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中編

ワラズマの『お指さま』

更新日:

子供の頃に変なものを見た。

遠縁で実際は血が繋がってないんだけど、親同士の仲がいいので、俺は夏休みになると毎年、田宮家(仮名)に何泊かしていた。

2012/01/14(土) 05:56:54.08 ID:UI2AIrGB0

俺はその頃四歳くらいだった。

昼過ぎに遊び疲れて仏間の隣の部屋で寝ていると、そばで『ポタッポタッ』って音がする。

で、なんかカリカリというか、ズルズルというか、何かが動いている気配がした。

でも眠かったからシカトしていたら、ほっぺたに何かが触れた。

手ではらって見てみると、虫みたいだった。

白くて大きな幼虫みたいなのが畳の上でウゴウゴしている。

男児って虫好きだから、『大物やったー』ってなってすぐさま拾ってみた。

でも、なんか先端のほうに堅い部分があるから変で、寝ぼけまなこで「うん?」ってよく見ると、それは虫などではなく……人の指だった。

血の気がまったくないのか真っ白で、ほっそりとしていて女性のものだと思う。

でも、床を這ってるからか、爪のあたりは割れてたり、黒っぽいものがつまっていて汚い。

ウワッ!ってなって投げ捨てたけど、なんと指は畳の上に立ち上がった。

んで、ピョコピョコ飛んだり、ぶんぶん横に揺れたりして、コミカルな動きをする。

馬鹿ガキだった俺は「ウッヒョーイ!」ってなったね。

よく覚えてないけど、なんか質問すると、指は頷くみたいに曲がって応答してくれる。

これはオカンたちにも見せなくては!とひっつかんで持っていったら、移動中に手の中から消えてしまった。

トトロでメイがマックロクロスケ逃がしたときみたいなもんだった。

親に言っても「どうせ寝ぼけてたんでしょ」とか言われてスゲー悔しかった。

んで、その指みたいなものに、「お指さま」とニックネームをつけた俺は、なんとしてでも捕まえてやると心に決めて、捜索することにした。

すると、あっさりさっきの部屋で見つかるお指さま。

つうかぁ、キノコみたいに部屋の壁に生えていた。

摘み取って、今度こそと、ガン見したまま持っていこうとした。

でも、部屋から出ようとすると、なぜかお指さまは、ニュルンと手から飛び出て、元の部屋に戻ってしまう。

必死になった俺は、かなりの時間をかけて、いろんな場所から持ち出しに挑戦してみた。
襖からは駄目。窓は俺の背では越えられない。

どうしようか考えていると、お指さまが、襖がある壁の、すみのほうに這って行った。

畳の上で跳ねているので、そばの壁を見てみると、土壁の古い屋敷だったので、壁と壁の間に隙間ができている。

でもさすがに指は通りそうにない隙間だったが、幼児の俺は、お指さまを思い切りその隙間に差し込んだった。

お指さまはかなりの時間モゾモゾして、なんとか壁ぬけに成功。

廊下に出て、床に落ちていたお指さまを回収した。

これで俺を馬鹿にしたオカンを見返せる!と、お指さまを連れて行こうとすると、廊下でまた、ニュルるんと手から逃げられた。

慌ててもう一回捕まえようとすると、いままで友好的だったお指さまが、いきなり飛びかかってきて、頬を引っ掻いた。

驚きと痛さで俺号泣。だってほとんど垂直に刺さったみたいだったもん。

泣き声に驚いて、誰かが廊下の奥から駆けつけてくる。

すると、まだ俺の肩にいたお指さまが、慰めるように怪我してない頬を撫でてくれた。

そうこうしているうちに、オカンと家の人到着。

で、オカンの顔を見たら、なんか知らんが急に眠たくなって、ぶったおれる俺。

次に目が覚めた時には自分の家で、翌日になっていた。

予定ではもう少し田宮家にお泊りするはずだったけど、子供なので不思議に思わず、それ以降、一度もその家には行かなかったけど、特に好きでもなかったから気にせず。

で、俺が大学生になった頃だ。

俺はサークルの後輩栄子に一目惚れした。

喪だったけど、とにかく好きだったので猛アタックしたけど、とにかく逃げられる。

告白して断られるとかではなく、会いに行こうとするともう栄子がいないんだ。

なんとか会えても、ひきつった顔で逃げ腰で、もう告白どころじゃない。

喪だからアタック方法間違えちゃって、気持ち悪がられたかなと俺涙目。

そのうち栄子はサークルにも来なくなっちゃった。

友人を通じて、悪気はなかった、もう関わらないようにするから、俺のせいでサークル止めるとかはしないでくれって伝えて、なんとか栄子も顔出すようになった。

その一年後くらい。

長期休み中に、サークルで恒例の旅行をすることになった。

歴史系サークルだったもので、主に城とか神社巡り。

でも歴史が好きなやつ半分、ただの旅行サークルとしてキャッキャしたいやつ半分だったので、温度差が酷い。

とある史跡を見て回っている途中に、キャッキャ組がはぐれてしまった。

携帯に電話しても、計画的犯行なのか誰も出ない。

仕方がないので、時間を決めて、真面目組もばらけていないやつを探すことになった。

サボって遊びたいなら、たぶん簡単に見つからない場所にいるんだろうなと思ったので、俺は敷地の中でも人気がないほうへ行ってみた。

と、生垣の角を曲がったら、好きだった栄子と鉢合わせ。

俺、心の中で号泣。

サークルには普通に来るようになったけど、いまだに栄子からは避けられてたからね。

アウアウしていると、そばから野太い悲鳴が聞こえてきた。

駆けつけると、石碑の側で、サークルのやつ数人が地面にへたり込んでいる。

やつらの視線の先を見て、俺はビビったね。

女の上半身をさらに半分にしたようなやつが、地面でウゴウゴしている。

なんつうの、綺麗に刃物で切った感じじゃなく、轢かれて壊れたマネキンみたいなのだった。

胴体は胸のあたりまでしかなく、顔は割れたみたいに顎までしかなくて、左腕も肩近くで崩れている。

恐すぎて、喉からヒッって音しか出なかったよ。

サークルのやつらは完全に腰を抜かしてた。

すると、女の上半身が、唯一ちゃんとある右手を使って這い、こっちに来ようとし出した。

凍りついたまま、逃げようかどうしようか迷う俺。

そうだ、栄子だけは連れて逃げなきゃ!とか考えていたら、急に栄子に腕をガシッと掴まれた。

凄い勢いで、サークルのやつらの前に連れてこられる。

抵抗しようと踏ん張ろうとしたら、栄子に背中突き飛ばされて、女の上半身の前に倒れこんだ。

いくら嫌いだからって、この仕打ちはないだろ……と思ってマジ泣きしそうになったら、急に眼の前の女上半身の動きが止まった。

短い胴で立ち上がって、ピョコピョコ飛んだりくねくねしたり。

「へっ?」って思っているうちに、女は穴に潜り込んだモグラみたいに、地面にひゅっと吸い込まれて消えちまった。

消えた地面には穴なんかなかったけどね。

次に気がついたのは、その地域の病院のベッドの上だった。

どうやらあの後、栄子以外は全員気を失って、救急車で運ばれたらしい。

幸い、目が覚めると全員すんなり返されました。

その後、栄子と二人きりの時に話を聞かされた。

彼女は、先祖がシャーマンていうか巫女さんみたいなのだそうで、霊とか見える人らしい。

ただし、そんなに力は強くないと言っていた。

その彼女いわく、俺はやばいものに守られている。

憑かれているんじゃなく、守られているんだそうだ。

なので、並みの悪霊くらいじゃ太刀打ちできないらしく、あの場を切り抜けられるのはこれしかないと、俺を霊の前に突き飛ばしたんだそうだ。

栄子もテンパっていたらしく、あのときのことは謝罪された。

あと、サークルで俺を避けまくっていたのは、俺を守っているやばいものがどうにも栄子の体質に合わず、俺自身が嫌いだから避けてたとかそういうことじゃないと言われた。

守られているったって、俺はこれまでの人生で、なにか特別良いことがあったわけでも、九死に一生を得たことがあるわけでもない。

そう言ったが栄子は「そういう意味で守られているわけじゃない」と言う。

あと、なんか頬っぺたに印をつけられてると言われた。

そこでハッとして、幼児期に会ったお指さまのことを思い出した。

つうか、それまでなぜかお指さまのことをすっかり忘れていたんだ。

多分気を失って、実家で目が覚めた時にはもう忘れていたと思う。

じゃなきゃ、あんな体験、親に話してただろうし。

すでに長期休み中なので、俺は急いで実家に帰った。

それでオカンに田宮家のことを聞いてみたんだが、なんだがゴニョゴニョ言って、話が通じない。

それで仕方なく、先日あった事件のことと、お指さまの話を全部した。

女の上半身の話では、何寝言言ってるのって感じだったんだが、お指さまの話に入ると、明らかにオカンの顔が強張った。肩まで跳ねてたし。

話し終えると、しばらく沈黙していたオカンがやっと口を開いた。

田宮家で俺が倒れた後、散々な目にあったらしい。

最初は、俺が倒れたので、屋敷の人間は全員心配してくれた。

ところが、オカンがそういえばついさっき俺が変なことを言っていたと内容をこぼしたら自体は一変。

変な指を見たって言っていたと教えたら、屋敷の奥さんが慌ててどこかに走っていき、その後大騒ぎになった。

奥さんは、仕事中のはずの自分の旦那や爺ちゃんにまで電話して、すぐ帰ってくるようにと言った。

それが終わると、なんてことをしてくれたんだとオカンに詰め寄る。

息子が意識をなくしてるこんなときに、何意味不明のことを言ってるんだと、オカン大爆発。

叩いてもなにしても俺が起きないから、救急車を呼ぼうとしたら、「無駄だ」と止められたそうだ。

その後、物凄いスピードで帰ってきた田宮家の旦那たちがそろうと、オカンは仏間で家の人間に取り囲まれ、事情を説明されたそうだ。

田宮家には、仏間の隣に《ワラズマ》という部屋があるらしい。

なんでも何百年も前からあって、絶対に入ってはいけないんだとか。

ただ、いくつかある規則をきっちり守っていると、その《ワラズマ》は、家に《富と幸福》をもたらすんだとさ。

たしかに田宮家は裕福だった。屋敷は、結構田舎の山ん中にあるんだけど、大きな日本家屋の平屋で、大河ドラマとかに出てきそうな感じ。

で、幼い俺が、その入ってはいけない部屋に入ったっていうんだな。

で、オカンはますます切れた。

だって、仏間の隣に部屋なんてなかったっていうんだ。

オカンも子供の頃から田宮家に来ていたので、間違うはずがない。

仏間は四方を廊下で囲まれている。廊下をはさんだ隣の部屋は、どこも普通の部屋。

そう言って怒ったら、よく思い出してみろって言われたそうだ。

廊下にある仏間の壁、不自然じゃないかってさ。

確認してみると、部屋の中から見る仏間の広さと、廊下からみた仏間の壁の広さがあきらかに合わない。

廊下の壁のほうが、やけに広かったらしい。

どうやらその《ワラズマ》、たしかに仏間の横にあり、四方をすべて壁に囲まれているらしかった。

だからオカンはいままで気がつかなかったんだ。

でも、そんな部屋じゃ息子がはいれるはずないじゃないかと言ったが、倒れる前に言っていた内容と、直後に壁に穴が開いていたのがその証拠とか言って、取り合ってくれなかったそうだ。

……でも変だよな。

たしかに昔のことすぎて細かい記憶はあやふやだけど、俺がお指さまを見つけた部屋は普通の部屋だったぞ?

日の光が入って明るいかったし、内装も普通。

そして、ちゃんと襖があって、たしか開いていたはずだ。

じゃなきゃ、いくら俺が小さくても、他人の家の、一度も入ったことがない閉まった部屋に入り込んで、寝たりなんてしない。

ともかく、これから忙しいからとか言われ、オカンと俺は屋敷を放り出されたらしい。

まあ、実際は隣町の大きな病院まで送ってくれて、お詫びと見舞いだとかで、なんかたくさん持たされたらしいけど。

他のことで手一杯で、帰ってきてから調べてみたら、渡された物の中には鏡とか、数珠だとか、灰とか、変なものも混じってたらしい。

一番驚いたのは、底に現金が入ったパンパンの茶封筒が入っていたことだそうだ。

困って翌日電話すると「迷惑をかけたからそのお詫びだ」って言われたみたい。

意味不明な物は、《ワラズマ》を開けちゃった人には、あれを贈るのがしきたりとのこと。

そこまでしてくれなくても、俺は病院で大丈夫と言われ、いまはもう元気に遊んでいると話したら、驚かれたそうだ。

オカンに、いまその田宮家の人たちはどうしてるのか尋ねたら、苦い顔して、しばらくして、ポソッと、事業に失敗して一家離散したって言われた。

「ちょ、え、それって俺のせい?」

って言ったらマッハで頭をはたかれて「そんなわけあるか」と怒られた。

さすがにオカンも気になって調べたらしいんだけど、大昔から金持だったから田宮家はザル経営をしていて元から危うく、普通にバブルがはじけた煽りを食らっただけみたい。

ついでに、その時もらった謎グッズとお金どうしたのって聞いたら、謎グッズはしばらくして捨てて、お金のことは教えてもらえんかった。

オカンはその事件以来、すっかり田宮家とは交流を断ってしまったらしい。

でも、今回のことと絶対関係があると思ったから、親戚を頼り、俺はなんとかして田宮家の一人と連絡をつけた。

会って一言目で、「キミが生きてるとは思ってなかった」と言われたよ。

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それから、《ワラズマ》のことを教えてもらった。

とはいえ、その人は四男だったから、すべてを教えられていたわけじゃないみたい。

《ワラズマ》は、それ自体が神様なんだそうだ。

でも、その中にいるのは、神聖とわ真逆の、すごく悪いものらしい。

日本人って、よく怨霊になった人とか祀りたてちゃう癖があるよね。

藤原道真が天満宮の神様になってたり、平将門が祀られてたり。

それのミニチュア版らしい。

ただ恐ろしいのが、そうそう神様にできそうな怨霊なんていないので、人工的に作るんだそうだ。

詳しい作り方は、その人も知らなかったけど。

ただ、よりたくさんの材料を使ったほうがよく、自分に敵対する人や、恨みを持つ人を使ったほうが効き目が凄いらしい。

上記みたいに濁して言われたけど、意味がわかったとき、俺は心底震えたね。

あと《ワラズマ》は「割らずのま」と「ワラシのマ)」の意味じゃないかって。

最初のほうはわかるが、後ろは意味がわからない。

お指さまは、絶対、成人女性の指だったし。

で、その人が覚えている《ワラズマ》の規則は、

  1. 必ずその家の仏間の隣に作らなくてはならない。
  2. 四方を廊下で囲み、そこは人の通行を制限してはならない。
  3. むしろ客人には、その廊下を通ってもらったほうが良い。
  4. ただし、《ワラズマ》のことは、家の者以外に話してはいけない。
  5. あと、部屋には出入り口を二つないし、三つ作らなくてはならない。

最後の、変……だよね。

尋ねてみたら、《ワラズマ》は本来一代、よくて二代くらいにしか効かないものらしい。

けれど田宮家は元からお金持ちだったので、高名な行者にお金を積んで頼み込み、特別長く効く《ワラズマ》を作ってもらったんだって。

本来の《ワラズマ》は、障子や窓などで塞いであっても、出入り口をいくつも作って、かつ客人にその周囲を歩いてもらわなければならない。

でも、部屋にはいられたら術は切れ、中から怨霊が飛び出すという。

効き目は凄いが、かなりリスキーな代物だった。

どうやらその行者は、《ワラズマ》作りが専門、っていうくらい慣れた人だったらしく、俺が考えた最強《ワラズマ》を、田宮家に作ってやったらしい。

本来の形と違い、田宮家の《ワラズマ》の四方が壁で塞がれていたのは、そのせい。

で、もうわかってるだろうけど、普通《ワラズマ》を開封した人間は、誰だろうとすぐ死ぬものなんだって。

なにせ怨霊入りの部屋を開封して、何十年も閉じ込められていた恨みパワーをもろに浴びるんだもの。

なんで俺は生きてるのかってことと、お指さまは最後に俺の頬に突き刺さったが、それまでは優しい霊だったぞと尋ねた。

すると、田宮家の《ワラズマ》は特別なので、中に何が入っているかは、作った当初から行者以外は誰も知らなかったそうで、開けたのが、行者オリジナルだったからじゃないかと言われた。

でも強力なはずなのに、俺が何事もなく生き残るとか、わけわからんよな。

あと、とりあえずこれだけは弁解しなくては、と、あの部屋には襖があり、最初から開いていたと言ったら、

「四方が壁の部屋にキミがはいれた時点で、なんとなくわかっていた。きっともう、うちの《ワラズマ》も寿命だったんだ」

と言われたよ。

それに、人間の恨みが、どれほど恐ろしいものなのかは身にしみてわかったから、俺のことを恨む気にはなれないって、遠い眼をして微笑んでた。

田宮家はバブルがはじけて会社が潰れ、負債を抱えて一家離散したんだが、四男さんは離散した後、兄弟や家族がどうなったか知らないと言っていた。

家族が離散したのは、少しでも降りかかる禍を分散させるために、意図的にそうしたらしい。

手紙や電話でも、繋がったとみなされ連鎖するので、いまでも誰とも連絡は取り合っていないそうだ。

そう話してくれた四男さんは、仕事中の事故で両足と左腕がなかった。

障害者になり、自分だけではどうしようもなくなり、田宮家とは直接血が繋がらない、《ワラズマ》の恩恵を受けていない親戚に助けを求めたから、俺は彼を見つけられたみたい。

迷ったが、俺は栄子に知ったことを全部報告した。

親には話しづらく、かと言って自分の胸だけに留めるには、重すぎた。

栄子は実家のほうに《ワラズマ》のことを尋ねてくれたんだが、彼女の先祖は行者ではないし、よくわからんけど祓うタイプの巫女ではないらしく、そういうものは世の中にいくつも実在するという返事がもらえただけで、それ以上の新しい情報は得られなかった。

で、最後に彼女が教えてくれたんだが、俺の頬につけられたお指さまの印。

これは別に、《ワラズマ》みたいに富や名声を与えてくれるものではなく、大事故からでも生還できるというものでもないらしい。

「何があってもこいつだけは祟らない」という目印らしい。

ただし、弱い悪霊除けくらいにはなるとのこと。

あと旅行先で出会った女の上半身。

……あれはお指さまかもしれない。

恐すぎて指先なんて見てなかったが、栄子に押されて、俺が目の前に飛び出したあとの、クネクネした動きが、子供の時に会ったお指さまの動きに激似だったような気がする。

ということは、彼女は少しづつ元の人の姿に戻っているんだろうか
って話したら、栄子に「私はあの上半身、いろんな人間の指の集合体みたいに見えた」って言われてまたビビった。

お指さまは、確かに指一本だったはずなのに。

って思ったけど、必死で 思い返すと、あの部屋で寝ていたときに、最初に聞いた、何かが落ちるような音、複数だったような気がするんだよな。

夢うつつだったし、自信はないんだけど。

で、これを書こうと思ったきっかけなんだけど、二、三日前に、駅の構内でお指さまを見かけたからなんだ。

仕事の外回り中、電車の中から 外をなんとはなしに眺めていたら、ホームにいた人の肩に止まっている指を一本見た。

電車が走り出す頃には、指は肩から落ちて、ホームのコンクリートの床を尺取虫みたいに這ってた。

周囲の人は、誰も気がつかないみたいだった。

ただ、遠目からだけど、凄い太かったんで、あれは絶対男性の指だと思う。

ひょっとして、お指さまの仲間はたくさんいるんだろうか?

それともあれは、お指さまの集合体の部品だったんだろうか。

ちなみに、俺の職場は都心だ。

でも、田宮家はぜんぜん違う場所だったよ。

(了)

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