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最初の利用者 nc+
2026/06/06 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
久しぶりに実家へ帰ったとき、母がぽつりと「近所に火葬場が出来た」と言った。 声の調子が妙に沈んでいたので、最初は反対運動でもあったのかと思った。どこかには必要な施設だし、煙や騒音が出るわけでもない。田 ...
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消えたのは、どちら nw+812
2026/06/06 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
真夜中に帰宅して、襖を開けた瞬間、自分が自分と目を合わせた。 群馬県に住む吉野さんが大学生だった頃の話だ。猛暑の夜、終電を逃し、郊外の実家まで一時間以上歩いて帰ったという。古い瓦屋根の平屋で、庭の向こ ...
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丘の資産計上 rw+5,640
2026/06/06 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
★人気ベスト300これは怪談ではない。だが、私にとっては忘却できない出来事であり、今も決算書を見るたびに思い出す話だ。 私は外資系製造企業に勤めていた。昨年、C国への出向を打診された。内戦終結からまだ十年足らずの国で、 ...
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住んでいたのは誰か rw+5,168-0116
2026/06/06 -短編, r+, 洒落にならない怖い話, 不動産・物件の怖い話
名古屋の大学に通っていた松田(仮名)から聞いた話。 大学進学を機に一人暮らしを始めることになり、松田は市内で下宿を探していた。条件の良い物件はすでに埋まっており、ようやく見つかったのは大学からかなり離 ...
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四階の先 rw+5,746
2026/06/06 -短編, r+, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
階段を昇っているときから、足音は一定の距離を保っていた。 俺が立ち止まれば止まり、歩き出せばまたついてくる。 四階に着き、廊下に出た。階段のすぐ横が401号室で、そこから順に402、403と続き、突き ...
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神より高い場所 nc+
小さい頃、盆と正月だけは必ず父方の田舎に帰っていた。 四国の山間部で、最寄りの国道から車で一時間以上かかる。集落といっても十数軒が谷に沿って点在しているだけで、夜になると人の気配は完全に消える場所だっ ...
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弁当箱が増える子 nw+601
2026/06/05 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
秋山さんは、今でも昼休みの匂いだけは忘れられないと言う。 埼玉の山あいにあった県立高校。冬になると霧が廊下を流れ、杉林の影が教室の窓に貼りついたまま動かないような場所だった。 二年のとき、クラスに前後 ...
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今、目の前にいます rw+6,775
2026/06/05 -短編, r+, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
★人気ベスト300奥の課の電話は、誰もいないはずの事務室で、いつまでも鳴り続けていた。 年末の追い込みで、彼は一人残業していた。規則で点けていいのは自席の電灯だけ。広い事務室の大半は闇に沈み、机の輪郭だけが黒い塊として ...
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鑑識マル秘事件簿 rw+4,012
2026/06/05 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
最初から掴んでいなかった あれは、俺が鑑識に配属されて二年目の冬だった。 夜十時過ぎ、無線が入った。〇〇町七丁目、ひき逃げ事案。マルタイ死亡の可能性あり。 現場に着くと、雨は弱くなっていた。道路脇に一 ...
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客席のそば nc+
2026/06/04 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
深夜、ベッドに横になっていると、必ず同じ音で目が覚めた。 ずり……ずり……と、床を引きずるような音。 最初は気のせいだと思った。古いアパートだし、配管の音か、隣の生活音が反響しているだけだと自分に言い ...
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アルバムから消えた女 nw+827
2026/06/04 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
大学二年の春、駅のホームで電車を待っていると、見知らぬ女性に声をかけられた。 「久しぶり。覚えてる?」 名前を聞くと、高校の同級生だという。確かに聞き覚えはあった。同じクラスだったらしい。だが顔が思い ...
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対象未記入 rw+4,583
その男と飲んだのは、三年前の冬だった。 都内の雑居ビルの二階、カウンターだけの店で、隣に座ったのがきっかけだ。 元・何でも屋だと名乗った。便利屋の上位互換みたいな言い方をしたが、内容を聞くうちに、それ ...
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間に立つもの nc+
山行六日目。 三千メートルの稜線から一気に高度を下げる行程は、その一年坊にとって、ほとんど拷問に近いものだった。 歩き始めて十分もしないうちに、俺は異変に気付いた。 背中越しに見える彼の顔色が、はっき ...
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根を下ろす女 nw+664
2026/06/03 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
離島に嫁いだ知人の話だ。 島は山の稜線を境にふたつの集落に分かれている。北は畑を耕す者たち、南は海に出る者たち。南の者たちは、凪が続いても、嵐が来ても、必ず同じ言葉を口にするという。 「神が決めたこと ...
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十一階のまま nw+674
2026/06/03 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学一年の春、自分は朝刊の配達をしていた。 小遣いが欲しかっただけだ。任されたのは、地域でも一番高い団地だった。十数階建ての棟が一本、周囲の建物を見下ろしている。朝の霧のなかでは、建物の上半分だけが浮 ...
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来ていない女 rw+11,034
2026/06/02 -短編, r+, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
★人気ベスト300知り合いに、坂本という男がいる。 三十を少し過ぎた年齢で上京してきたが、職歴に芯はなく、派遣会社を転々としている。何者にもなれていない感じの男で、本人もそれを取り繕おうとしない。周囲からは頼りない、腰 ...
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根が絡む場所 nc+
前にどこかで読んだ話だ。誰が書いたのかも、どこに載っていたのかも思い出せない。ただ、山に入るたびに、必ず頭の片隅に浮かぶ。 山菜目当てで山をうろついていた男がいた。 春先で、まだ人の入りも少ない時期だ ...
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信じることの向こう側 #12,696
これは、ある知り合いから聞いた話だ。 その知り合いの家族は、ある時期○○○会という宗教団体に入信していた。 信仰に没頭し、日々の生活にも変化が現れたという。しかし、しばらくしてその家族は団体から離れる ...
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戻ってきた金 rw+8,457
2026/06/02 -短編, r+, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
★人気ベスト300俺が十九のとき、二ヶ月だけロサンゼルスに語学留学をした。 ESLの教室は、ほとんどが中国人だった。英語は下から三番目のクラス。まともに話せる自信もなかった。 ※ESL(English as a Sec ...
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お天道様は見ている rw+4,014
2026/06/01 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, カルト宗教
《神格》という名の階段~とある異邦人が語った話 「君の神格は、きっと高いね」 そう言ってきたのは、少し風変わりな外国人だった。英語混じりの日本語を話す男で、肩書きは自称「文化宗教学者」。だが話を聞いて ...
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空き地の記憶 rw+2,438
2026/06/01 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
居酒屋が消えたのは、まだ偶然で片づけられた。 駅前の角を曲がった先にあるはずの店がなくなり、仮囲いに覆われた空き地になっていた。近くにいた会社員は「あそこはずっと更地だった」と言い、飯田がいくら店内の ...
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雪が降っている場所 nc+
珍しく大人数となったその日の登りは、事前の打ち合わせ通り、パーティーを二つに分けて行動した。 小型無線機を装備し、二つのパーティ間で一時間ごとに定時連絡を取る。通信訓練も兼ねた、いわば余裕のある山行だ ...
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朝練に出るチョンマゲ rw+1,937
2026/06/01 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
まだバスケットボールという球技が、黒板消し投げの次に人気だった時代。 小学生の朝は異様に早く、そして妙に熱心だった。自分は誰よりも早く体育館の鍵を開け、誰もいない板張りの床にボールを弾ませていた。澄ん ...
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残ったもの rw+7,567
2026/06/01 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
★人気ベスト300親戚に元刑務官がいる。 酒の席で、仕事の話をほとんどしない人だった。こちらが何を聞いても、曖昧に笑って流す。だが一度だけ、ぽつりと零すように言ったことがある。 刑務官の仕事は監視じゃない。あそこでは人 ...
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黄色い線の内側 nc+
2026/05/31 -短編, 洒落にならない怖い話, n+2026
子どもの頃、霊感が強いと言われていた。 正確には、見えてはいけないものが見えていただけだと思う。人の後ろに立つ影、夜の部屋の隅で動かない気配、そういうものが、他の子には見えないのだと後から知った。 成 ...
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人狼の電話 nw+604
2026/05/31 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
中学時代の同級生が、ある夜、酒の席で妙な話をした。 祖父は昔、朝鮮半島で交易をしていたという。ロシア人やタタール人とつながりがあり、その中に、ひとりだけ特別に親しかったロシア人商人がいた。 その商人が ...
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何も起きなかった森 rw+8,459-0531
2026/05/31 -短編, r+, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
★人気ベスト300中学時代の同級生から聞いた話だ。 彼女自身の体験というより、今でも誰にもはっきり語れずにいる「関わってしまった記憶」だと言ったほうが近い。 学生の頃、彼女は生活費を稼ぐために夜のパブで働いていた。時給 ...
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母が拭いたもの nc+
2026/05/30 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
いつもと変わらずに布団に入った。 その日は少し疲れていた気がするが、特別な出来事は何もなかった。部屋の電気を消し、仰向けになり、天井の暗さをぼんやり眺めながら目を閉じた。耳の奥で血の流れる音がして、意 ...
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落ちる直前 nw+870
2026/05/30 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
横断歩道の白線の手前で、足が止まった。 右から車が来ていた。信号は青。渡ってもおかしくはないが、待てばやり過ごせる距離だった。だから立ち止まった。それだけのはずだった。 それでも、背中に圧がかかった。 ...
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色即是光 rw+6,589-0530
祖母は、昔から仏教に深い敬意を抱いていた。 朝は欠かさず仏壇の前に座り、静かに経を唱える。子どもの頃、台所の湯気と混ざるあの声を聞きながら目を覚ました記憶がある。ゆっくりと、揺るがず、誰に聞かせるでも ...
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二週間だけの家族 nc+
2026/05/29 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
隣の部屋に夫婦が引っ越してきたのは、去年の夏だった。 自分は写真の専門学校に通っていて、学校の近くの木造アパートで一人暮らしをしている。風呂なしトイレ共同、四畳半一間。畳はところどころ黒ずみ、壁は板切 ...
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パイプラインの内部点検 ncrw+774
2026/05/29 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
閉所恐怖症というものは、診断名を与えられるより前に、体のほうが先に理解してしまう。 たとえば、内径六十センチの鉄の管に這いつくばり、前にも後ろにも引き返せない距離を進まされれば、その理解は理屈を介さず ...
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音だけが先に来る nc+
夜の山では、音だけが先に来る。 父がその話をしたのは、酒が少し回った冬の夜だった。昔話として語るには、妙に具体的で、妙に余白が多い話だった。 父が十代の頃、熊本の山で炭焼きの手伝いをしていた時のことだ ...
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ふすまの前 nw+613(110)
2026/05/28 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
学生時代、週末になると決まって友人Aの家に集まり、夜通しゲームや無駄話をしていた。 Aの家は二階建ての一軒家で、二階にもトイレがある。集まるのは決まって、わたしとAと、もう一人の友人Bの三人だった。深 ...
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一度目の落下 nc+
沢登りは三人だった。 経験も装備も揃っていたし、無謀な計画ではなかった。問題は、途中で出てきた十五メートルほどの滝だった。 水量が多く、岩は濡れて苔が厚い。直登は無理だと判断し、滝の左岸を大きく巻いて ...
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いなくなったと言い切れない ncrw+678
2026/05/27 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
一人暮らしというのは、自由と引き換えに孤独と責任を手に入れることだと、どこかで聞いた。 だが、自分がかつて経験した一人暮らしは、そのどちらとも違っていた。そこには、最初から最後まで、説明のつかない「同 ...
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戻りますか rw+5,135
2026/05/27 -短編, r+, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
これは、三年前、私が心身ともに限界に近い状態だった頃の出来事だ。 当時、自営業を畳み、外出も最低限に抑え、自宅で時間を潰す日々を送っていた。昼夜の区別が曖昧になり、意味もなく画面を眺め続けることが増え ...
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通夜までの四日間 nrw+793
2026/05/26 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
夏という季節には、どうしても説明のつかない空気が混じる。 湿度や気温のせいだと言われればそれまでだが、それだけでは済まない何かが、確かに漂っている。 祖母が亡くなったのも、そんな夏だった。お盆を数日後 ...
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凍った足音 nc+
親父がまだ二十代の頃、冬山に取り憑かれていた時期の話だ。 当時は今ほど装備も整っておらず、上高地へ入るにも命がけだったという。親父たちは数人のパーティーで、厳冬期の縦走計画を立てたが、天候と行程の都合 ...
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首までの場所 nc+
郷土史家から聞いた話だ。 長野県の東信地域に伝わる、ある姨捨(おばすて)の話である。楢山節考で知られる姨捨山伝承とは別系統の、より生々しい口減らしの記録だった。 明治期、道路拡張工事の際に、奇妙な遺構 ...
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空室の生活音 nrw+745
2026/05/25 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2025
俺が今のアパートに引っ越してきたのは、ちょうど半年前だった。築三十年。 外壁の色はところどころ剥げていて、共用階段を上ると湿った埃の匂いが鼻につく。でも家賃が安かった。それだけで決めた。 最初の数ヶ月 ...
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あの目は怒っていなかった rw+6.012
2026/05/25 -短編, r+, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
★人気ベスト300夜の十時を過ぎていた。留学先のケンタッキー州の町は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っている。 友人から「ビリヤードに行かないか」と電話があり、僕は自転車でバーへ向かった。 広い敷地に建つ家々の窓明かり ...
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逃げろ nc+
友人から聞いた話だ。 彼の家は、祖父の代から山を持っている。檜と唐松を植え、定期的に枝打ちや間伐をしてきた。山仕事は日常であり、特別なものではない。 その日も、彼は一人で檜の間伐に入っていた。 エンジ ...
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葬式の三日後に追いかけてきた男 rw+6,706
2026/05/24 -短編, r+, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
★人気ベスト300十一月になると、決まって思い出す夜がある。 高校三年の秋、私は受験に追われていた。理系なのに数学が伸びず、塾の自習室にこもっては焦燥だけを積み重ねていた。浪人は許されない。とにかく結果を出すしかない。 ...
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夢の話は外に出る nc+
2026/05/23 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
年長さんの頃の話だ。 その日は婆ちゃんの家に泊まっていて、夜中にひどく怖い夢を見た。内容はもう覚えていない。ただ、目を開けた瞬間に胸の奥がぎゅっと縮んで、このまま一人でいたら何かが起きると確信するよう ...
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沈む柄杓 rw+5,556-0523
2026/05/23 -短編, r+, 洒落にならない怖い話
一九九五年の一月、震災の一週間前だった。 日付だけは覚えている。あのあと、家の中も学校も近所も落ち着かなくなって、冬休みの最後に山へ行った話なんて、誰も聞き返さなくなったからだ。 その日、俺は友達のタ ...
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その息を真似るな rw+3,555-0523
2026/05/23 -短編, r+, 山にまつわる怖い話
ネットで有名な怖い話この話を聞かせてくれた知人は、長野の山奥にある小さな集落で育った。 酒の席でも、旅先の雑談でもなかった。仕事の帰りに駅前の喫茶店で偶然会い、雨宿りのついでに入った店で、なぜか山の話になった。こちらが「 ...
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数えられた弾 nc+
明治も半ばを過ぎた頃の話だ。 山に生きる猟師は、鉄砲の扱いだけでなく、弾を作るところから自分の仕事だと教えられていた。鉛は町で買えるようになっても、弾だけは自分の手で丸めたものしか信用しない。夜なべ仕 ...
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開かずの間の前に座るもの rw+11,931(169)
2026/05/22 -短編, r+, 家系にまつわる怖い話
★人気ベスト300これから語るのは、私の身に起こった実話に基づく話だ。 一族のことを知る者が読めば、登場人物に心当たりがあるかもしれない。それでも長年胸につかえていたものを、そのまま外に出さずにはいられなかった。 私の ...
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人数の欄は空白 nc+
2026/05/21 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, n+2026
夏山開きの直前になると、必ず一通の案内状が届く。 山奥のその小屋は、年に四ヶ月ほどしか営業せず、残りの八ヶ月は完全な無人になる。 夏でもスキーができるほどの場所で、以前は小屋の周囲から雪が消えることは ...