、早く帰ってゲームでもやろうと、ほうき片手に足早に机の間を縫っていた。西日の差す窓から、粉塵が金色に漂って見えた。誰もいない美術室は、しん ...
-
-
最後の吠え声 r+4,914
実家は、もう築四十年を超えている。柱は日焼けで黒ずみ、床板は歩くたびにぎしぎしと鳴く。 冬場など、風が壁の隙間を抜けて、微かに笛のような音を奏でる。昔から、家のあちこちから妙な音がするのは当たり前だっ ...
-
-
鷲駿の影 r+5,076
2025/10/04 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あれは、もう何年も前のことだ。 山に入るたび、あの日の匂いを思い出す。湿った土と、夏草が腐りかけた甘い匂い……そこに混じる、かすかに血の匂い。あのとき拾ったもののことを、まだ誰にもきちんと話したことは ...
-
-
生活していた女 rw+3,013-0119
2025/10/04 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
二十歳の春の朝だった。 前の晩は友人と遅くまで電話をしていて、頭がまだぼんやりしていた。庭に出ると、陽射しは柔らかく、風だけが冷たかった。ホースを握り、しゃらしゃらと水を撒いた瞬間、足元に何かが絡みつ ...
-
-
数えなかった現金 rcw+3,804-0120
2025/10/04 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あれは、酒場の片隅で友人に聞いた話だった。 店は平日の遅い時間で、客もまばらだった。壁際の席で、氷の溶けかけた焼酎を前に、友人は唐突に名前を口にした。 N。 それだけで、なぜか胸の奥が冷えた。理由は分 ...
-
-
元の時代に帰りたい r+1,429
2025/10/04 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小さい頃から、何度も同じ夢を見る。 夢の中で「ああ……まただ」と思う。けれど、目が覚めた瞬間、その内容は霧のように消え失せる。ただ、同じ夢を見たという確信だけが残り、胸の奥を押しつぶすような懐かしさと ...
-
-
帰ってきたと言われた日 rw+7,908-0105
2025/10/03 -短編, r+, カルト宗教, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
★人気ベスト300先日、祖母が亡くなった。 眠るように、あっけなく。 長く患っていた痴呆が、最後の数か月で急に深まり、そのまま何かが切れるように終わった。悲しみが来るより先に、胸の奥に空洞ができた感覚だけが残った。 こ ...
-
-
二回、鳴った rw+4,764-0120
2025/10/03 -中編, r+, 意味がわかると怖い話
あの日のことを、私は思い出そうとして思い出しているわけではない。 朝、歯を磨くとき。 夜、布団に入って電気を消すとき。 生活の隙間から、勝手に浮かび上がってくる。 机の上に置いたICレコーダー。 赤く ...
-
-
掛軸と子供の声 r+3.488
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
助けてくれたあの人の話を、ここで書いておこうと思う。 あの人とは、私を川岸で引き上げてくれた祖母のことだ。幼いころ、溺れて、息が詰まり、視界が真っ暗になった時、泥だらけの手で私の腕をつかんだ祖母の顔が ...
-
-
帰したはずの島 rw+2,634
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
大学生の頃、ひょんな縁で南方の島へ渡ることになった。 戦中にそこで亡くなった日本兵の遺骨を収集し、本国へ帰すための作業要員だ。志願といえば聞こえはいいが、実際は暇を持て余していた時期で、霊だの祟りだの ...
-
-
赤い月と銅鍋 r+2,407
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
中学に上がる前の頃だったか、囲炉裏のそばで、じいさんが火箸をいじりながら話してくれたことがある。 それはどうにも頭から離れず、歳を重ねた今でも、思い出すと背筋がひやりとする。 じいさんは畑も耕してはい ...
-
-
鏡の向こうの乗客 r+1,967
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
友人の部屋に行くのは、これで三度目だった。 あいつが住んでいるのは築十五年ほどのマンションで、外観は古びているが内装はやけに清潔だ。玄関の脇にあるエレベーターは、入ってすぐの奥が全面鏡張りになっている ...
-
-
霧の境界で待つもの r+1,433
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
あの夜のことを思い出すと、今でも胸の奥に冷たいものが落ちてくる。 数年前、顔見知りに連れられて場末のスナックに入った。カウンターの奥には、派手なドレスを着た女がグラスを磨いていて、連れは「ここのホステ ...
-
-
お歯黒の男 r+1,971
2025/10/03 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
もう何年前のことだったか、正確な年はもう曖昧だ。 ただ、その日程の狂い具合と、あの夜の異様さは、今でも鮮明に思い出せる。 夏の終わり。親が京都へ行くというので、便乗することにした。当時、私は趣味全開の ...
-
-
死後の世界を科学的に検証してみた #10.228
死後の世界を科学的に検証してみた【ゆっくり朗読】 「死後の世界はない」ということをあなたは証明できない!? 人は心臓が止まっても、3分間意識がある!? 生物学・池田先生>>> イギリ ...
-
-
カラフルな影 r+4,282
2025/10/02 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
俺は昔から一人で出かけるのが好きだった。 休日になると、行き先も決めずにふらりと電車に乗り、見知らぬ町を歩き回る。誰にも予定を合わせる必要がないのが心地よかった。 あの日も、何日か休みが続いたせいで、 ...
-
-
ミロと兵隊 r+2,152
2025/10/02 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
子どもの頃から、ずっと誰かに見られていた。 正確に言えば、同じひとりの男だった。顔を上げると、そこに立っている。距離は少し離れている。だけど視線はまっすぐ、確かに私に注がれている。 男はいつも同じ格好 ...
-
-
神の子と呼ばれた島の兄 r+8,457
私が生まれ育ったのは、地図にやっと載るくらいの小さな島だ。 海は澄んでいるが、底の暗がりはいつも濁って見える。幼い頃、島の人々が「神の子」と呼ぶ中学生がいた。私の家のすぐ近くに住む、背の高い、日に焼け ...
-
-
無事故だった理由 rw+2,190-0120
2025/10/01 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
茨城県の常磐道を南へ走ると、夜間だけ妙に重く感じるインターチェンジがある。 看板も照明も他と変わらない。だが、深夜にそこを降りると、空気の密度が変わる。音が減るというより、吸われる。工業団地へ続く道は ...
-
-
『呪いのビデオ』のスタッフへ108つの質問!その答えがマジで怖い…#48,294
2025/09/30 -短編, r+, ほんとにあった怖い話
★人気ベスト300【ゆっくり怪談】『呪いのビデオ』のスタッフへ108つの質問 2ちゃんねるに「呪いのビデオのスタッフだったけど質問ある?」という伝説のスレッドがたちました。 質問してください。知ってるところは全部教えま ...
-
-
赤く塗られた窓 r+4,296
2025/09/30 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
小学四年の夏、俺たちは郊外の新興住宅地に引っ越した。 丘陵を切り崩して造られたばかりの街で、家々はみんな真新しく、植え込みもまだ痩せた苗木のように細かった。舗装の匂いが夕立のたびにむっと立ち上がり、夜 ...
-
-
昼の夜、木の手 r+3,441
2025/09/30 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
十年ほど前のことだ。この時期になると、夏の夜の熱気とアルコールで、みんな妙に口が軽くなる。 あの日も例外じゃなかった。居酒屋のテーブルで酔いが回りはじめたころ、一人がぽつりと口にした。最近、地元で有名 ...
-
-
赤い舟の呼び声 r+7,749
子どもの頃から大学に入るまで、ずっと海辺の町で育った。 浜に沿って国道が走り、その背後はすぐ山。山の斜面に家がぽつぽつと張り付くように建ち、浜辺には漁のための小屋が並んでいた。けれど、うちだけは漁師じ ...
-
-
供養を振り切る影 r+4,399
2025/09/29 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
母方の家系は、どういうわけか代々「見える」人間が多い。 祖母、母、妹、それに兄の娘まで、みな程度の差こそあれ、何かしら感じ取ることができる。けれど、それは神主のように祓える力ではなく、「何となく、いい ...
-
-
殴られるまで出られなかった rw+3,704-0119
2025/09/29 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
沖縄県中学一年の六月、梅雨が明けた直後の、空気が肌に貼りつくような日だった。 課外授業で、近くのガマへ行くことになった。バスで数十分。エンジン音に紛れて教師が何か話していたが、内容はほとんど頭に入らなかった ...
-
-
黒経の間 rw+4,932
2025/09/29 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
小学生の頃の自分を思い返すと、胸の奥がむず痒くなる。 悪ふざけと衝動だけで動いていて、今思えば自分でも距離を取りたくなるような子供だった。 あの日も、理由はなかった。 八月、夕立が過ぎた直後の午後で、 ...
-
-
夜の交差点でSingを r+3,079
2025/09/29 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
僕が黒田に出会ったのは、高校一年の春だった。 政令指定都市ではあるが、華やかな都心から外れた、どこか時間が余ったまま固まったような街。家から歩いて三分もすればローソンが三軒、どれも似たような光の色で夜 ...
-
-
間延びしたノック rw+4,879-0110
2025/09/28 -中編, r+, 洒落にならない怖い話
あれから十年経つのに、部屋の空気にはまだ、誰かが息を潜めているような沈みがある。 最初におかしくなったのは、由紀子が消えて五年後だった。俺はもう別の街に移り、別の女と暮らしはじめ、前の生活とは何ひとつ ...
-
-
人の目をしたカラス r+4.920
寺に霊感や祓いの力があるかどうか…… そんな話題は、飲み会や夜更けの雑談でたまに出る。 俺の場合、その疑問に一番答えてくれたのは、幼馴染であり、今は寺の住職を務めている友人だった。酒の席でぽつぽつと語 ...
-
-
信者以外立入禁止 rw+4,478-0109
中学の頃だった。家の裏にあるS山を、五人で登った。 正規の登山道を使うのが、なんとなく癪だった。 誰が言い出したわけでもなく、獣道にもならない斜面や木立の隙間を、体を捻りながら進んだ。枝が腕に絡み、靴 ...
-
-
グレートの最後の怪談 r+4,996
2025/09/28 -中編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, 定番・名作怖い話
★人気ベスト300, ネットで有名な怖い話, 時空の歪み小学校五年から六年の夏休み明けまで、田所というやつと同じクラスだった。 あだ名は「グレート」。怪談先生グレート。俺たちがそう呼んでいた。 学校の図書館を根城と呼び、推理小説を片っ端から読んで、目を悪く ...
-
-
二つの声 r+7,089
俺がまだ子どもの頃、母がふとした拍子に話してくれたことがある。 それは、俺が生まれるずっと前……母がまだ二十代のOLだった頃の出来事だ。 春の空気はぬるく、どこか埃っぽい匂いを孕んでいたらしい。大阪の ...
-
-
光の抜け殻 r+4,029
2025/09/27 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
両親は、俺が母の腹に宿った夜と、この世に生まれ落ちた夜に、同じ夢を見たらしい。 腹に、淡い金色の光がすうっと吸い込まれていく夢だ。光は小さくもなく、大きくもなく、けれど温かさと冷たさを同時に放ち、脈打 ...
-
-
林道へ向かう声 r+3,212
これは、いまだに説明のつかない、自分が直接体験した出来事だ。 四六歳、菓子工場で副工場長をしている。仕事柄、毎朝五時には出社しなければならず、四時には目を覚ます習慣がついている。眠気を誤魔化すため、起 ...
-
-
夕暮れの鳥居 r+3,204
2025/09/26 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
俺には霊感なんてものはないと思っている。 少なくとも、自分が何かを見た記憶は一度もない。だが両親は、俺が二歳のときにそのおかげで命拾いしたと、今でも親戚中に吹聴して回っている。 その日、俺たちは内陸の ...
-
-
首を絞められても r+3,856
2025/09/26 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
親父が死んで、今日でちょうど一年になる。 教会には一周忌なんて習慣はない。けれど、心の奥で何かの節目だと感じてしまう。親父は神父だった。十字架を掲げ、聖書を読み上げる男だったくせに、幽霊の存在も認めて ...
-
-
センジュさんの返事 r+3,927
2025/09/26 -中編, r+, 洒落にならない怖い話
宮城県来年、結婚する。 その前に、ずっと胸の底に沈めていたものを吐き出しておこうと思う。厄落としだと思えば、少しは気が楽になるだろうか。 あれは、小学生の夏休みのことだった。母が少し厄介な病気になり、遠くの ...
-
-
黒く塗られた招待状 r+8,337
越してきた当初から、この村にはどこか息苦しい匂いがあった。 畑の向こう、見渡す限りの屋根は皆、同じ苗字を背負った家々。笑い声も、足音も、まるで土に吸い込まれてしまうような静けさが支配している。 私は地 ...